貸株サービスのデメリット!申込前に必ず確認、株主優待がもらえなくなるかも

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株の疑問

ローリスクで定期預金よりも高いリターンを生み出す貸株サービス。

株式の保有が必要となりますが、その運用効率の高さから人気のサービスとなっています。

貸株サービスとは?

自分が保有している株式を証券会社に貸し出し、証券会社はその株式を空売りする機関投資家などへ貸し出します。

そして、空売りをする機関投資家から徴収した貸株金利の一部を、私たち還元してくれるというもの。

自分が保有する株式は、別の投資家によって空売り目的で使われるため、貸株サービスを利用することは、保有株の短期的な下落圧力を生じさせることになります。

しかし、空売りは返済期限が決められた短期売買なので、長期的な株価のパフォーマンスには大きな影響は与えません。

よって、長期保有を前提としている銘柄であれば、貸株サービスを利用して定期預金と同等またはそれ以上の利息を受取ることは、効率的な運用方法の一つと言えます。

しかし、貸株サービスにはいくつかのデメリットも存在します。今回は、貸株を利用する前に知っておきたい特有のデメリットについてまとめていきたいと思います。

貸株サービスが持つ3つのデメリット

貸株サービスには、大きな3つのデメリットがあります。

下記のデメリットを知っておけば、貸株サービスの利用は怖くありません。

株主としての権利を失ってしまう

支出

貸株サービスを利用して株式を証券会社に提供すると、その間は株主としての権利を失います

株主としての権利とは具体的にこのようなものです。

  • 配当金をもらう権利
  • 株主優待をもらう権利
  • 株主としての議決権

上記のうち、貸株をしている状態で権利日をまたいでも、配当金については「配当金相当額」として、同額が証券会社から支払われます。

しかし、この「配当金相当額」は雑所得の扱いとなるため、特定口座で発生した株式の売買損益との相殺ができません

また、基本的に確定申告が不要な「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していても、配当金相当額や貸株利息の受け取りによって、年間の雑所得が20万円を超えた場合は、確定申告をする必要が出てきます。

ここで述べた「配当金相当額が雑所得扱いになる問題」は1つの大きなデメリットです。

最も、貸株サービスを利用する場合「貸株金利(利息)」も雑所得扱いですので、場合によっては確定申告の必要性が出てきます。

ここで述べたいのは「純粋な配当金」は株式の損益と相殺できるが「配当金相当額」は雑所得扱いなので、株式の損益とは相殺できないというデメリットです。

貸株サービスによって、「株主としての権利がなくなる」のは貸株している間だけなので、権利日に合わせてその銘柄の貸株を中止すれば、「配当金」も「株主優待」も問題なく受け取れます。

ただ、すべての保有株の権利日をチェックして、そのつど貸株サービスを手動で一時休止にするのは面倒ですよね。

そこで、証券会社によっては株主としての権利が発生する日(権利日)のみ、自動的に貸株を一時休止にするような設定ができます。(優待自動取得サービス)

この方法を使えば、通常は貸株金利を受け取り、その上でさらに優待や配当金も受け取れるという「いいとこ取り」ができます。

しかし、この「いいとこ取り」サービスも、各証券会社によって対応が異なります。

マネックス証券の場合は0.05%の手数料を支払うことで「配当金自動取得サービス」が利用できます。

このサービスを活用すると、「配当金相当額」が通常の「配当金」として受け取れるので、上記のデメリットが防げます。(優待自動取得サービスは手数料無料で利用可能)

また、松井証券が提供している貸株サービス「預株」は、手数料や申込の必要なく、「配当金」として受け取れるので安心です。また、株主優待も確実に受け取れます。

SBI証券、楽天証券、GMOクリック証券、auカブコム証券の場合は、手数料無料で「自動優待取得サービス(優待優先)」が使えます。

このサービスを設定しておくと、権利日に合わせて貸株を一時停止にするため、株主優待・配当金が受け取れます。

ただし、株主優待と配当金の権利確定日が同日の場合に限るため、これらが別日となっている銘柄については「株主優待+配当金相当額」の受け取りとなる可能性があります。

証券会社が倒産すると貸した株が戻ってこない

破産

貸株サービスのリスクとして必ず知っておきたいのが、「株を貸した証券会社が倒産した場合」です。

万が一、証券会社が破綻した場合、貸した株は返ってきません

通常、証券会社に預けている顧客資産は分別管理されており、証券会社の業績には一切影響を与えません。つまり、証券会社が破綻しても顧客資産は無傷なので、問題なく返金されます。

