松井証券の投信工房の実力は?中身を見ると本気度が感じられる内容
執筆者:川原裕也
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松井証券は、大正時代に創業した歴史を持ちながら、革新的なサービスを提供し、大手ネット証券の一社に変革をとげた証券会社です。
様々なサービス提供する松井証券ですが、投資信託の販売においては長らく休止状態となっていました。
しかし、ここにきて新しく「投信工房」というサービス名で投資信託の取扱を再開し、最先端のロボアドバイザー技術を導入した運用サポートをはじめました。
投資信託のラインナップ数においては他社に劣る印象があるのは事実ですが、中身を見ると「松井証券の本気度が感じられる内容」で驚きました。
個人投資家として注目する価値があると思ったの取り上げます。
目次
投資信託のラインナップがすごく良い
投資信託の種類が豊富な証券会社は一見魅力的に見えますが、松井証券の投資信託は決して品揃えが多いとは言えません。投資信託の品揃えだけで選ぶなら、2,000種類以上の投信を扱うSBI証券などの方が良いと思います。
しかし、ただ取扱数が多いだけでなく、本当に良いものだけを厳選しているのが、松井証券の投資信託だと私は思います。
購入時手数料0円のノーロード投信のみ
松井証券の投信工房で扱う投資信託は、すべて購入時手数料0円の「ノーロード」です。
※購入時手数料が有料の商品は全額ポイントにて還元(ただし消費税分を除く)
投資信託の中には、購入時にかかる手数料が購入額の3%程度となるものも多いです。3%の手数料というのは運用結果にも大きな影響を与えるレベルの数字です。
投資信託では、0.1%でも低コストな商品を選択することが重要であることは、多くの投信ブロガーの意見を見ても共通しています。
松井証券の投信工房は徹底して低コストにこだわりぬいているため、コストを抑えたポートフォリオ(資産構成)を作ることが可能です。
信託報酬の低い人気投信ばかりが揃う
投信工房のラインナップを見てみると、信託報酬やトータルコストが低い良質な投資信託を選定していることがわかります。
ここで言う「良質な投資信託」というのは、証券会社がおすすめする人気の投信ではなく、投信ブロガーなどが推奨する「本当によい投資信託」のことです。
つまり、ある程度投資経験がある人が見れば、投信工房は顧客目線で設計されたサービスだということがすぐにわかります。
投信工房の主なラインナップ
- たわらノーロードシリーズ
- 三井住友・DCシリーズ
- ニッセイインデックスファンド
- インデックスeシリーズ
- SMTシリーズ
- eMAXISシリーズ
- i-mizuhoシリーズ
初心者の方が見るとピンとこないかもしれませんが、「本当に顧客視点の良い投資信託だけを集めてきたな。」というのが正直な感想です。いずれも資産形成には有利な低コスト投資信託ばかりです。
厳選しているとは言え、松井証券の投信取扱本数は数千本以上なので、どれを選べば良いのか迷うのも事実です。
そこで投信工房の提供する「ロボアドバイザー」が鍵となります。
ロボアドバイザーが最適なポートフォリオを提案
松井証券が取扱う投資信託は、低コストで良質なファンドが多いのですが、その数は数千種類以上にものぼります。
多数の商品の中から自分の運用方針に従い、良い投資信託を選び抜くのは簡単なことではありません。そこで活用したいのが、投信工房の「ロボアドバイザー」による提案です。
投信工房では、8つの質問に答えるだけで自分に最適なポートフォリオ(投資信託の組み合わせ)を提案してくれます。
最適な運用をするためには、1つの投資信託に集中して投資するのではなく、複数の投資信託をバランスよく保有し分散投資することが重要です。
しかし、どの投資信託をどれくらいの比率で組み合わせば良いかは、ある程度投資経験のある人でも判断が難しいものです。
ロボアドバイザーを活用することで、一人ひとりの運用方針に則った合理的な判断がリアルタイムで可能となります。
