CAGR(年平均成長率)を3分で学ぶ、エクセルを使った計算方法

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CAGR(年平均成長率)

株式投資や企業分析で業績の推移をチェックする人は多いと思います。

企業のプレゼンテーションでも「前年対比◯%の成長」などという言葉が出てきます。

今回紹介するCAGR(年平均成長率)はこれに近いもので「業績の成長率がどれくらいか?」を測る指標です。ちなみに、CAGRとは「Compound Annual Growth Rate」の略称です。

読み方は「シーエージーアール」とそのままアルファベット読みをします。(ケーガーという人もいます。ちなみにソフトバンクグループの孫正義社長はケーガーと読んでいました。)

個人的には、投資や企業分析においてかなり役立つ指標だと思っていて、しかも初心者でも簡単に扱えるものなので是非活用してほしいと思います。

CAGRの計算方法は簡単に理解できますが、エクセルを使うとより楽に算出できますので、エクセルシートをダウンロードして使ってみてください。

CAGR(年平均成長率)の意味を理解する

複利効果

CAGR(年平均成長率)とは、複数年の成長率の平均を「複利」で算出する指標です。この「複利」というのが大きなポイントです。

例えば、5年間の売上成長が下記のような企業の例を見てみます。

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
売上高 100 110 130 136 148

前年対比の成長率は「現在の売上高 ÷ 前年の売上高 – 1」で求めることができます。

これが決算資料やプレゼンで言われる「前年対比◯%の成長」というものです。見ての通り、単年度の比較では成長率にバラツキがあります。

では、過去数年間の平均成長率を計算するにはどうすればよいでしょうか?(考えてみてください)

1.前年対比(%)をすべて足して4で割る(これは間違いですよね)

2.1年目の売上(100)と5年目の売上(148)を使って「148 ÷ 100 – 1 = 48%」。これを(1年目は成長しないので)4年間で割って「48% ÷ 4 = 12%」が平均成長率

【上記はどちらも間違いです】
複数年の平均成長率を求める場合、どちらも間違いです。

実は、2.の方法は単利ベースでの成長率となっているので、あながち間違いではありません。

しかし、企業分析を行う場合は「複利計算」を用いるのが基本です。

CAGRの計算方法

計算する女性

私も計算は苦手な方なので、CAGRの計算方法も正直言うとややこしいと感じています。

CAGRの計算式は

(N年度の売上 ÷ 初年度の売上) ^ {1 ÷ (N – 1)} – 1

となります。

CAGRの計算をもっと簡単に

▼こちらのCAGRシミュレーターをお使いください
CAGRシミュレーター(専用ページ)はこちら

上記の専用ページはブックマークしてお使いください。この文章の下にも同じシミュレーターを貼っていますので、シミュレーターを実際に使いながら、引き続き本文をご覧いただけます。

CAGR(年平均成長率)計算シミュレーター
X年間の平均成長率を複利計算します。
※5年間のCAGR(年平均成長率)を計算する場合は6年目の売上を入力
年間の平均成長率
西暦で入力
初年度の売上・利益など
年目の売上・利益など
年の売上・利益など
年の売上・利益など
年間のCAGR(年平均成長率)は、%です。

具体的な計算例

上記の計算式を、先ほどの業績推移に当てはめて計算してみます。

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
売上高 100 110 130 136 148
前年対比 10.0% 18.2% 4.6% 8.8%

1年目の売上「100」と5年目の売上「148」を使って、4年間の平均成長率を求める場合は下記のようになります。

(N年度の売上 ÷ 初年度の売上) ^ {1 ÷ (N – 1)} – 1

(148 ÷ 100) ^ {1 ÷ (5 – 1)} – 1 = 10.30%

※ ^ = べき乗・累乗のことです。ハットキャレットと読みます。

この「10.30%」という数字が年平均成長率の正しい答えとなります。

初年度の売上高「100」を使って、計算機で複利計算していくと、

100(初年度は成長なし)

110.3(2年目)(1年間の平均成長率)

121.7(3年目)(2年間の平均成長率)

134.2(4年目)(3年間の平均成長率)

148(5年目)(4年間の平均成長率)

という結果となり、年10.30%で複利計算すると4年間で100が148になることがわかります。

POINT

少し表現がややこしいのですが、4年間の平均成長率を求めるには5年分の売上数値が必要です。

5年間の平均成長率を知るためには6年分の売上数値が必要です。

これがCAGRの計算方法ですが、あまりに面倒ですよね。そこでエクセルの登場です。

エクセルシートのダウンロード

エクセル

実は、CAGRの計算はエクセルを使えばエンターキー1つですぐに答えが出せます。

年(A1) 2017年(B1) 2018年(C1) 2019年(D1) 2020年(E1) 2021年(F1)
売上高(A2) 100(B2) 110(C2) 130(D2) 136(E2) 148(F2)

エクセルの計算式
=(F2/B2)^(1/(F1-B1))-1

▶エクセルシートのダウンロードはこちら

上記の計算式を当てはめてエンターキーを押すだけです。
CAGRの計算

使っている数字は、初年度の売上高、5年目の売上高、初年度の年数、5年目の年数の4つだけです。
CAGRの計算2

この計算式さえ覚えておけば、CAGR(年平均成長率)はすぐに計算できます。

バフェットに学ぶCAGR

ウォーレン・バフェット

企業の成長には当然バラツキがあります。大きく成長することもあれば、売上が少ししか増えないこともありますし、競争が激しくマイナス成長になることもあるでしょう。

年平均成長率(CAGR)を使うことで、「バラツキはあるけれど、結局のところ一定の期間で平均的にどれくらい成長したの?」ということがわかるわけです。

また、未来の業績予想を考える際にも、過去のトラックレコード(成績)を元にして予想しますので、過去の成長率をそのまま引き継ぐと仮定することで、将来の業績を予測できます

年平均成長率を使った業績予測の方法は、「億万長者をめざす バフェットの銘柄選択術」という本で解説されています。私もこの本で学びました。

例えば、過去10年間の年平均成長率が10%の企業だった場合、将来も10%の成長率が維持されると、◯年後の売上・利益はこのくらいになっているだろうと予測できるわけです。

この書籍では、過去5年間の平均成長率と過去10年間の平均成長率の両方を見るべきだとしており、

  • 過去5年間の平均成長率:その企業の実力から見た現経営陣の能力を知ることができる
  • 過去10年間の平均成長率:その企業本来の実力を知ることができる

としています。
年平均成長率の時間軸を伸ばすほど、その企業の長期の成長力がわかるので、将来の業績予測にも活かしやすいと思います。

次の記事は「PCFR(株価キャッシュフロー倍率)の目安と計算方法、割安株の見つけ方」です。

キャッシュフローを軸に株価の割安・割高を測る指標について解説します。

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この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
右も左もわからない状態で株式投資をはじめ、10年以上が経ちました。その間に、引きこもりになったり、会社を設立したり、いろいろなことがありました。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「今日の経営」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

ありがとうございます。

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