ETFと投資信託の違い、信託報酬はなぜ安いのか?メリット・デメリット
執筆者:川原裕也
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投資信託には、一般販売している「(通常の)投資信託」と「ETF(Exchange Traded Fund)」と呼ぶ投資信託があります。
どちらも投資信託であることには変わりないのですが、(通常の)投資信託は証券会社の窓口やネットを通じて購入・売却(解約)を行います。
一方、ETFは株式と同じく、銘柄名または証券コードを入力して、証券会社を通じて東証などの証券取引所で売買を行います。
今回は、ETFと投資信託の違いやメリット・デメリットをまとめます。
目次
ETFと投資信託の大きな違い
ETFは日本語で「上場投資信託」と呼ばれており、いわゆるソフトバンクやトヨタ自動車などの上場企業と同じように「上場」しています。
企業ではなく「投資信託」そのものが上場しているのです。
つまり、証券取引所を通じて株式を購入・売却するのと同じように、自由に売買することができるのがETFの特徴です。
また、株式銘柄と同じように取引状況に応じてリアルタイムに株価(基準価格)が変わります。
一方、通常の投資信託は基準価格が毎日変わりますが、リアルタイムではありません。基準価格の変更が行われるのは1日1回です。
ETFの中身は通常の投資信託と変わりません。しかし、取引方法が株式の個別銘柄と同じような扱いであるという点が、通常の投資信託と大きく異なる部分です。
手数料が違うので信託報酬が低い
ETFは、一般的な投資信託と比較して信託報酬が低いという特徴があります。
中でも、世界的に有名なバンガードETFは、その圧倒的な信託報酬の低さから、多くの投資家が好んで購入しています。
ETFの信託報酬が安い理由は、販売会社手数料がないからです。
通常の投資信託は、証券会社や銀行などの金融機関が販売しています。証券会社の営業マンが様々な種類の投資信託を持ち込み営業してきます。
それはなぜかと言うと、投資信託を販売すると、銀行や証券会社は、投資信託の資産運用会社から販売手数料が受け取れるからです。
投資信託の販売手数料は、金融機関によって大きな収入元のひとつとなっています。
あまり知られていませんが、金融機関が受取る投資信託の販売手数料は2つあります。
1.購入時手数料
購入時手数料は投資信託によって決められますが、目論見書などには「上限」手数料だけが表記されています。
つまり、購入時手数料の「定価」は設定されているものの、証券会社や銀行といった販売者によって自由に割引をしても良いことになっています。
実際、銀行や大手証券会社よりも、ネット証券の方が購入時手数料が安いことが多いです。
購入時手数料はすべて、投資信託を販売した証券会社の手数料になります。
また、購入時手数料0円の「ノーロードファンド」も存在します。
ノーロードファンドは最初から定価が0円に設定されているので、どの金融機関で買っても購入時手数料は無料です。
ノーロード投信は、金融機関も「購入時手数料が0円です」とアピールしやすいメリットがあります。
なぜ、購入時手数料0円でも金融機関が販売してくれるのかというと、「信託報酬」というもう一つの手数料が存在するからです。
2.信託報酬
信託報酬(運営管理費用)は、投資信託を保有し続けている間「年率」で毎年発生する手数料です。
投資信託の目論見書を見るとわかるのですが、信託報酬は「受託会社・販売会社・信託会社」に分配されます。
受託会社は資産運用会社のことを指し、資産運用のプロに支払う手数料です。
販売会社は銀行や証券会社などの金融機関のことを示し、彼らにとって投資信託を販売したことによるもう一つの収入源となります。
信託会社は信託銀行のことを示し、資産運用会社から受けた支持に従って注文を出したり、購入した証券の管理業務を行うことによる報酬となります。
しかし、ETFは金融機関の窓口で販売されるわけではなく、すでに市場で自由に取引されているものを買うだけなので、販売会社(金融機関)への報酬は不要です。
よって、信託報酬の中から販売会社手数料がなくなるため、一般的な投資信託よりもETFの方が信託報酬が低くなるのです。
ただし、ETFは市場買付が必要なため、株式取引手数料がかかります。株式の売買手数料は証券会社によって異なります。当然、大手証券会社よりもネット証券で取引したほうがコストは低いです。
◆ETFと投資信託の違いまとめ
項目 | 投資信託 | ETF |
---|---|---|
購入時手数料 | 必要(手数料0円のノーロードも) | 不要 |
信託報酬 | 高い | 低い |
売買手数料 | 不要 | 必要 |
価格変動 | 1日1回 | リアルタイム |
ETFのメリット・デメリット
続いてETFのメリット・デメリットをまとめます。
前述のとおり、ETFには信託報酬が低いという圧倒的なメリットがあります。
また、リアルタイムで自由に売買ができるというのも大きな利点の一つです。
しかし、ETFならではのデメリットも数多く存在します。
自動積立ができない
私がETFの最大のデメリットだと考えているのが、自動積立ができないことです。
投資信託は自動積立ができるので、毎月1万円などと設定をしておけばあとは口座にお金だけ入れておけば自動的に定期買付が行えます。
しかし、ETFは市場で売買されているものなので、自分自身で注文を出して購入・売却をしなければなりません。
つまり、毎月月初に積立をしようとする場合、毎月1日に自分でETFの価格を見ながら注文を出す必要があり、これは資産運用に時間をかけたくない人にとってあまりに面倒な作業です。
資産運用を10年、20年という長期のスパンで考えている場合、20年間ずっと、毎月決まった日にETFで注文を出し続けるというのは考えたくないですよね。
この問題はロボアドバイザーを使って解決することができます。(詳細は後述します)
