ソニー銀行の投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」超入門
執筆者:川原裕也
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ソニー銀行はこれまで、ネット銀行としてATM手数料の無料化や他行あて振込手数料の無料化といった顧客サービスを展開してきました。
また、良質な投資信託を積極的に取り扱っており、個人的にも好きな銀行です。
そんなソニー銀行が新しい取り組みとしてスタートさせたのが投資型クラウドファンディングの「Sony Bank GATE(ソニーバンクゲート)」です。
低金利の影響で、定期預金を組んでも利息がほとんど得られない状況ですが、Sony Bank GATEであれば年率8%程度の高い利回りが期待できます。
目次
クラウドファンディングまるわかり
クラウドファンディングは「Crowd = 多くの人から」「funding = お金を集める仕組み」という意味です。
資金を必要としているプロジェクト(例えば起業資金や新製品の開発資金など)を、多くの人が少額ずつお金を出し合って支援し、そのプロジェクトが成功したらその見返りを出資者に還元する仕組みです。
上記の図が、クラウドファンディングの大まかな分類となります。
たくさん種類があってわかりにくいのですが、クラウドファンディングは大きく3つに分けられます。
- 寄付型
- 見返りを求めずに、応援したいプロジェクトに資金を提供する仕組み
- 購入型
- 資金を提供した見返りとしてそのプロジェクトが生産した商品を受け取る
- 投資型
- 資金を提供した見返りとして金銭的なリターンが得られる
投資型クラウドファンディングは3つある
投資型クラウドファンディングはさらに3つに分類されます。
「貸付型クラウドファンディング」に分類されるのが、maneo(マネオ)をはじめとするソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)については当サイトでも何度か取り上げています。
お金を必要としている企業に短期の「融資」を行い、その見返りとして貸付金に対する利息収入が得られるのが特徴です。
貸付型クラウドファンディングはあくまでも融資なので、「利回り(金利)」と「元本の返済期限」があらかじめ決まっています。
「株式投資型クラウドファンディング」に分類されるのが、ファンディーノやエメラダ・エクイティなどです。
融資ではなく「出資」となるため、未公開株に投資をするイメージです。
基本的に、投資先企業はIPO(上場)や大企業から買収されることを目的としており、長期間の投資が求められます。
また、これらのすべての企業が上場や企業買収されるとは限りません。中には長期の投資期間中に業績が悪化し、倒産してしまうリスクも十分考えられます。
株式投資型クラウドファンディングはハイリスク・ハイリターンな投資であることから、「個人投資家がインターネットで未公開株を購入できるのは1社あたり年間50万円まで」と法律で決められています。
基本的にはお金は戻って来ないが、もし無事に上場を果たした時には大きなリターンが得られる、というのが株式投資型クラウドファンディングの特徴です。
そして、「ファンド型(みなし有価証券)クラウドファンディング」となるのが、ソニー銀行の展開する「Sony Bank GATE(ソニーバンクゲート)」です。
ソーシャルレンディングと株式投資型クラウドファンディングの中間に位置するタイプの商品となります。
Sony Bank GATEでは「出資」を行うため、ソーシャルレンディングのようにあらかじめ「利回り」と「元本の返済期限」は決まっていません。
しかし、出資はあくまでも「事業者の特定の1プロジェクトの支援資金」に限定されます。
つまり、最初から「プロジェクトが成功した場合のおよその利回り」と「プロジェクトが終了する予定の期間」が提示されています。
事業者は私たち投資家から集めた資金を使って、計画通りにプロジェクト(例えば新商品の開発など)をすすめます。
その結果、そのプロジェクトの成功度合いによってリターンの大きさが決まるという仕組みです。
逆に言うと、そのプロジェクトが上手く行かなかった場合は、当初予定していたリターンが目減りしたり、最悪の場合は1円も戻ってこない可能性もあります。
また、プロジェクトのスケジュールがずれ込んだことによって、返済期限が当初の予定よりも遅延することもあります。
このように、ソーシャルレンディングと株式投資型クラウドファンディングの両者を合わせた柔軟なスタイルが、Sony Bank GATEの大きな特徴です。
姉妹サイトのネット銀行100の活用術でもソニーバンクゲートについて解説しています。あわせてご覧ください。
1号案件でわかるSony Bank GATEの利回り
Sony Bank GATEの第1号案件を例に、具体的にどのような仕組みでリターンが決定するのか、またリスクはどの程度あるのかを解説します。
▶第1号案件 - 株式会社リンクジャパン
スマホから家電の電源のON/OFFを確認できたり、複数の家電の電源操作を行えるIoTデバイス「eRemote pro」の開発資金をSony Bank GATEで集めるプロジェクトです。
会計期間は「2017年09月01日~2018年07月31日」となっており、約1年でプロジェクトが完了する見込みです。(プロジェクトの進捗状況によってはスケジュールがずれる可能性もあります)
目標募集金額は1,000万円で、1口あたりの募集額は5万円でした。(最速で募集額に達してしまい、私も投資タイミングを逃してしまいました)
気になるのは投資家へのリターンですが、利回りは8%に設定されています。
Sony Bank GATEの説明では、投資額の1.07倍(税引き後1.05倍)という説明です。(このように投資額に対する倍率でリターンを説明することをマルチプルといいます)
この投資案件に100万円出資した場合、税引前で107万円が受け取れる計算です。(分配金は20.42%の税金が差し引かれて支払われます。預金利息と同じです)