また、もしもの場合であっても「投資者保護基金」によって最大1,000万円までが補償される制度が整っています。

しかし、これは株式を保有している場合であり、貸株をしている場合はこの限りではありません。

貸株サービスを利用して保有株を貸し出している間は、「投資家保護基金」を受けることができないだけでなく、株式の名義も証券会社に書き換わっています。

株式の名義が証券会社に書き換わるということは、貸した株式は分別管理されていないということになり、これは証券会社の破綻時には補償されないことを意味します。

ただし、ここでも松井証券の優位性があります。

松井証券の預株(貸株サービス)は、貸株金利こそ低めなのですが、万が一松井証券が破綻した場合でも、貸株相当額を返金すると記載しています。

預株の安全性
松井証券は貸出株式の担保として、時価相当額の現金を日証金から預ります。担保として必要な現金は毎日計算し直します。

法令上、この現金は分別管理や投資者保護基金の対象ではありませんが、松井証券は、自主的にこの現金を全て、信託銀行に分別信託しています。

貸株代り金は、投資者保護基金による補償を受けられません。当社が破綻してお客様に株式等を返還できない場合、株式等に代えて「貸株代り金」相当額の金銭をお客様にお支払いします。

この点から考えても、貸株サービスの安全性においては、松井証券に優位があるように思います。

また、最終的な貸株先である空売り投資家が破綻した場合はどうなるか。

貸株は「投資家(自分) → 証券会社 → (日証金) → 機関投資家」へと株式が移っています。

機関投資家はリスクを追って空売りをしていますので、場合によっては破綻して貸した株を返せない状況に陥るケースもあります。

しかし、貸出先が破綻した場合は、大きなリスクにはなりません。

なぜなら、証券会社が機関投資家に株式を貸し出す場合は、現金またはその投資家が保有している株式(代用有価証券)などを「担保」として取っているからです。

機関投資家が破綻した場合は、担保の売却によって貸株相当額の現金が確保できるので、その現金で証券会社が同じ銘柄を市場等から調達し、返還することになります。SBI証券では以下のように説明しています。

貸出先に万一のことがあり、株券が返却されない場合、当社があらかじめ貸出先から確保している担保で株券を調達し、お客様が貸出していた株券をすべて返却いたしますが、その場合でも返却が難しい場合には、基本契約書に定められた遅延損害金としてお客様にお支払をすることになります。

SBI証券

楽天証券も同様の説明です。

貸出先が破綻した場合、弊社は返済日までに株券をお返しできるように、あらゆる方法で株券の調達に努めますが、返済日に遅れた場合には「株券等貸借取引に関する基本契約書」に基づき、遅延損害金をお支払いいたします。

また、株券をお返しできない場合には金銭での精算となります。なお、これらの場合、株主として得られる権利(優待、議決権等)は、お客様が取得できない場合があります。

楽天証券

マネックス証券はこのような感じ。

貸出先に万一のことがあり、株券が返却されない場合、マネックスがあらかじめ貸出先から確保している担保で株券を調達し、お客様が貸出していた株券をすべて返却いたします。

マネックス証券

保有銘柄(貸株した銘柄)が倒産した場合はどうなるのか?

では、貸株サービスを利用して貸出中の銘柄が倒産した場合はどうなるのでしょうか?

貸株サービスを利用すると、名義が証券会社に変わります。その間にその銘柄が倒産したら、証券会社はその株式を私たちに返却できなくなってしまいます。

このようなケースでは、貸株に相当する現金を返してくれるのか?

どこにも回答がなかったので、SBI証券に聞いてみたところ、以下のような回答を得ました。

貸株サービスにより貸出された株式は、通常の保護預りとは異なり、証券会社が自社の資産と客側の資産を区別して管理する分別保管の対象とはなりません。
ただ、貸し株サービスにつては、貸し出し中であっても市場で取引されている限りは売却注文を、自身で発注する事が可能です。

※コーポレートアクションがあり当該サービスの非対象となった場合は自動返却になります。

まず、貸株サービス利用中の銘柄が分別管理の対象とはならないことは前述のとおりなので、補償はされません。

また、貸株サービスは常に投資家側の判断で中止できるので、もし貸株サービス利用中の銘柄が倒産してしまったら、整理ポストに入っているうちにご自身で売却してくださいということです。

もちろん、整理ポストに入ろうものならSBI証券がその銘柄を「貸株サービス利用対象外」に設定する可能性が高く、上場廃止前に強制的に返却されることになります。

つまり、貸株サービスを利用している銘柄に倒産の匂いを感じたら、貸株を中止して早めに撤退しておかないと、誰も補償してくれないということです。

長期保有者向けの株主優待特典が受けられない

悩んでいる投資家

上場企業の中には「株式の長期保有者に対してのみ株主優待を手厚くする」ところがあります。

その代表例が家電量販店のビックカメラです。

ビックカメラの株主優待は、年間3,000円相当のお買い物券です。

しかし、1年以上の継続保有で+1,000円、2年以上の継続保有で+2,000円のお買い物券が追加されるため、長期保有者であれば年間5,000円相当のお買い物券をゲットできるというメリットがあります。