また最近は、SBI証券が「海外ETFの自動買付サービス」を提供しており、海外ETFにおいては実質的に自動積立が可能となっています。
適切な価格で買うことができない
ETFは市場でリアルタイムに取引されている株を買うようなものなので、適切な価格で買えないことがあります。
売買状況によっては、理論価格よりも少し安く買えることもあれば高く買わなくてはならないことも多いです。また、流動性が限られているため、取引量が多くなると出来高の少ないETFは思い通りに売買することが難しくなります。
例えば、理論価格が1,000円のETFがあったとして、自分は1,000円で売却したいと思っていても、その時市場に1,000円で買ってくれる人がいなければ取引を成立させることができません。
その点、投資信託は基準価格が決まっており、更新頻度も1日1回です。インデックスファンドであれば、ほぼ理論価格通りの値段で買うことができます。
海外ETFだと売買が難しい場合も
最近は円建てのまま直接、海外ETFを取引できる証券会社が増えました。
しかし、基本的に海外ETFを購入する時は「円資産をドル資産などに両替し、ドル資産で買付を行う」という手順が必要となります。
もちろん保有している海外ETFを売却した後は、再び「外貨 → 円」の為替の両替が必要となります。
海外資産にも投資をしたい考える人は多いと思いますが、円を外貨に替えてさらに海外ETFを購入するという手順は、資産運用の初心者にとってはやや敷居が高いように思います。
一方で、投資信託であれば海外に投資するファンドを1本購入するだけで、両替や買付なども含めてすべて自動的にやってくれます。
- 自動積立ができない
- 思い通りの価格で買えないことも
- 海外ETFの取引は初心者にとって敷居が高い
一般販売されている投資信託は、これらのデメリットをすべて解消している。
一方、ETFには信託報酬(保有時に発生するコスト)が低いという大きなメリットがある。
どちらを選択するかは、「自分が資産運用にどれだけ労力をかけたいか?」による。
ロボアドバイザーという選択肢
最近、資産運用の初心者を中心に人気となっているのが「ロボアドバイザー」です。
ロボアドバイザーは、
などが代表的なサービスで、ロボットにすべてをお任せするだけでプロ並の資産運用ができるというのがメリットです。
ここで言う「プロ」は資産運用で大金持ちになるような人ではなく、適切に正しい資産運用をする人という意味です。
つまり、ウェルスナビやTHEO(テオ)といったロボアドバイザーを活用することで、知識がない人でも無難だけどそれなりの資産運用ができるようになります。
すでに投資経験がある人からすると、「面白みにかける」「手数料が高い」などの意見もあるロボアドバイザーですが、初心者にとっては非常にメリットの大きいサービスだと私は考えています。
ロボアドバイザーの手数料は年率1.1%(税込)です。
投資経験があり、自分でETFを積極的に売り買いしている人からするとこの手数料率は高いと感じるかもしれません。
海外ETFの自動積立が可能
ロボアドバイザーは海外ETFを取引対象としており、手軽に世界分散投資が行えます。
また、選択するETFも前述のバンガードETFのような信託報酬が低コストのものが自動的に選ばれるため、海外ETFの知識がない人でも最適な銘柄を購入できます。
資産構成のバランスが崩れて来たときは、自動的に値上がりし割高となったETFを売却し、値下がりし割安となったETFを買い増しすることでバランスを整える「リバランス」を行います。
私たちは最初にロボアドバイザーの簡単な質問に答えるだけで「自分の投資方針」を決定することができます。
あとはその投資方針に従って、資産運用に必要なあらゆることをすべてロボアドバイザーが自動的に、それもプロと同じ方法でおこなってくれるのです。
また、ロボアドバイザーは自動積立が設定できるので、面倒な海外ETFの積立てもすぐに設定できます。
さらに、海外ETFの取引には「為替コスト・売買手数料」などがかかりますが、これらの手数料もすべて含めて年率1.1%(税込)の手数料で資産運用を代行してくれます。
「将来に備えて資産運用の勉強をしなくては」と思っている方も多いと思いますが、ロボアドバイザーを使うことで資産運用の勉強や取引に時間をかけることなく「無難だけどそれなりの資産運用」を実現することが可能です。
あわせて読みたい:
ウェルスナビとテオはどちらを選ぶべき?ロボアドバイザー比較のまとめ
まとめ
私たちは、ETFや投資信託を通じて国内・海外に分散投資できます。
運用することで資産を少しでも多く増やしたいという方にとって最良の選択肢は、最もコストが低いETFによる売買です。
しかし、ETFには相応の知識が必要であったり、自動積立ができないなどのデメリットもあります。
長期の積立による資産運用をしたい場合は、(通常の)投資信託の購入が最適であり、これが最も多くの人が資産運用に利用している方法です。
また、もう一つの選択肢として話題となりつつあるのが、ロボアドバイザーの存在です。
ロボアドバイザーは低コストな海外ETFの自動積立を可能にし、資産運用の方針に従って複数のETFの組み合わせ、最適なポートフォリオ(資産構成)を作ってくれます。
また、定期的なリバランスによって資産構成のズレを調整してくれる機能もあり、資産運用について一切考えなくても運用に必要なすべての作業を自動的に行ってくれます。
投資経験者からすると、ロボアドバイザーの手数料はやや高めとなっていますが、投資以外のことに多くの労力と時間を割きたい人にとっては最も優れた選択です。
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ロボアドバイザー選び方入門、つみたてNISAとiDeCoでロボアドを使うには?
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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