ディフェンシブ銘柄とは?不況に強い鉄道・電力・医薬品銘柄に注目
執筆者:川原裕也
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ディフェンシブ銘柄とは、不況の時や日経平均株価が下がり続ける状況でも、値下がり率が低い「底堅い動き」をする銘柄のことを言います。
業種で言うと、鉄道や電力などのインフラ系や、医薬品や食料品などの生活必需品などがディフェンシブ銘柄に該当します。
逆に、自動車産業のような輸出関連企業や、価格変動が起こりやすい不動産業などは不況の影響を受けやすく、ディフェンシブ銘柄とは言えません。
ディフェンシブ銘柄の反対語として「オフェンシブ銘柄」という言葉は存在しないのですが、前述の輸出関連企業や不動産業は好況期やインフレ期に強い銘柄として知られています。
目次
ディフェンシブ銘柄を見つける方法
ディフェンシブ銘柄は一般的に、内需株として扱われます。
すべての内需株がディフェンシブ銘柄というわけではないのですが、近年では米国や中国などの海外の不景気のあおりによって、日本経済がダメージを受けることも多いです。
その点、国内だけでビジネスを展開している内需株は海外の不況の影響を受けにくい特性があります。
ディフェンシブ銘柄に該当する業種
まず最初に、ディフェンシブ銘柄と言われている業種をまとめます。
- 電気・ガス業
- 関西電力、東京瓦斯、中部電力、東京電力、大阪瓦斯など
- 陸運業
- 東海旅客鉄道(JR東海)、東日本旅客鉄道(JR東)、阪急阪神ホールディングス、小田急電鉄など
- 食料品
- 日本たばこ産業、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、ヤクルト本社、サントリー食品など
- 医薬品
- 武田薬品工業、アステラス製薬、中外製薬、大塚ホールディングス、塩野義製薬、エーザイ、第一三共など
主に「電気・ガス業」「陸運業」「食料品」「医薬品」の4つの業種(株式投資では業種のことをセクターと呼びます)を、ディフェンシブセクターと呼んだりします。
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上記の業種に該当しているからといって、すべての銘柄がディフェンシブ銘柄というわけではありません。
例えば、同じ「医薬品」や「食料品」でも、東証マザーズやジャスダックに上場している「新興株(ベンチャー企業)」は値動きが大きいです。
こうした銘柄は、日経平均株価などの指数が下がると一斉に売りが出ることも多く、防御目的で買う銘柄ではありません。
ディフェンシブ銘柄とは、上記の業種に該当しており、かつ時価総額の大きい大企業に絞られます。
業種ごとにざっくりとディフェンシブ銘柄を選定した後、「ベータ値」によって値動きの大きさを確認します。
ベータ値を見ることで、業種に関係なく個別銘柄単位でディフェンシブ銘柄を発見することが可能です。(ベータ値については後述)
ストックビジネスは不況に強い
「ストックビジネス」とは、収益が持続的に積み上がるビジネスのことです。
一度契約を結ぶと、その顧客からは毎月安定的に収益が得られます。
継続的な収益は、その顧客が「解約」を行わない限り続き、「新規顧客獲得率が解約率を上回っている状態」を維持できれば、時間とともに会員数と毎月得られる収益は積み上がっていきます。
例えば、
- 不動産管理業
- 賃貸不動産の管理ビジネスは、契約を締結した大家さんから毎月安定した収益を得ることができる。
- 有料会員ビジネス
- Yahoo!の有料会員、ニコニコ動画の有料会員、クックパッドの有料会員などは会員1名が毎月300円程度を支払ってくれる
- 携帯事業
- 一度契約すると、毎月安定的に通信料収入を得られる。
などがストック型ビジネスの典型例です。
例えば、クックパッドの有料会員は全国約200万人の主婦層の方々から月額約300円を受け取っています。
