FOLIO(フォリオ)の辛口評価、テーマ投資で業種ごとに株式投資できる証券会社
フィンテック(ファイナンス+テクノロジー)系のベンチャー企業として、これまでになかった新しい証券会社が誕生しました。
FOLIO(フォリオ)は、一般的な株式投資とは違い「テーマ型投資」によって気軽に資産運用をはじめられる設計となっています。
これまでの株式投資は「銘柄ごと」に購入するのがあたりまえでした。しかし、企業の業績などを分析するのはあまりに敷居が高いです。
一方で、株式投資の手法には「セクター買い・テーマ買い」という方法が存在します。
これは、個別株の業績に関係なくそのテーマ(業種)にあたるすべての銘柄を分散投資で買うという手法です。
その業種を丸ごと買うということは、その業界全体が活性化すれば値上がりの恩恵が受けられます。また、1つの銘柄に集中投資しないため、リスクを軽減できたり、業績をいちいちチェックする必要はありません。
セクター買い・テーマ買いといった手法は、逆に「その業種に属する銘柄を探すのが難しい」という問題がありましたが、この問題を解決し誰でも簡単にテーマ投資できるようにしたのが、FOLIOです。
2018年1月18日の日本経済新聞によると、FOLIO(フォリオ)がLINEと提携し、LINEからFOLIOのテーマ投資ができるようになるとのこと。
また、LINEが展開している電子マネー「LINEペイ」と連携し、LINEペイの残高とFOLIOの証券口座の残高を移動できるようになる取り組みを実施する予定です。
国内に7,000万人以上の会員を持つLINEと提携したことで、フォリオへの信頼・人気は一気に加速しそうです。
特に、LINEは若年層の利用者が多く、またフォリオも10万円から手軽にテーマ投資ができるという若者をターゲットにしたアプリなので、今回の提携は非常に良いものであると私は感じました。
続報については追って紹介するようにします。
3分で学ぶFOLIOの仕組み
FOLIO(フォリオ)の仕組みをわかりやすく解説します。
フォリオはこれまで株式投資や資産運用を経験したことがない方はもちろん、すでに投資歴のある方でも利用メリットの大きいサービスです。
また、10万円から分散投資ができるので投資信託の代わりとしても使えます。
テーマで選ぶ株式投資
すでに、フォリオには数多くの「テーマ」が用意されています。テーマとは、例えば下記のようなものです。
これから、「アンチエイジング関連の銘柄が上がるのではないか?」と思ったら、アンチエイジングのテーマを選びます。
フォリオではわかりやすく、「ここ1年の値上がり率」が表記されています。
テーマ型の中には、「キャッシュリッチ企業」や「高ROE企業」といったファンダメンタルズにもとづいたカテゴリもあります。
今回は、「サイバーセキュリティ」というカテゴリを選択してみました。
今後、IoTや人工知能(AI)によってあらゆるものがネットと繋がりますが、その中でとても重要なのは「セキュリティ対策」です。
フォリオでテーマを選択すると、このテーマがどの銘柄で構成されているか確認できます。関連銘柄を見つけるのにも適しています。1テーマの銘柄群は10銘柄で構成されています。
このテーマに投資をしたい場合、ネットショッピングをする感覚で「カートに入れる」を選択するだけという手軽さです。
フォリオのテーマはすべて10万円以内で構成されています。
こちらが具体的なテーマの構成比率です。
上記の画像を見るとわかりますが、フォリオはミニ株(単元未満株式)の形式を採用しています。
これによって、分散投資が徹底された銘柄群に対しても合計10万円で投資ができる仕組みを作っています。
ミニ株(単元未満株式)を上手く使った取り組みとしては、One Tap Buy(ワンタップバイ)なども有名です。
フォリオでは、そのテーマについての詳細な説明も記載されています。
説明を読むだけでも、その業界のトピックを知ることができるため、投資を気軽に楽しめるだけでなく、その分野について自然に学ぶこともできます。
もちろん、フォリオが提案する比率が気に入らなければカスタマイズすることが可能です。
投資スタイルを「バランス型」「ディフェンス型」「グロース型」「バリュー型」に変更することで、銘柄の構成比率を変更できます。
また、このテーマと日経平均株価との比較チャートも閲覧できます。長期的に日経平均株価を上回って推移していれば、今後もその業界が伸びる可能性は高いと判断できます。
▶フォリオの仕組み まとめ
数多く用意されたテーマを選んで、その業界の銘柄を分散投資で購入できるのがフォリオの特徴です。
テーマを選びやすいように、過去1年間の騰落率や日経平均株価との比較チャートなどが閲覧できます。また、その業界の詳しい説明も記載されており、学びも得られます。
フォリオでは、1つのテーマを10万円以内で購入できる設計にしています。これは、ミニ株(単元未満株式)の方式を使うことで実現しています。
銘柄の構成比率は4つの投資スタイルから変更できます。リスクを取りたくない方は「ディフェンス型」を選ぶことで、より安定した運用が行なえます。
気に入ったテーマが見つかったら「カートに入れる」を押すだけの簡単設計です。
フォリオにはその他にもこのようなテーマがありました。(テーマは今後も増える予定です)
- 無人航空機「ドローン」
- 第4次アニメブーム
- リニア新幹線
- 自動運転車
- 電気自動車
- 人工知能
その他にもたくさんのテーマがあります。
はじめての投資にも使いやすい
前述の通り、FOLIO(フォリオ)は初めて株式投資や資産運用をする方でも扱いやすいのが特徴です。
その理由の1つが、1テーマ10万円以内で買えるというミニ株(単元未満株式)を用いた仕組みです。
これまで、株式投資と言えば50万円・100万円が必要というイメージでした。しかし、フォリオを活用することで、10万円から投資をスタートできます。