しかしながら、貸株をしている場合、株主番号が変わってしまうため、同じ会社の株式を継続保有していても、長期保有者向けの特典が受けられません。

これは株主優待を目当てに保有している投資家にとっては、大きなデメリットです。

楽天証券など一部の証券会社では、保有する株式の「一部のみを貸し出す」という設定が可能です。

例えばビックカメラの株式を500株保有している場合、そのうち400株を貸し出し、残り100株は貸し出さない設定にしておく。

こうすることで私たちは常時100株のビックカメラ株を保有し続けていることになるため、株主番号は変わらず、株主優待の長期保有特典を受け取ることができます。

もちろん、貸し出している400株は権利日にあわせて自動的に返却されるため、配当金や株主優待は「500株の保有者」と同じものが受け取れます。

しかしこの場合でもあくまで、「株主番号が変わらないことを保証するものではない」というのが証券会社のスタンスのようです。

証券会社ごとの貸株サービスの違い

比較

続いて、証券会社ごとに貸株サービスの違いをまとめます。

POINT

配当金の自動取得サービスがない証券会社では、配当金の権利落ち日に合わせて手動で貸株サービスを解除する必要があります。

ただし、株主優待と配当金の権利日が同じであれば、「優待自動取得」を設定しておくだけで、「配当金」として受け取りが可能です。

多くの場合、株主優待と配当金の権利日は同じなので問題はないと思います。仮に両者が別日だった場合は、株主優待は受取ることができますが、配当金は「配当金相当額」という形で支払われます。

POINT2

貸出先が破綻した場合でも、証券会社が貸出先から一定の担保を取得しているので、それらを売却して得た現金で株券を調達し、返還してくれるケースがほとんどです。

つまり、貸出先破綻時の保証がない場合は、担保を売却して得た現金を使っても、貸株相当の株券を調達できない場合にのみ、保証がされないということになります。

SBI証券

  • 優待自動取得:あり(無料)
  • 配当金自動取得:なし
  • SBI証券破綻時:保証なし
  • 貸出先破綻時:保証あり
  • 信用取引口座:併用可能

コメント:
スタンダードな貸株サービスの条件です。

楽天証券

  • 優待自動取得:あり(無料)
  • 配当金自動取得:あり(無料)
  • 楽天証券破綻時:保証なし
  • 貸出先破綻時:保証あり
  • 信用取引口座:併用可能

コメント:
株主優待がない企業でも、予想配当金額が有配の場合に貸株を一時中断する「株主優待・予想有配優先」設定が選べます。

マネックス証券

  • 優待自動取得:あり(無料)
  • 配当金自動取得:あり(手数料0.05%)
  • マネックス証券破綻時:保証なし
  • 貸出先破綻時:保証あり
  • 信用取引口座:併用不可

コメント:
株主優待だけでなく、「配当金自動取得サービス」を設定しておけば、「配当金相当額」ではなく確実に「配当金」として受取可能。

ただし、配当金自動取得サービスを設定すると、通常よりも低い貸株金利(通常より-0.05%)が適用されます。

また、貸株サービスと信用取引口座との併用はできません。

GMOクリック証券

  • 優待自動取得:あり(無料)
  • 配当金自動取得:なし
  • GMOクリック証券破綻時:保証なし
  • 貸出先破綻時:保証あり
  • 信用取引口座:併用可能

コメント:
SBI証券と同じです。2016年から新規スタート。

auカブコム証券

  • 優待自動取得:あり(無料)
  • 配当金自動取得:なし
  • auカブコム証券破綻時:保証なし
  • 貸出先破綻時:保証あり
  • 信用取引口座:併用可能

コメント:
ボーナス銘柄数No.1。法人口座も貸株サービスを利用可能。

松井証券

  • 優待自動取得:あり(無料・設定不要)
  • 配当金自動取得:あり(無料・設定不要)
  • 松井証券破綻時:保証あり
  • 貸出先破綻時:保証あり
  • 信用取引口座:併用不可

コメント:
サービス名称は「預株(よかぶ)」です。

貸株相当額の現金を担保として毎日時価で日証金から預かっているので、担保の保全性は高い。

また、これらのお金は本来分別管理する必要がないものの、松井証券が自主的に分別管理しているため、もし松井証券が破綻しても返金される可能性が高い。

ただし、信用取引口座との併用はできないことや、貸株金利が他社と比較して低いことが指摘されています。

貸株サービスの安全性を考えると、やはり松井証券が一番ですね。

逆に、SBI証券や楽天証券などは「配当金相当額」による課税の違いや、証券会社・貸出先の万が一の破綻を考えると、貸株サービスを積極的にやるべきなのかどうかは、慎重に考えた方が良いと思います。

貸株サービスに強みを持つ、松井証券のさらに詳しい情報が知りたい方はこちら。

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この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
右も左もわからない状態で株式投資をはじめ、10年以上が経ちました。その間に、引きこもりになったり、会社を設立したり、いろいろなことがありました。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「今日の経営」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

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