配当利回りが高すぎる銘柄に投資すると失敗するのはなぜか?
執筆者:川原裕也
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配当金による収入が目的で株式投資を始めた人も多いと思います。
また、長期投資をしている多くの人が「長期的な株価値上がりリターン」よりも「配当利回り」のようなインカム収益を重視して銘柄選定をしているのではないでしょうか。
「配当利回りランキング」のようなものをみて、配当金が高い銘柄に投資する投資家もいます。
しかし、配当利回りが高すぎる銘柄に投資をすると失敗することが多いです。今回はこの理由について考えてみたいと思います。
目次
配当利回りについて知っておくべき5つの真実
配当利回りを重視して銘柄を選ぶ場合や、配当金目当てで投資をする前に、次に紹介する5つの事実は頭に入れておくことをおすすめします。
配当利回りには時間軸が加味されていない
配当利回りは、「企業が出す配当金 ÷ 株価」の計算式で算出できます。
つまり、株価が上がると配当利回りは下がりますし、逆に株価が下がると配当利回りは上昇します。つまり、株価の動きに合わせてリアルタイムで配当利回りは変化しているのです。
配当利回りには時間軸が加味されていないので、将来もずっとその利回りが維持されるとは限りません。
配当利回りを重視した投資を行う場合は、ここに「時間軸」をプラスして、現在だけでなく将来の配当利回りがどうなるのか?についても考える必要があります。
値下がりが大きいと高利回りは一気に吹き飛ぶ
仮に配当利回りが7%の銘柄があったとしましょう。
東証一部の平均配当利回りは2%程度ですから、利回り7%の銘柄は高配当銘柄と言えます。
平均を大きく上回る利回りで、かつ黒字の会社だったら魅力的に見えますよね?
しかし、たとえ配当利回りが7%であっても、株価が10%値下がりすると1年分の配当金が吹き飛びます。そして、10%の株価下落というのは業績の下方修正や株式市況の悪化など、ネガティブな要因があればたった一日で起こりうるリスクです。
株価の下落とともに業績が悪化し減配のリスクがある
高配当利回りの銘柄を見つけたら「なぜ7%という高い利回りで放置されているのか?」を考えることが大切です。
すべての株式銘柄は個人投資家やプロが目ざとく監視しています。そのような状況で目に見える掘り出し物は存在しないというのが株式市場の正しい理解です。
おそらく、配当利回りが高い銘柄というのは株価も下落状態にあると思います。(こういうケースは非常に多いです)
これは、多くの投資家が近い将来業績が悪化すると考えている証拠です。
高配当銘柄でよくある失敗例
1.頭の良い投資家が将来の業績悪化を見越して株式を売却する
2.その結果、株価が下がり始める
3.株価が下がると配当利回りが上がる(この時点では凄く魅力的に見える)
4.業績の下方修正が発表される(株価が下落して巨額の含み損になるが、高い配当利回りに期待して保有し続ける)
5.業績悪化にともない減配(または無配)が発表される(購入時7%だった配当利回りが無配によって0%に。株価はさらに下落)
6.底なしの株価下落へ…
このように、何も起こっていない段階では「黒字で高配当の魅力的な企業」であっても、株式市場では常に先行した動きが起こるため、将来的に大きなマイナス材料が発表される可能性もあります。
高配当銘柄を狙うのであれば、「業績が向上し、将来配当利回りが上がる」など目に見えない掘り出し物を探すのが正解です。
企業の内部留保は成長の原資である
よく、黒字で儲かっているのになぜ配当を出さないんだ?という声を聞きます。
しかし、黒字の会社が利益を出し、そのお金をすべて配当金として株主に還元していては、その会社は次の成長を実現するための投資ができず、業績は横ばいか衰退の一途をたどるばかりです。
企業が成長し業績を伸ばしていくためには、常に新しい投資が必要です。そして、株主に支払う配当金を少なくするほど、会社は積極的な投資を行うことができます。
企業が残った利益の何パーセントを配当金に回しているかは「配当性向」という指標で知ることができます。配当性向が40%なら、最終利益の4割を株主に配当し、残り6割を内部留保して成長投資に使うということです。