ファンドラップの運用報酬は0円に
上記の図が示すとおり、ロボアドバイザーの機能は大手証券会社がファンドラップサービスで手作業でやっている仕事と同じです。
ファンドラップでは、人間の手作業で投資信託を選定する分、運用報酬が高コストになります。
しかし、松井証券の投信工房は人が手作業で行う「投信の選定」をロボットが行うため、低コストです。(利用料が一切かからない)
わかりやすく言うと、「最適な投資信託を選ぶお手伝いを無料で行うので、松井証券で投資信託を買ってくださいね」ということです。
これが投信工房の本質です。
ファンドラップ(投資一任サービス)は、オーダーメイドで運用先の選定を行い、実際の運用もすべて代行できる「おまかせサービス」として便利です。
ここ数年でファンドラップの利用者数は大きく伸びましたが、一方で「手数料の高さ」が問題視されています。
ファンドラップでは、
・投資先の選定にかかる手数料(運用報酬)
・投資先となる投資信託に支払う手数料(信託報酬等)
の2つのコストがかかります。
この2つのコストを、大手証券会社のファンドラップと松井証券の投信工房で比較したものを下記に示します。
大手証券会社
運用報酬:手作業で投資先を選ぶので高コスト
投資信託:自社グループのファンドから選ぶため、高コストな投資信託をポートフォリオに組み入れられることが少なくない(証券会社にとって都合が良い)
投信工房(松井証券)
運用報酬:ロボットが行うので低コスト(というか無料)
投資信託:「低コストを徹底した投資信託選びを行う」と公式サイトに記載
※投信工房はファンドラップに近い内容ですが、厳密には投資一任サービスではありません。
ロボアドバイザーにお任せして本当に大丈夫なのか?
投資信託の選定をロボットに任せて本当に大丈夫なのか?手作業の方が安心できるのではいか?と思うかもしれません。
しかし、私個人の意見としては「手作業よりもロボアドバイザーの方が安心できる」と思っています。その理由は2つあります。
1つめの理由が、ロボットはプログラムで動くので合理的です。証券会社に有利になるようにポートフォリオを組むようなことはなく、中立性が保たれています。
ただし、一部のロボアドバイザーは「本当に中立的か?」と思えるような商品を提案してきたりするので、すべてのロボアドバイザーが信用できるとは限りません。
松井証券のロボアドバイザー「投信工房」は、公式サイトで「低コストを徹底した投資信託選びを行います。購入時手数料だけでなく、保有している間にかかる信託報酬等の費用も考慮し、低コストでの運用を目指します。もちろん、投信工房の利用料は全て無料です。
」と明示していることからも、信頼のおけるサービスであることがわかります。
2つめは、手作業で投資信託を選んだからと言って、運用結果が良くなるわけではないということです。
運用の世界は複雑な計算結果で成り立っています。証券会社で働くプロが、自分の裁量やセンスで、適当に運用先の投資信託を選ぶことはありません。
プロの証券マンもロボットも、あくまでも一定の計算結果(現代ポートフォリオ理論など)に基づいて投資信託の選定を行うので、手作業でもロボットでも結果は同じになります。
投信工房では、ポートフォリオに組み入れる投資信託の選択根拠として、「現代ポートフォリオ理論の「平均分散アプローチ」をベースとした手法」を使うとしています。
この手法は最も定番の方法で、金融業界では幅広く使われている方法です。
モデルポートフォリオは、数理的・統計的にリスク分散効果を計算し、最適なポートフォリオを導き出す、現代ポートフォリオ理論の「平均分散アプローチ」をベースとした手法で構築します。
平均分散アプローチは、富裕層や世界の機関投資家(年金基金やソブリンウェルスファンドなど)が利用する代表的なポートフォリオ運用手法です。
むしろ、人間の手が介在しない分、中立的に判断してくれるロボットの方が安心です。
あとは、前述のようにコストをかけることなく、最適なポートフォリオが組めるというのが大きいですね。
自分の裁量を加えることもできる
