グローバルAIファンドの評価、世界の人工知能に投資をするべきか
執筆者:川原裕也
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「グローバルAIファンド」は三井住友DSアセットマネジメントが組成している投資信託です。
ファンド設定日は2016年9月9日ですが、記事執筆時点(2017年7月)ですでに2,739億円の純資産を獲得しています。
アクティブファンドとして人気の高いひふみプラスですら純資産が2,000億円程度ですから、1年足らずで2,700億円の資金を集めたグローバルAIファンドがいかに人気かがわかります。
今回は三井住友DSアセットマネジメントの「グローバルAIファンド」について、その詳細と私なりの評価を交えて分析します。
目次
世界のAI活用企業に投資するファンド
グローバルAIファンドは、人工知能(AI)を活用し成長している世界の企業に対して投資を行う投資信託です。
昨今、ニュースなどでも報道されているとおり、人工知能(AI)はこれからのテクノロジー業界を大きく変えていくと言われています。
IT業界大手のグーグルも「AIファースト」を掲げ、自社サービスを中心に積極的な人工知能の導入を行っています。
グローバルAIファンドが投資対象とするのはまさに、このような人工知能を活用している企業です。ポートフォリオを見てみると、具体的にどのような銘柄に投資をしているのかイメージがつかみやすいと思います。
- テスラ
- セールスフォース・ドットコム
- ツイッター
- クリテオ
- マイクロンテクノロジー
※記事執筆時点(2017年7月)
その他、中国の百度(バイドゥ)やアメリカのアマゾン・ドット・コムなど。
時価総額から考えて米国株が中心となるのは仕方がないと思いますが、米国株に限らずグローバルな企業に投資をしていることがわかります。(例えば、クリテオはフランスの企業です)
AIの技術自体がこれからという段階なので、現時点ではテクノロジー株で最先端を走っている会社に投資をしているという感じでしょうか。
為替ヘッジの有無を選択可能
グローバルAIファンドは、日本株式も組み入れ対象ですが、その比率は極めて小さいです。
ポートフォリオ全体の9割以上は外国株への投資となるため、為替変動の影響を受けます。
為替が円安になれば利益が上積みされますが、逆に為替が円高になると利益は目減りします。
この問題を解消するために、グローバルAIファンドには
- 為替ヘッジあり
- 為替ヘッジなし
の2つの商品がラインナップされています。
「為替ヘッジあり」を選択することで、為替リスクを低減できます。
ただし、「為替ヘッジあり」はヘッジコストという手数料がかかるため、ヘッジのために必要な手数料相当分リターンが落ち込みます。
ヘッジコストは短期金利の差によって変動しますが、三井住友DSアセットマネジメントによると
- 2017年3月末現在 約1.15%
- 過去1年間の平均 約1.63%
とされており、為替ヘッジのコストもリターンに大きな影響を与えることがわかります。
グローバルAIファンドの場合、信託報酬などは「為替ヘッジあり・なし」ともに同じですが、「為替ヘッジあり」は少なからず手数料が余分にかかっていることを頭に入れておきたいところ。
ちなみに、外国株を投資対象とした投資信託では、一般的には「為替ヘッジなし」を選ぶ事が多いです。
実際、グローバルAIファンドを比較しても、「為替ヘッジあり」の純資産は「為替ヘッジなし」と比較して10分の1程度であり、ほとんどの人が「為替ヘッジなし」でグローバルAIファンドに投資をしていることがわかります。
実質的な運用はアリアンツグループが行う
グローバルAIファンドは三井住友DSアセットマネジメントが運用する投資信託です。
スキームとしては「グローバルAIファンド → グローバルAIエクイティ・マザーファンド → 投資対象」という構造になっています。
マザーファンドとなる「グローバルAIエクイティ・マザーファンド」も三井住友DSアセットマネジメントが運用を行うのですが、運用指図の一部の権限を、「アリアンツ・グローバル・インベスターズU.S.LLC」に委託しています。
これは、「アリアンツ・グローバル・インベスターズ」がAI関連企業の投資に強みを持っているからです。
アリアンツ・グローバル・インベスターズは、世界最大級の保険会社で120年以上の歴史を持つアリアンツ・グループの一員として、グローバルに資産運用業務を行っています。
アリアンツは運用資産残高59兆円の巨大な資産運用会社です。
グローバルAIファンドの手数料
グローバルAIファンドは、アクティブファンドなので小さくない手数料がかかります。
◆購入時手数料
購入額の3.3%(税込)を上限として販売会社が決める。(安く購入する方法をこの後ご紹介します)
◆信託報酬
年1.925%(税込)
内訳は、税抜で委託会社0.9%、販売会社0.8%、受託会社0.05%。
◆その他
監査費用や有価証券の売買手数料、外国での資産保管費用。「為替ヘッジあり」を選択した場合は、ヘッジコストもこちらに含まれます。
信託報酬の0.9%のうち、0.6%はアリアンツ・グローバル・インベスターズへの報酬とのことなので、実質的な運用者はアリアンツと考えて問題なさそうですね。
管理人がグローバルAIファンドを辛口評価する
私自身、AI(人工知能)には注目しており、これから大きな成長が期待される分野だと思っています。
昨今、ロボアドバイザーが評判です。ロボアドバイザーにもいずれ人工知能が取り入れられるでしょう。
