楽天・新興国株式インデックスファンドの評価は?利回りと信託報酬を比較

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上海

新興国株式に投資するファンドはコストが高くなりがちです。

しかし、世界的な低コストETFで有名な「バンガード」と楽天投信投資顧問がタッグを組んでリリースした「楽天・新興国株式インデックスファンド」は、その認識を大きく変えました。

年率0.25%以下の信託報酬(実質負担)で、中国・インドなど21カ国の新興国に分散投資できます。

組入銘柄数は4,000銘柄を超え、リスクの高い新興国株式への投資において、最大限のリスク分散が図られているファンドです。

この記事では、楽天・新興国株式インデックスファンド(愛称:楽天バンガードファンド(新興国株式)」について、過去の利回りを調査し、他の投資信託との比較を行います。

なお、楽天・新興国株式インデックスファンドは記事執筆時点(2018年4月13日)において、

  • つみたてNISA
  • iDeCo(イデコ)

どちらでも購入できません

おそらくつみたてNISAの基準は満たしているはずなので、近い将来つみたてNISA対象商品になる可能性は高いと考えています。

また、iDeCoでは楽天証券が積極的に「楽天バンガードファンド」の採用を行っています。こちらも近い将来、楽天証券のiDeCoで買えるようになるかもしれません。

中国やインドに分散投資できるファンド

楽天・新興国株式インデックスファンドの仕組み

楽天・新興国株式インデックスファンドは、「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(ティッカー:VWO)」という海外ETFに連動する投資信託です。

また、VWOは「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」という株価指数に連動するETFとなっています。

それぞれの違いを簡単に解説しておきます。

FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスとは?

新興国

ベンチマークとなる株価指数です。

株価指数とは、NYダウや日経平均株価など、複数の株式銘柄を束ねた平均指数です。

新興国21カ国、4,000以上の銘柄から構成されており、新興国全体の株価の動きを反映した指数となります。

あくまでも指数ですので、私たちは指数そのものに投資する事はできません。

中国の投資比率が高い

FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスの主な投資対象国は、

  • 中国
  • 台湾
  • インド
  • 南アフリカ
  • ブラジル

などで、その他にもタイやロシアが投資対象に含まれます。

記事執筆時点(2018年4月13日)では、中国が全体の32.6%、続いて台湾が14.4%、そしてインドが11.8%です。

つまり、中国・台湾への投資が全体の約半分を占めている状態です。

これは、FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスが「時価総額加重平均」によって組成されているからです。

時価総額の大きい国・銘柄ほど組入比率が高くなります。

バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(ティッカー:VWO)とは?

バンガードETF

上記の株価指数に連動するように運用されているETF(上場投資信託)です。

指数に連動するため、結果的に新興国株式全体の株価の動きがETFの価格に反映されるようになっています。

バンガード社が運営しており、信託報酬(コスト)は極めて低いのが特徴です。

海外ETFは日本の証券会社からでも購入できます。米国株式で「VWO」と検索し、売買注文を出すだけです。

しかし、ETFは「自動積立」ができないことや、円・米ドルの為替取引を行う必要があり、初心者にとって敷居は高めです。

また、海外ETFの取引経験がある人にとっても、その手順は面倒なものがあります。

ETFと投資信託の違いは下記の記事で触れています。

楽天・新興国株式インデックスファンドとは?

楽天投信投資顧問

上記の「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF」の買付を代行する投資信託です。

通常の投資信託なので、自動積立ができます。また、円・米ドルの為替取引が不要です。

分配金を自動的に再投資できるので、ETFに直接投資するよりも節税効果が高くなります

楽天・新興国株式インデックスファンドの基準価格は、基本的にVWOの価格に連動します。

しかし、楽天・新興国株式インデックスファンドは「円換算」で基準価格を算出するため、為替変動の影響を受けます。

米ドル・円の為替レートが円安になると、VWOの現在の価格よりも上振れます。円高になれば下振れ要因となります。

また、1つの問題点として、楽天投信投資顧問の「信託報酬の中抜き」が発生することがあげられます。

VWOは直接購入できるETFなので、自分で買ったほうがコスト面では有利です。

しかし、前述のとおりETFを手動で買付したり分配金の再投資をするのには労力がかかります。

コスト、労力を天秤にかけて、どちらを選ぶかは投資家の判断にゆだねられます。

私自身、楽天バンガード投信が登場する以前は、自分でETFの定期買付をおこなっていました。

しかし、長期投資を考えた時、これを20年も30年も続けるのは大変だと感じ、現在は楽天バンガード投信を買っています。

つまり、私はコスト優位性よりも投資信託を購入することで「利便性」を選んだということです。

想定利回りは年率3%程度になる?

悩んでいる男性

新興国株式は一般的に、先進国への投資よりもハイリスク・ハイリターンだと言われています。

「これからは中国・インドの時代」だという意見が根強く、新興国への投資によって大きなリターンが得られると考えている投資家も多いと思います。

たしかに中国・インドを始めとする新興国は経済成長が著しいのは事実です。

しかし、新興国は高いインフレ率や地政学リスクの影響によって、投資家にとって利益を生みにくい体質となっています。

こうした理由から、私自身は資産運用において新興国株式の組入は必須ではないと考えています。

基本は国内・先進国への投資に限定し、新興国への投資はオプション(投資家のお好み)で選ぶことをおすすめします。

バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)の過去の年率リターンを見てみます。

投資期間 VWO VTI
1年 19.1% 12%
3年 7.4% 10%
5年 4.3% 12.8%
10年 2.5% 9.6%

※2018年3月末時点・米ドル換算・配当込み

VTIとは、全米の株式を投資対象にしたバンガードETFです。

年率リターンで比較すると、直近1年は新興国株式(VWO)が勝っていますが、その他の期間ではいずれもVTIに劣る結果となっています。

ETFのパフォーマンスは長期になるほど安定すると言われますが、10年間の運用ではVWOが年率2.5%の利回りしか得られなかったのに対し、VTIは年率9.6%の利回りです。