これだけで、クックパッドは何もしていなくても毎月6億円の売上(年間にして72億円の売上)を得ることができるのです。
もし、不況で日経平均株価が下がっても、クックパッドの人気に陰りが見えたとしても、約200万人の会員が一度に解約してしまうことはありません。
こうしたストック型のビジネスを展開していると、景気が悪くなった時に一時的に売り込まれたとしても、業績の裏付けがあることによって、景気回復時に再度注目される可能性が高いです。
ディフェンシブ銘柄が高配当の理由
ディフェンシブ銘柄は高配当銘柄であることも多いです。
ディフェンシブ銘柄と言われている鉄道業種や電力会社・ガス会社などの配当利回りが高いことが、このように言われている理由です。
ディフェンシブ銘柄は、成熟した大企業であることが多いです。
企業は成長期を過ぎると「成熟期」へと突入します。成熟期へ突入した企業は、これ以上(ベンチャー企業のような)高い成長率を維持できないため、利益の一部を株主に配当します。
1.成熟期を迎えた企業は株主へ積極的な配当を行う(詳しくは配当性向を参照)
2.インフラなどの手堅いビジネスを展開している電力株・鉄道株には成熟した大企業が多い
3.上記の理由からディフェンシブ銘柄は高配当と言われている
これが、ディフェンシブ銘柄が高配当と言われている理由です。
ただし、成熟期を迎えた企業は将来の成長性に乏しく、大きな値上がりは期待しにくいというデメリットもあります。(ベンチャー企業のように短期間で売上が2倍、3倍になるような成長は見込めない。また、株主配当を多くしていることで、企業に残る成長資金は乏しくなる)
ディフェンシブ銘柄は不況時に防御力の高さを発揮しますが、景気が良い時は株価の値上がりなどで地味な値動きをします。
値上がり益で儲けたいという人よりも、安定した値動きで高い配当利回りを着実に得たいという人向けの銘柄です。
テーマ株投資で簡単に分散投資する
※上記は2017年9月27日時点の数値です
FOLIO(フォリオ)は、テーマごとに株式投資を行う新しい証券会社です。
いずれのディフェンシブ銘柄も購入に必要な金額が大きいため、投資資金が少ないと分散投資は難しいと思います。
フォリオはそうした問題を解決するために、「ミニ株」の仕組みを活用して1万円から特定のテーマ株10銘柄に投資できるのが特徴です。
テーマには、
- キャッシュリッチ企業
- コツコツ成長「連続増配」
- リニア新幹線
- サイバーセキュリティ
などが数多く用意されています。
例えば、今後サイバーセキュリティの分野が期待できると思ったら、「サイバーセキュリティ」のテーマを購入するだけで、関連銘柄10銘柄に投資ができます。
テーマ単位で売買できるのが、フォリオのメリットです。
今後、「ディフェンシブ銘柄」や「高配当銘柄」というテーマが登場する可能性は極めて高いので、少額でディフェンシブ銘柄に分散投資を投資したい方にはおすすめのサービスです。
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ディフェンシブ銘柄を簡単に見つける方法
ディフェンシブ銘柄は自分で探すのが大変です。
しかし、楽天証券のスーパースクリーナーを使うと、ディフェンシブ銘柄を簡単に見つけることができます。
スーパースクリーナーは、楽天証券の口座を持っている人であれば無料で使えるサービスです。
▶楽天証券にログインしスーパースクリーナーを起動、業種を「陸運業」「医薬品」「電気・ガス」「食料品」に絞ります。
▶「配当利回り」を検索条件に加えます。
▶「配当利回り2%以上」に設定し、時価総額の順に並び替えたいので時価総額を検索条件に加えます。
▶ディフェンシブ業種かつ配当利回り2%以上の銘柄を時価総額の高い順に並べることができました。
ベータ値で銘柄の防御力がわかる
ベータ値とは、日経平均株価などの株価指数の値動きの大きさと、個別銘柄の値動きの大きさを比較したものです。
ベータ値が低い銘柄は総じて株価指数よりも値動きが小さいので、ディフェンシブ銘柄だと考えることができます。