年換算利回りでは年利8.013%(税引後6.377%)となります。
また、出資特典として1回の申込4口につき、eRemote proが1台もらえます。こうした株主優待のような特典も、ソニーバンクゲートの魅力です。
投資型クラウドファンディングには当然、元本割れのリスクはありますが、ソニー銀行が審査をして「問題ない」と判断した案件のみが公開されている安心感はあります。
第1号案件に選ばれた株式会社リンクジャパンについても、現在3期目のベンチャー企業であり、2期目にはすでに黒字化を達成しています。
直近の業績などを示した事業計画書が閲覧できるため、投資判断の有効な材料として活用することが可能です。
また、リスクがあると言っても、その見返りとして年換算利回り8%のリターンが得られる投資案件なら悪くありません。
詳しくは後述しますが、ソニーバンクゲートは手数料無料で利用でき、入出金の費用も一切かかりません。投資リターンにかかる税金のみが差し引かれます。
事業計画の達成によってリターンが変化する
Sony Bank GATEは、融資ではなくファンドを通じた「出資」です。
あらかじめ、ある程度のリターンと元本の返済期限は提示されているものの、それらは保証されたものではなく、場合によっては元本割れになったり、返済期限が伸びる可能性もあります。
Sony Bank GATEでは、募集段階でプロジェクトの事業計画売上高を示しており、目標とする売上高の達成率に応じて分配金が決まります。
目標通りの売上高(事業計画売上高)を達成した場合は、当初予定していたとおりの分配金が支払われます。
しかし、目標売上を下回るにつれて、分配金が目減りします。
売上が当初の見込みを大幅に下回ってしまった場合は元本割れが生じる可能性もあります。とはいえ、基本的には少なからず売上が計上できれば、全額損失になることはありません。(売上0円というのはありえないので)
もちろん、企業が倒産してしまった場合は、投資額が全損となる可能性がありますが、その点は過去の業績やソニー銀行の審査を通過している点を踏まえると、確率としては極めて低いと思います。
透明性が高さが強み
これまで、1年程度の短期投資で高利回りを得るには、ソーシャルレンディングが適していました。
私自身、ソーシャルレンディングへの投資を経験していますが、大きな問題だと思っているのが「透明性の低さ」です。
ソーシャルレンディングの場合、貸付先の具体的な企業名が(法律上)公開できないため、どうしても貸付先の簡単な事業概要や資金使途の説明にとどまります。(最近この問題は改善されつつあります)
しかし、投資型クラウドファンディングのSony Bank GATEの場合、具体的な企業名、集めたお金を何に使うか(資金使途)、事業計画などが詳細に説明されています。
つまり、顔の見える企業・社長に対して投資ができるという点でソーシャルレンディングとは大きく異なります。
そして何よりも、プロジェクト開始後の定期的なヒアリングによって進捗状況を確認できるので、実際に自分が魅力的だと感じた企業が成長していく姿を応援しながら、投資の果実を得られます。
このような「透明性の高さ」と、ある程度会計期間が決まっており、短期的な資金回収が期待できる投資商品というのはこれまでになかったと思います。
また、募集案件はすべて事前にソニー銀行の審査が入っているということも、多くの投資家にとって安心材料の1つだと思います。
まだ始まったばかりのSony Bank GATEですが、今後どのような案件が出てくるのか楽しみです。
手数料は完全無料
手数料は完全無料です。
Sony Bank GATEへの入金や出金はソニー銀行を経由するので、こちらも無料です。
ソーシャルレンディングや株式投資型クラウドファンディングの場合、入金・出金手数料がかかることが多いので、この点はとてもありがたいです。
ソニー銀行の入出金は、コンビニATM(セブン銀行やイオン銀行など)から行います。
提携ATMからの入金は何度でも無料、出金は毎月4回まで無料です。
私も普段の生活資金の出し入れはソニー銀行で行っていますが、他行あて振込手数料も含めて、手数料をほとんど支払った記憶がないほどです。
では、完全無料で利用できるSony Bank GATEはどうやって利益を生み出しているのか。
Sony Bank GATEは、私たち個人投資家(資金の出し手)からではなく、資金の借り手である事業会社から手数料を得ることで利益を生んでいます。
Sony Bank GATEで資金調達を実施した場合、
- 資金調達額の5%
- 会計期間中における本匿名組合事業の売上高に対して1%
を手数料として支払うことになります。
Sony Bank GATEの第1号案件の場合、「資金調達額が1,000万円」「事業計画売上高が4,248万円」でした。
この場合、集めたお金1,000万円のうち50万円と、会計期間(1年間)で予定通りの売上高を達成した場合、4,248万円に対して1%に相当する42.48万円となる、合計92.48万円を手数料として支払います。
もちろん、これを支払うのは事業者側ですので、私たちの負担はありません。
登録方法
Sony Bank GATEが利用できるのはソニー銀行に口座を開設している20歳以上の方のみとなります。
まず最初にソニー銀行に口座開設をし、その後Sony Bank GATEの登録手続きを行います。
「銀行口座開設 → Sony Bank GATEの登録手続き」という手順が必要なので、口座開設には時間がかかります。
私も実際にやってみましたが、新規投資案件の募集がスタートしてからの口座開設だと(ほぼ確実に)間に合わないので、興味のある方は事前に口座開設とSony Bank GATEの登録手続きを済ませておくことをおすすめします。
実際、第1号案件は募集開始からすぐに予定額に達してしまい、私も応募には間に合いませんでした。
人気の理由は、高い利回り、そしてプロジェクトの具体的な計画を確認した上で投資判断ができるという点にあると思います。
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