今回のグローバルAIファンドの評価ですが、信託報酬が2%を超えていないという点で、アクティブファンドの中でも悪くない印象です。
ただし、後述するようにグローバルAIファンド自体に信託期間が定められています。そして成長率が高いということはそれだけリスクも大きいため、短期間での売却を見据えた投資になると思います。
手数料を按分して期待利回りを試算
仮に保有期間を3年~5年と考えた場合、購入時手数料を按分します。
つまり、購入時手数料が3%(税抜)なら、
- 保有期間3年:手数料 年間+1%
- 保有期間5年:手数料 年間+0.6%
上記を踏まえて期待利回りを計算することで、予想リターンをシミュレーションできます。
つまり、グローバルAIファンドを5年間で売却する場合、
- 購入時手数料:年0.6%
- 信託報酬:年1.75%
合計で年2.35%を予想リターンから差し引いて考えます。
また、「為替ヘッジあり」を選択する場合は前述の通り過去1年間の為替ヘッジコスト「年1.63%」を上乗せして考えます。
為替ヘッジコストを含めると年間の予想コストが3.98%になってしまいますので、少し選びにくいですね。
グローバルAIファンドのポートフォリオを見てみると、Facebookやテスラなどの大型株が大きいようです。
将来の年間リターンは誰にもわかりませんが、高い成長を見込んで年率8%程度のリターンを想定します。
年8%のリターンに、年2.35%のコストを差し引くと、実質リターンを5.65%という答えが出せます。
5年間の運用で複利計算シミュレーションをしてみてください。
- 元金:投資予定額
- 金利:5.65%
- 期間:5年
元金
金利(年)%
運用期間
計算結果一覧
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専用ページはこちら:
複利計算シミュレーター
AIの成長に期待を込めて、概ねこのような結果が想定できそうです。
もちろん、リスクが高めの成長投資ですので、リターンが大きく上振れする可能性も、また元本割れで終了してしまう可能性もあります。
信託期間は2026年までの期間限定
グローバルAIファンドは信託期間が「2026年9月25日まで」と定められている期間限定のファンドです。
目論見書記載のデータには、アメリカの調査会社がAI関連企業の売上高の推移予想は「2016年 → 2025年」で年平均成長率が62%に達すると予想したとのこと。
これはあくまでも売上高の話で、利益となるとまた別だと思いますが、市場規模が大きく拡大していくことが予測されています。
上記を踏まえ、グローバルAIファンドは、ファンド設定日の2016年から10年間の、まさに人工知能の成長が著しい時に新しい技術に投資をできるファンドとなります。
ただし、評価の部分でも触れたように、人工知能の技術そのものが発展途上のためリスクが大きいファンドであることは間違いありません。
リスクが高めの投資信託なので、チャンスがあれば短期的な売却は検討してもよいと思います。しかし、グローバルAIファンドには
- 購入時手数料
- 年1.5%を超える信託報酬
がありますので、手数料を考慮すると期待したリターンが得られない可能性もあります。この点には十分注意しましょう。
▼年平均成長率が計算できるCAGRシミュレーターはこちら
専用ページはこちら:
CAGR(年平均成長率)シミュレーター
CAGR(年平均成長率)の詳しい解説は「CAGR(年平均成長率)を3分で学ぶ、エクセルを使った計算方法」をご覧ください。
この投資信託をどの証券会社で買うべきか
グローバルAIファンドは、
- 信託期間が決まっていること
- リスクの高い成長投資であること
から短期間での売却を想定した運用が求められます。
運用期間を短期間にした場合、購入時手数料が大きな負担となるため、「購入時手数料 ÷ 想定保有期間」を計算し、購入時手数料が年間のリターンに及ぼす影響をシミュレーションしてみましょう。
一方で、グローバルAIファンドの場合、購入時手数料の上限が3.3%(税込)となっています。
これは決して安くはない手数料率ですが、実際の手数料は販売会社が決定するので、販売会社によっては購入時手数料がより低い場合があります。
下記は、購入時手数料を低めに設定している金融機関のリストです。
SBI証券
購入時手数料を大きく引き下げており、1.6%で購入できる。投信マイレージサービスにより、実質信託報酬を年間0.1%引き下げ可能。
フィデリティ証券
新規口座開設者限定の「スタート0%プログラム」により最大3ヶ月間、購入時手数料が全ファンド無料。
多くの金融機関では、購入時手数料は3.3%(税込)でしたが、SBI証券であれば1.76%(税込)で販売しています。
また、SBI証券の「投信マイレージサービス」によって、投資信託の保有残高に対して年間0.1%のVポイントがもらえます。
フィデリティ証券ではキャンペーンを活用して手数料0円でグローバルAIファンドを購入できます。
次の記事は「ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド-AI新時代-の評判と分析」です。
AI(人工知能)、そしてIotは次世代の中核を担う技術です。
グローバルIot関連株ファンドは、AI・IoTに関連する企業に投資するファンドです。
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