また、1つのテーマは10銘柄で構成されているので、10万円の投資でもしっかりと分散投資が行えます。
もう一つの特徴として、フォリオは定期的に「リバランス(資産構成比率の見直し)」などの案内をしてくれます。
売却のタイミングがわからない方でも、フォリオのアドバイスによって、保有資産の見直しタイミングを知ることができます。
手数料は0.5%というシンプル設計
フォリオの手数料はシンプルでわかりやすい設計となっています。
1つのテーマを売買するごとに、売買代金の0.5%+税の手数料がかかります。
つまり、1つのテーマを10万円で購入した場合、500円+税の手数料がかかります。逆に、テーマを売却する時も同様に500円+税の手数料が発生します。
手数料は「売買代金」に対してかかるため、売却時に保有中のテーマが値上がりしていた場合、その時の「時価」に対して0.5%+税の手数料がかかることになります。
いずれにしても、株式投資では資産が1日で1%以上変化することも多いので、ごくわずかな手数料率だということです。
ちなみに、他の証券会社とミニ株(単元未満株式)の手数料を比較してみると以下のようになります。(各社ほぼ横並びの状態です)
証券会社 | 手数料 |
---|---|
FOLIO(フォリオ) | 0.5% |
ワンタップバイ | 0.5% |
SBI証券 | 0.5% |
マネックス証券 | 0.5% |
松井証券 | 0.6% |
カブドットコム証券 | 0.67%(※) |
※カブドットコム証券は2万円までは100円、以降は1万円ごとに67円の手数料
※税抜です
フォリオの公式サイトを見ると「1銘柄の最低手数料は50円(税抜)」という記載があります。
現在はテーマごとの売買となっていますが、将来的には1銘柄ごとの売買ができるようになるということなのだと思います。
保有期間中の運用手数料は0円です。
また、入金は「リアルタイム入金」を使うことで、入金手数料無料となります。
出金手数料は有料ですが、ベータ版では無料となっています。
テーマ型投信との違い
投資信託の中には、「テーマ型投信」と呼ばれるものがあります。
テーマ型投信は、先ほどの「サーバーセキュリティ」のように特定のテーマに沿って運用を行ってくれる投資信託です。
株式の選定や売買、リバランスといった運用はすべてプロが代行してくれますが、その一方で「信託報酬」という毎年継続して発生する手数料がかかります。
フォリオの場合、「テーマ型投資」という点では同じですが、実際の運用は自分でおこなうため、支払う手数料は「購入時・売却時」の2回だけです。
保有期間中に継続的な手数料が発生しないため、テーマ型投信に比べるとフォリオの方がコストを抑えた運用が行なえます。
フォリオで配当金や株主優待は受け取れるの?
株式投資の醍醐味として、「配当金」や「株主優待」の存在も欠かせません。
フォリオはミニ株(単元未満株式)での投資となるため、株主優待は受け取れない可能性が高いです。
- 配当金(◯)
- 配当金は受け取れます。フォリオの口座に直接入金される仕組みとなっています。
- 株主優待(△)
- ほとんどの株主優待が1単元以上の株主を対象としているため、単元未満株式を保有している株主は株主優待の対象外となる可能性が高いです。ただし、企業によっては単元未満株式の保有者に対しても株主優待を実施している場合があり、その場合は優待を受取ることができます。
- 議決権(✕)
- 単元未満株式は議決権を持たないため、株主総会への案内は届きません。
- 特定口座(◯)
- フォリオは特定口座に対応していますので、損益の計算は自動的に行なってくれます。
- NISAへの対応(✕)
- NISA・つみたてNISAには現在対応していません。
NISAに対応していないことと、株主優待が原則としてもらえないというのはフォリオのデメリット(というよりも単元未満株式のデメリット)です。
ただし、配当金は問題なく受取ることができるので、高配当銘柄のテーマを購入し長期保有してみるのも面白いと思います。
フォリオの運用実績を公開
私も早速フォリオに口座開設をし、運用をはじめてみました。
まず使ってみて感じたことは、「フォリオはビジュアル面が優れていて使いやすい」ことです。
使っていて気持ちの良いデザインで、これまで投資経験がなかった方やパソコン・スマホの操作が苦手な人でもわかりやすいと思います。
私はどちらかというと、企業の業績などを見て投資するスタイルが好きなので、「高ROE」と「連続増配」のテーマを選択。
また、今後AI(人工知能)やIoT、自動運転技術が普及するに伴って、セキュリティの重要度は日増しに大きくなると考え「サイバーセキュリティ」のテーマを購入しました。
試験的に2ヶ月ほど運用してみたのですが、損益は13.45%のプラスになっており、悪くない結果です。
フォリオは一般的な投資信託やロボアドバイザーとは違い、保有期間中は手数料が一切かかりません。長期投資で手数料が節約できることを考えると、非常に優れた投資家目線の仕組みだと感じます。
また、購入した3つのテーマについて、具体的にどのテーマが高リターンをもたらしているのかも把握しやすいです。
次の記事は「S株 Now!」と「FOLIO(フォリオ)」の違いは?です。
FOLIOに対抗し、ネット証券大手のSBI証券がすでに同様のテーマ株投資のサービスを提供しています。
SBI証券の「S株 Now!」も、フォリオと同じようにテーマを選択して複数の銘柄を一括売買でき、また10万円からはじめられるという点も同じです。
下記の記事では、「S株 Now!」と「FOLIO(フォリオ)」の違いについて詳しく比較しています。
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