わかりやすく整理すると以下のようになります。(簡単に理解できます)
▶ベータ値が1
日経平均株価とまったく同じ動きをします。日経平均株価が1%上昇すれば、その銘柄も1%上昇し、日経平均株価が2%下落すればその銘柄も2%下落します。
▶ベータ値が1.05
日経平均株価が1%上昇すると、その銘柄は1.05%上昇します。逆に、日経平均株価が2%下がった時は、その銘柄は2.1%下落します。
つまり、日経平均株価よりも1.05倍、価格変動が大きい銘柄であることを示しています。
▶ベータ値が-1
ベータ値がマイナスの場合は、日経平均株価と逆相関の動きをします。つまり、日経平均株価が上昇するとその銘柄は下落し、日経平均株価が下落するとその銘柄は上昇するという仕組みです。
▶ベータ値が-2
ベータ値が2ということは、日経平均株価よりも価格変動が2倍大きいということです。-2の場合、日経平均株価が2%下落すればその銘柄は4%上昇し、日経平均株価が1%上昇すれば、その銘柄は2%下落することになります。
※基準となる指数を「日経平均株価」とした場合
例えば、ベータ値が0.5の銘柄を買っておけば、株価指数が2%上昇した時はその半分の1%しか上昇しないため、儲けが小さいです。
しかし、(そろそろ株価は下がるのでは?)と思えし時に、ベータ値の低いポートフォリオに切り替えておくと、株価が2%下落しても、ベータ値が0.5の銘柄は1%しか下落しないため、防御力が高い銘柄となります。
- ベータ値が1以下
- 攻撃力は弱いが防御力は強い(ディフェンシブ銘柄)
- ベータ値が1以上
- 攻撃力が強く、防御力が弱い
- ベータ値がマイナス
- 株価指数と逆の値動きをする
ベータ値は過去の値動きから算出されている指数ですので、現在の数値が将来も続くわけではありませんが、概ね銘柄ごとに安定して推移しているのが特徴です。
ベータ値は計算方法が難しいので、下記のサイトで確認することをおすすめします。
- MSNマネー(無料)
- 無料で閲覧できます。おそらくTOPIX(東証株価指数)をベースにした3年間のベータ値かと思います
- 日本経済新聞社(有料会員のみ)
- 日経平均株価に対して過去3年間の値動きで算出したベータ値が閲覧できます(有料会員のみ)
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ベータ値とは?リスクの低いポートフォリを作る上で欠かせない指標
「ディフェンシブ銘柄だから安心、ベータ値が低いから安心」という考え方は危険です。
ディフェンシブ業種は確かに安定した収益性を誇っていますが、突発的な事故が起こった場合は全く別問題です。
また、ベータ値も過去の値動きの大きさによって算出される指数なので、低いベータ値がこれから先も保証されるわけではありません。
例えば、2011年に起こった東日本大震災では、福島の原発事故の影響で東京電力をはじめ電力株が軒並み下落しました。
本来は、業種を見てもベータ値を見ても安定性が高い電力株ですが、このような事故が起こると短期間で株価が半分以下になってしまうことも起こりえます。
大切な資産を守るためには、安定性の高い銘柄に対して「分散投資」をすることが重要です。
事業にはリスクがつきものです。
ベータ値の低いディフェンシブ銘柄であっても、いつ何がおこるかわかりません。
- 分散投資を心がける
- 隠れたリスクが内包されていないか調査する
といった方法で、少しでもリスクの低い投資を実現することが重要です。
また、万が一突発的な事故に見舞われても「ビジネスモデルの根幹がしっかりしていればいずれ株価は戻る」ものです。
ビジネスモデルに注目し、ストックビジネスを手がけている銘柄を見つけることができれば、それはディフェンシブ銘柄だと考えても良いでしょう。
次の記事は生き残ることが一番の投資法、損切りの目安を学んで勝てる投資家になるです。
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