野村つみたて外国株投信の評価、世界分散投資でつみたてNISAにおすすめ
執筆者:川原裕也
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野村つみたて外国株投信は、1本の投資信託で世界分散投資を実現できる「つみたてNISA対象」ファンドです。
つみたてNISA対象の投資信託は信託報酬が低コストであり、初心者の方でも安心して購入できます。
野村つみたて外国株投信は「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2017」でも4位にランクインしている人気商品です。
今回は、野村つみたて外国株投信を個人投資家目線で分析・評価するとともに、ライバルとなる投資信託との比較を行います。
目次
世界分散投資を低コストで実現
野村つみたて外国株投信は、資産運用会社の野村アセットマネジメントが「つみたてNISA対応商品」としてリリースした投資信託です。
マザーファンドを通じて、先進国株式と新興国株式に投資するため、1つの投資信託を買うだけで世界中に分散投資ができる優れたファンドです。
投資信託を選ぶ上で最も重視される「信託報酬」は年率0.209%(税込)であり、これまでの外国株式インデックスファンドと比べても極めて低いコストを実現しています。
もちろん、つみたてNISA対象ファンドなので「購入時手数料0円のノーロード」です。
個人的には、「野村アセットマネジメントの中でも特に良い商品だな」と思いますし、顧客本位で作られた良い投資信託であることは間違いありません。
連動する指数「MSCI ACWI」とは?
野村つみたて外国株投信は、MSCI ACWIという指数に連動するインデックスファンドです。
MSCI ACWIは「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」の略称で、日本語では「全世界」と名付けられることが多いです。
つまり、MSCI ACWIに連動するということは、全世界の株式(実際は先進国と新興国の計46カ国)を投資対象としており、世界経済の成長の果実が得られるファンドとなります。
野村つみたて外国株投信では、この中でも「MSCI ACWI(除く日本、配当込み、円換算ベース)」という指数に連動する投資信託となっており、日本株は投資対象外です。
日本株に投資をしたい場合は、別の投資信託を追加する必要があります。
しかし、日本よりも海外投資を増やしたい方にとっては、日本株を除外した野村つみたて外国株投信のようなファンドは選びやすいと思います。
MSCI ACWI指数(除く日本)は、
- MSCI コクサイ・インデックス
- 日本を除く先進国株式を対象とした指数
- MSCIエマージング・マーケット・インデックス
- 新興国株式を対象とした指数
を合わせた指数です。
MSCI コクサイ・インデックスは、日本を除く先進国22カ国を投資対象としており、時価総額の85%をカバーしています。
また、MSCIエマージング・マーケット・インデックスは、新興国23カ国を投資対象としており、同じく時価総額のカバー率は85%です。
つまり、MSCI ACWI(全世界)指数(除く日本)は、日本を除く先進国・新興国を合わせた合計45カ国に分散投資し、時価総額の85%をこの投資信託1本でカバーできることを意味します。
とはいえ、世界経済における米国の影響は大きいため、国別分散では
- アメリカ:54.8%
- イギリス:6.0%
- フランス:3.6%
- ドイツ:3.6%
- 中国:3.5%
と、先進国が大半を占めています。(2018年1月31日現在)
野村つみたて外国株(MSCI ACWI)は2,000銘柄以上に分散投資をしているため、新興国株式にも投資をおこなっています。
しかし、世界経済全体で見た場合、新興国の影響がそこまで大きくないことから、組入比率を見ると、上記のように先進国への投資が過半数を占めています。
投信ブロガーはこのような「全世界を投資対象にしているファンド」を好む傾向にあり、低コストな全世界インデックスファンドは人気が高まっています。
当サイト「1億人の投資術」管理人が選ぶ「つみたてNISA対象ファンド」は下記で紹介しています。興味のある方は一度ご覧ください。
あわせて読みたい:
2018年スタート!つみたてNISA対象商品でおすすめの投資信託を7本厳選
MSCI ACWIのより詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
→MSCIとFTSEの違いを調べてみた、インデックス運用で知っておきたい株価指数
野村つみたて外国株投信の利回り
野村つみたて外国株投信は、前述のMSCI ACWIに連動します。
まだ設定間もない投資信託なので、実質コストを判断することは難しいのですが、利回り(年率リターン)はMSCI ACWI指数の過去の上昇率を見ることで試算できます。
MSCI ACWIの過去の年率リターン(利回り)は以下のとおりです。(2018年1月31日時点)
- 30年間:9.4%
- 20年間:6.3%
- 15年間:9.7%
- 10年間:7.2%
- 5年間:15.6%
- 3年間:9.8%
- 1年間:24.3%
投資リターンは、短期的にはランダムに変動しますが、長期的には経済成長に沿った動きをすると言われています。
30年間という長期で見た場合、年率リターンは9.4%です。
つみたてNISAの非課税期間である20年間で見ると年率6.3%であり、この数値は上記の中でも最も悪い数値です。
上記の結果から、長期的な運用では年率6.3%~9.4%程度の利回りで運用できると考えられます。
もちろん、将来のことはわかりませんのでこの結果が保証されるものではありませんが、目安の判断材料としては十分使えます。
本来は、この年率リターンから信託報酬を控除して実質リターンをシミュレーションしますが、野村つみたて外国株投信の信託報酬は極めて低いため、気にするほどではないと考えます。
ちなみに、つみたてNISAで積立可能な金額である月額3.3万円(年間40万円)を年率6.3%で20年間運用した場合、1,580万円になります。利回りが9.4%なら2,319万円です。