10年前と言えば、リーマンショックによるリターンの悪化が含まれています。

米国株に投資するVTIですら、リーマンショックの影響を含めても年率9.6%のリターンを出せているということです。

このように考えると、VWOの利回りは年率2%~5%程度に落ち着くのではないか?というのが大まかな印象です。

もちろん、この結果は将来を保証するわけではなく、今後新興国の成長が大きくなれば、大きなリターンをもたらす可能性も十分あります。

しかし、世界全体で見ると「新興国の時価総額はまだまだ小さい」です。

これらの理由から、新興国株式に投資しなかったからと言って、資産運用のパフォーマンスで大きく遅れを取る可能性は低いです。

よって無理して新興国株式は組み入れなくても良いのではないか?と考えています。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスとの比較

比較

楽天・新興国株式インデックスファンドの信託報酬は、業界でもトップクラスの低さです。

楽天・新興国株式インデックスファンドのコスト

購入時手数料・信託財産留保額:0円

バンガードETFのコスト:0.1296%
楽天投信投資顧問へのコスト:0.12%
トータルコスト(実質負担):0.2496%

※税抜きです

しかし、インデックスファンドは全体的に信託報酬が下がってきており、その優位性は日々薄れてきています。

同じく新興国株式を投資対象としている、その他のインデックスファンドとの比較を行います。

いずれのファンドも購入時手数料・信託財産留保額は0円です。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
信託報酬:0.19%
連動指数:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
EXE-i つみたて新興国株式ファンド
信託報酬:0.18%
連動指数:FTSE エマージング・インデックス
ニッセイ新興国株式インデックスファンド
信託報酬:0.339%
連動指数:MSCIエマージング・マーケット・インデックス

※信託報酬は実質負担、税抜き
※連動指数は円換算ベース

信託報酬(実質負担)で比較すると、「EXE-i つみたて新興国株式ファンド」が最も低コストです。続いて「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」が続きます。

→EXE-i つみたてシリーズの詳細記事はこちら

一方で、ベンチマーク(連動指数)では、楽天、EXE-i、eMAXIS Slimの3本とも別々の指数を採用している点が興味深いです。

それぞれの違いを簡単にまとめておきます。

楽天:FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス
大型株・中型株・小型株が投資対象。中国株を含む。韓国株を含まない。
EXE-i:FTSE エマージング・インデックス
大型株・中型株が投資対象。中国株を含む。韓国株を含まない。
eMAXIS Slim:MSCIエマージング・マーケット・インデックス
大型株・中型株が投資対象。中国株は2018年から新規組入。韓国株を含む。

これまで、MSCIエマージング・マーケット・インデックスには中国株は含まれていませんでした。

しかし2018年から新規組入がはじまっていますので、現在はどの指数に連動するファンドを買っても、間接的に中国株への投資が行えます。

韓国株については、FTSEとMSCIで対応が異なっています。

FTSEでは韓国株を「先進国株式」として扱っているため、新興国株式の指数に韓国株は組み入れられていません。

あとは、小型株を含めるかどうかにも違いがあります。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスが最強

eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)

私自身は、楽天・新興国株式インデックスファンドを買っています。

しかし、正直なところeMAXIS Slim 新興国株式インデックスが最強なので、その理由を説明します。

ネット証券大手の「SBI証券」は、投信マイレージサービスを展開しています。

これは、投資信託の保有残高に応じて毎月SBIポイントが付与される仕組みです。

  • SBIポイントは1ポイント=1円の価値がある
  • ポイントは毎月もらえる

ことから、投信マイレージでのポイント付与を考慮すると、実質的な信託報酬をさらに低くできます

つまり、他の証券会社で投資信託を買うよりも、SBI証券で購入した方が少しお得だということです。

投信マイレージのポイント付与率はファンドによって異なりますが、実はeMAXIS Slim 新興国株式インデックスへのポイント付与率が高い状態になっています。

▼信託報酬(ポイント考慮後)の比較

楽天・新興国株式インデックスファンド
信託報酬:0.2496%
ポイント付与率:0.03%
ポイント考慮後:0.2196%
EXE-i つみたて新興国株式ファンド
信託報酬:0.180%
ポイント付与率:0.00%
ポイント考慮後:0.180%
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
信託報酬:0.19%
ポイント付与率:0.05%
ポイント考慮後:0.14% ← 最強

※いずれも年率換算です

このような結果になります。

今後、EXE-iがコスト引き下げに動く可能性はありますが、楽天バンガード投信がeMAXIS Slimに追従することは、構造的に難しいのではないかと考えています。

となると、楽天・新興国株式インデックスファンドの優位性は、「新興国株式の小型株も投資対象である」ことのみとなります。

私自身、将来的に楽天バンガードからeMAXIS Slim 新興国株式インデックスに乗り換える可能性もあります。

しかし、3社とも低コストであることには変わりませんので、急いで乗り換えをするよりも、今後のコスト競争をじっくりと見極めながら検討を進めたいと思います。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、マネックス証券のiDeCoで購入できます

マネックス証券のiDeCoは、口座管理手数料が無料、投資信託のラインナップも充実しており、個人投資家から高い評価を得ています。

下記に詳細記事を書いていますので、あわせてご覧ください。

また、コスト面で優位性のあるeMAXIS Slimシリーズについてはこちらの記事で書いています。

今回とりあげた、EXE-i つみたてシリーズの記事はこちらです。