配当性向の計算式は「1株当たりの配当金 ÷ 1株当たりの当期純利益」となります。
配当利回りが高い会社は、もしかすると配当性向が高く将来成長の期待が持てない会社なのかもしれません。
配当性向を確認して、純利益のうち配当金(株主に支払うお金)と内部留保(会社に残すお金)のバランスをチェックすることも大切です。
あわせて読みたい:
3分で学ぶ配当性向、個人投資家としてのレベルが大きく上がります
配当利回り20%以上のコカ・コーラ株
実は、株式投資で20パーセント以上の配当利回りを得る方法があります。
先ほど、配当利回りは時間軸を意識して判断することが大切だと述べました。
この考え方は、業績が向上した場合の増配で高配当利回りの果実を将来得る時に役立ちます。
例えば、東証一部の平均配当利回りが2%だとして、それと同水準の配当利回り2%の企業があったとします。この銘柄は現時点では決して高配当銘柄とは言えません。
しかし、業績の向上が期待でき、近い将来、最終利益が3倍になるとします。仮に配当性向(最終利益の何パーセントを株主に還元するか)が同じだった場合、最終利益が3倍になると配当利回りは6%になります。
しかし、業績が向上している銘柄は株価も上がる可能性が高いですから、最終利益が3倍になっている時には理論上は株価も3倍になっています。
つまり、その時にその会社の株式を購入しても、(株価が当時よりも高くなっているので)配当利回りは2%になるのです。
このように、現時点で配当利回りが2%でも、将来的に業績が向上すれば、当時の購入価格に対する利回りは6%になる可能性があるということです。
もしそうなった場合は高い配当利回りだけでなく、株式の値上がり益も得られる可能性があります。これが、将来の増配を期待して今のうちから仕込んでおくメリットです。
その典型的なエピソードを一つ紹介します。
著名投資家のウォーレン・バフェット氏が初めてコカ・コーラ株を購入したのは1988年です。この当時、コカ・コーラ株は配当利回りが高いということはなく、ごく普通の銘柄でした。
バフェット氏はその後もコカ・コーラ株を保有し続け、現在のコカ・コーラ株は20%以上の配当利回りを生み出しています。そしてそれ以上に、膨大な含み益を手にしている状態です。
しかし、現時点のコカ・コーラ株もまた高配当銘柄というわけではありません。記事執筆時点での配当利回りは3%程度でした。
わかりやすく言うと、A社が「利益の50%を配当に回す」と決めていた場合。
A社の利益が100円の時に、購入価額2,500円でA社株を購入したとします。
この時のA社の配当金は50円ですから、「50 ÷ 2500 = 配当利回りは2%」です。
その後、A社の業績がよくなり10年後にA社の利益は1,000円になっていました。
この時の配当金は500円になっており、当時2,500円でA社株を買っていた人は「500 ÷ 2500 = 配当利回りが20%」になっているのです。
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配当利回りの変化に注目
このように考えると、配当金はあくまでもオマケのような存在であり、大切なのはその会社の将来の業績がどうなるか?を予想することにあることがわかります。
そして、会社の将来を予測することは配当狙いの投資家であっても、値上がり益狙いの投資家であっても同じだということに気づきます。
現時点での配当利回りだけに目を奪われることなく、時間軸を考慮して将来の利回りがどう変化していくのか?も見据えながら投資を行うことで、高配当銘柄に飛びついて失敗してしまう確率も減らせると思います。
続いては、株式投資よりも利回りが高い「リート投資で毎月分配金を得る3つの方法」です。
▼上場企業の中には「四半期配当」を実施している会社もあります
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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証券マンがおすすめするファンドラップの評判を信じて買って良いのか
1件のコメント
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