コツコツと積立を継続していけば、20年後には数千万円程度のまとまった資産が作れると試算できます。
「老後2,000万円問題」などが話題になる昨今ですが、正しい運用を長期的に継続すれば、2,000万円程度の資産を自分自身で築くことは十分可能です。
通常はこれらの投資利益に税金がかかりますが、つみたてNISAであれば20年以内の売却で投資利益が非課税です。
このように考えると、野村つみたて外国株投信を活用した積立投資は、リスクリターンの見合う悪くない投資だと思います。
さらに高いリターンを追求したい場合は、アクティブファンドを選択するのもひとつの方法です。
長期的にはアクティブファンドは良い結果につながらないことも多く、リスクの高い投資となりますが、インデックスファンド以上のリターンが期待できる投資信託となります。
あわせて読みたい:
つみたてNISAでアクティブファンドは選ぶべきか?おすすめの投資信託を厳選
あくまでも個人的な意見となりますが、リスクを負ってアクティブファンドで運用し、インデックスファンドを上回るリターンを狙うよりも、インデックスファンドで着実な成果を目指す方が、つみたてNISAの資産形成には適していると考えます。
ライバルファンドとの比較
野村つみたて外国株投信は良いファンドですが、つみたてNISA対象ファンドの中には、その他にも良い商品がたくさん存在します。
続いて、競合しうる類似の投資信託との比較を行います。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドとの比較
楽天・全世界株式インデックス・ファンドは、楽天投信投資顧問が運用する投資信託です。
名前のとおり、全世界を投資対象としたファンドで、バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VTI)という有名なETFに間接的に投資をする仕組みで運用します。
信託報酬(トータルコスト)は0.222%程度(税込)となっており、野村つみたて外国株投信と比較して若干コストが高いです。(気にするレベルではありませんが)
野村つみたて外国株投信と楽天・全世界株式インデックスファンドの決定的な違いは、連動する指数にあります。
- 楽天・全世界株式インデックスファンド
- FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動
- 野村つみたて外国株投信
- MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)に連動
この2つの指数の違いは、小型株を含んでいるかどうか、そして日本株を含んでいるかどうかです。
MSCI ACWI(除く日本)は大型株と中型株のみを投資対象にしており、小型株は投資対象外です。(世界の株式市場の時価総額の約85%をカバー)
一方で、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは小型株を含んでおり、世界の時価総額の約98%をカバーしています。
また、日本株を含んでいるのもFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスの特徴です。
どちらの指数の方が良いかは一概には言えませんが、より世界分散投資をしっかりと行いたいのであれば「楽天・全世界株式インデックスファンド」がおすすめです。
少しでも投資信託のコストを抑えたい場合は、野村つみたて外国株投信がおすすめです。
ちなみに、投信ブロガーの意見では「楽天・全世界株式インデックスファンド」の方が人気があります。
楽天・全世界株式インデックスファンドは下記の記事で詳しく解説しています、あわせてご覧ください。
あわせて読みたい:
バンガードETF「VT」を自動積立、楽天・全世界株式インデックス・ファンドが凄い
SBI・全世界株式インデックス・ファンド
SBIアセットマネジメントが運用する「SBI・全世界株式インデックス・ファンド<愛称:雪だるま(全世界株式)>」も、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスに連動する投資信託です。
つまり、SBI・全世界株式インデックス・ファンドは、前述の楽天・全世界株式インデックスファンドとまったく同じです。
大きく違う点は、信託報酬が0.10896%程度(税込)と極めて低いことです。
この信託報酬は、野村つみたて外国株投信をさらに下回っていることから、「世界分散をしっかりと行い、かつコストも下げたい」という方にとって最高の商品になると思います。
事実、SBI・全世界株式インデックス・ファンドは現時点で最強との声も大きい投資信託です。
しかし、ファンド・オブ・ファンズの形体を取っていることから、実質コストが本当に安いのかどうかは年次レポートを見てからでなければ判断できません。
最も、ここまでで紹介してきた「野村・楽天・SBI」の投資信託はいずれも良いファンドなので、どれを選択しても大きく間違うことはありません。
SBIの雪だるまシリーズは下記の記事で書いていますので、あわせてご覧ください。
あわせて読みたい:
SBIのつみたてNISA対応ファンド「雪だるま」の信託報酬が低すぎる
全世界株式インデックス・ファンド
楽天バンガード投信「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と名前が似ておりややこしいのですが、「全世界株式インデックス・ファンド」という名前の投資信託もあります。
こちらの資産運用会社は、「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ」です。
(楽天ではない方の)全世界株式インデックス・ファンドは、野村つみたて外国株投信と同じ「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動しますが、こちらは日本株を含むという点で異なります。
- 野村つみたて外国株投信
- MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)に連動
