大手不動産会社がスポンサーになっているリートには投資すべき?
執筆者:川原裕也
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Jリート(不動産投資法人)は単体ではただの箱のようなもので、実際にJリートを運用しているのは、資産運用会社です。
そして、その資産運用会社を動かしているのが「スポンサー」と呼ばれる存在です。
例えば、平和不動産リート投資法人(8966)なら平和不動産がスポンサー、イオンリート投資法人(3292)ならイオンがスポンサーといった具合です。スポンサーが1社だけでなく、複数の会社が共同で出資し、スポンサーとなっているケースもあります。
日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)などはその典型です。
資産運用会社となる「三井物産ロジスティクス・パートナーズ」に対して、メインスポンサーとして出資しているのが三井物産(51%)であり、サブスポインサートして三井住友信託銀行(29%)、ケネディクス(20%)がそれぞれ出資しています。
スポンサーの影響力は非常に大きく、運用が上手くいかなかったJリートのスポンサーが交代することで、銘柄名が変更されることも少なくありません。
スポンサーの違いによるリートの優位性
Jリートの「スポンサー」という存在ですが、実はスポンサーが不動産会社かそうでないかでリートの優位性が大きく変わります。
やはり、(数多くの優良物件を保有している)大手不動産会社がスポンサーとなっているJリートは強いです。というのも、そもそもリートが組成される理由を考えてみるとわかります。
スポンサーがやりたいこと
自社が保有している不動産資産をリートに売却することで現金化し、その現金を新規物件取得などにあてることができる(バランスシートのスリム化、有利子負債の圧縮など)
Jリートがやりたいこと
優良物件を取得して投資家に対する分配金利回りを上げること
上記のように、スポンサーとリートの「双方にとっての利益」を考えると、不動産事業者がスポンサーになる強みが見えてきます。
スポンサーが不動産会社の場合
例えば、スポンサーが「森ビル」という不動産会社である、森ヒルズリート投資法人(3234)の場合を考えてみます。
森ビルは不動産事業者として数多くの実績を持つプロフェッショナルですから、外部から取得した不動産はもちろん、自社開発の物件のクオリティにも定評があるはずです。また、保有している物件の数も多いです。
一方で、森ヒルズリート投資法人はそうした森ビルが持つ優良物件を購入する「優先交渉権」を持っています。
外部の不動産マーケットから物件を取得することもありますが、無理にそうしなくてもスポンサーが優良物件を持っているので、そこから不動産を取得すれば、確実によい物件を入手できます。(スポンサー持つパイプライン)
不動産マーケットが過熱気味となり、なかなか良い物件が見つからない時でも、森ビルが「六本木ヒルズ」や「アークヒルズ」のような優良物件を保有しているため、森ヒルズリートはそうした物件を優先的に取得できるのです。
スポンサーが不動産会社ではない場合
逆に、スポンサーが不動産会社ではない場合を考えてみます。
一番多いのは、「銀行がスポンサー」「投資会社がスポンサー」となっているケースです。
銀行は不動産の専門事業者ではないため、自分たちで物件を開発することはありません。外部のマーケットから取得し、保有している物件をリートに転売する形になります。
また、リート自身もスポンサーのパイプラインが期待できないため、外部からの物件取得をする機会が増えます。
一方で、銀行はファイナンスのプロフェッショナルですから、資金調達の面で優位性が期待できるというメリットがあります。
気をつけなければならないのは、投資会社がスポンサーとなっている場合です。
絶対に悪いとは言えませんが、個人的には投資会社がスポンサーとなっているリートは慎重に見極めなければならないと思っています。
その理由として、投資会社がスポンサーとなっている場合、リートが投資会社の出口戦略に使われる恐れがあるからです。投資会社は不動産物件を取得し、売却することによって利益を手に入れるのが主なビジネスです。(利益が出せなければビジネスになりません)
よって、売れない物件を抱えてしまったり、目標としていた利益が稼げない場合、手持ちの物件をリートに売って処分したり、不当な価格で物件をリートに売却して利益を稼ぐという、スポンサーメリットのためにリートを悪用するケースが散見されます。
そもそも、投資会社は不動産開発のプロでもファイナンスのプロでもないので、リートにとっても投資会社がスポンサーであるメリットは薄いです。
大切なことなのでもう一度言います。スポンサーが不動産会社ではないことが必ずしも悪いとは言えませんが、こうした違いに留意して投資判断を下すことも大切だと思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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