- 全世界株式インデックス・ファンド
- MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに連動。日本株を含む。
- 楽天・全世界株式インデックス・ファンド
- FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスに連動。日本株、小型株を含む。
これら3つの投資信託にはそれぞれ微妙に違いはあるものの、どれが良いとは一概には言えません。逆に言うとどれを選んでも大きく変わることはないため、個人的にはコスト優位性で選ぶのが良いと考えます。
ステート・ストリートの「全世界株式インデックスファンド」の信託報酬は年率0.528%(税込)なので、野村つみたて外国株投信と比較するとやや高めです。
さらにこちらの商品は、解約時に「信託財産留保額」という実質的な解約手数料が生じるため、積極的に選ぶ理由は見当たりません。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
最後は、野村つみたて外国株投信とまったく同じ指数に連動する投資信託との比較です。
コストに優れたつみたてNISA対象商品の中では、記事更新時点(2019年10月23日)で、下記のの3本が、連動する指数が全く同じ「MSCI ACWI(除く日本)」となっているファンドです。
- 野村つみたて外国株投信(信託報酬:0.209%)
- 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド(信託報酬:0.275%)
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)(信託報酬:0.1144%)
※税込です
連動指数が同じ投資信託では、基本的に信託報酬の低い方が有利です。
マザーファンドや純資産の大きさ、実質コストを気にする方もいますが、やはり信託報酬で比較するのが最も判断しやすいです。
信託報酬で3つのファンドを比較した場合、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)が最も低コストです。
常に業界最安水準のコストを目指す「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」シリーズの投資信託は、投信ブロガーにも非常に人気です。
日本株を投資対象に含んだ「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」も選べるので、より自分に適したファンドを選べるのもポイントです。
iDeCoでは取り扱いなし
残念ながら、今のところ個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」では、野村つみたて外国株投信をラインナップに加えている金融機関はありません。
よって、つみたてNISAや通常販売では購入できますが、iDeCoで野村つみたて外国株投信を購入することはできません。
代替案として、楽天証券のiDeCoでは「楽天・全世界株式インデックスファンド」を取り扱っているため、もしiDeCoで全世界分散投資ファンドを買いたい場合は、楽天証券のiDeCoがおすすめです。
あわせて読みたい:
2022年版 楽天証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)でおすすめの投信
また、SBI証券のiDeCo(セレクトプラン)では、この記事で取り上げた「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」や、「雪だるま<全世界株式>」が選べます。
SBI証券での購入がおすすめ
投資信託はSBI証券での購入がおすすめです。
SBI証券が展開している「投信マイレージ」は、投信保有残高に対して年率でVポイントがもらえるサービスです。
ポイント還元率は、
- 投資信託の種類
- 投資信託の合計保有残高
によって異なりますが、0.00%~0.20%です。
貯めたVポイントは、1ポイント=1円相当として、Vポイント加盟店やSBI証券での投資信託の購入代金への充当に使えます。
例えば、SBI証券で投資信託を500万円保有している場合、その0.1%に相当する5,000ポイントが毎年もらえることになります。
投信マイレージで発生するポイントは毎年もらえるので、実質的な信託報酬(コスト)の割引につながり、他の証券会社や銀行で投資信託を購入するよりもお得です。
本記事で取り上げた投資信託を、投信マイレージのポイント考慮後で計算すると以下のようになります。
- 野村つみたて外国株投信
- ポイント還元率は0.05%。信託報酬は0.209% → 実質0.159%に
- 楽天・全世界株式インデックスファンド
- ポイント還元率は0.03%。信託報酬は0.222% → 実質0.192%に
- SBI・全世界株式インデックス・ファンド<愛称:雪だるま(全世界株式)>
- ポイント還元率は0.02%。信託報酬は0.10896% → 実質0.08896%に
- 全世界株式インデックスファンド
- ポイント還元率は0.10%。信託報酬は0.528% → 実質0.428%に
- 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド
- ポイント還元率は0.05%。信託報酬は0.275% → 実質0.225%に
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
- ポイント還元率は0.03%。信託報酬は0.1144% → 実質0.0844%に
※信託報酬は税込です
※記事更新時点(2019年10月23日)の情報です
投資信託によっては、ネット販売に限定しており大手証券会社では購入できないものもあります。
しかし、2,000本以上の投信を取り扱うSBI証券であれば、上記すべての投資信託を扱っており、またより低コストで購入することが可能です。
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