投信工房では、ロボアドバイザーの提案したポートフォリオに、自分の裁量を加えることができます。
「ロボアドバイザーの作ったポートフォリオには基本的に賛成だけど、もう少し外国株投信の比率を上げたい・・・」など、自分でポートフォリオをコントロールすることが可能です。
こうした柔軟性は、ファンドラップや他のロボアドバイザーにはない機能です。
ただ、ポートフォリオの設計は一定の投資理論に基づいて最適化されているので、私としては素直にロボットのアドバイスに従う方が無難だと思います。
もし「外国株投資の比率を上げたい」などの希望があれば、投信工房のポートフォリオとは別に、追加で投資信託を買い付けた方が良いと思います。
リバランスや運用方針の見直しも自由
実際に資産運用を続けていると、徐々にポートフォリオの見直しが必要となります。
①運用方針の見直し
運用方針の見直しタイミングは大きく2つあります。
1つめは、実際の運用が上手くいっていない時です。これはできれば起こってほしくない、見直しタイミングです。
運用で大きな損が出ている状況では見直しもやむを得ません。ただし、ロボアドバイザーによるポートフォリオの構築では、現代ポートフォリオ理論に基いた資産構成を行うため、大きな失敗は起こりにくいと思います。
2つめは、人生のステージが変わるタイミングに合わせた運用方針変更です。
例えば、若いうちは資産運用で失敗しても取り返せるので、リスクを取って運用することができます。
しかし、会社を退職する年齢になると、リスクを抑えた運用を重視し、リターンは少しでも得られれば良いという方針に変化していきます。
資産を「増やす」段階から、徐々に生活資金のために「取り崩しながら少しでも資産の減少スピードを遅くする」という段階へとシフトしていくのです。
こうした、人生のステージが変化する過程でも、運用方針を見直すことがあります。
②リバランス
例えば、運用開始時に、不動産25%、債券25%、株式25%、金25%というポートフォリオでバランスを取っていたとします。
しかし、この比率は運用を続けているうちに少しずつ崩れてきます。
例えば、株式が極端に値上がりし、その他の資産が値下がりすると、ポートフォリオ全体に占める株式の比率が高くなります。
こうなるとバランスの取れたポートフォリオとはいえなくなってしまうので、定期的にポートフォリオを元の配分に戻す「リバランス」という作業が必要となります。
つまり、値上がりした資産を売却して、その利益で値下がりし割安になった資産を買い増すという作業です。
上記の画像を見ていただければ、リバランスがどのようなものかイメージしやすいと思います。
松井証券の投信工房では、リバランスを一括で行ってくれる機能があるので、投資家が手間をかける必要がありません。
また、運用状況についても、経済の変化に合わせてポートフォリオの見直しを提案してくれる機能があります。
特許出願中のリバランス積立も
投信工房では、あらかじめ設定しておいたタイミングでリバランスを行う「自動リバランス」の他に、「リバランス積立」というユニークな機能が使えます。
リバランス積立とは、購入時の投資比率を常に変化させることで、リバランスを実現するというもの。
通常のリバランスは、資産構成比率が崩れてきた段階で、定期的に保有資産の一部を売却・買い増しすることで、資産構成比率を元に戻すというやり方です。
一方、リバランス積立は、保有資産の売却・買い増しはせず、新規積立のときに購入比率を調整するという仕組みです。
例えば、保有資産全体のうち、株式比率が高くなりすぎ、債券比率が低下している場合。
通常のリバランスでは、株式を一部売却し、得た資金で債券を購入することでリバランスします。
対して、リバランス積立では、毎月(または毎週・毎日)の積立において、株式の購入比率を減らし、債券の購入比率を高めることでリバランスを実現します。
これらの作業を自動的に行なってくれるのが、リバランス積立の特徴です。
現在、特許出願中の松井証券ならではの機能です。
もちろん、投信工房を使えば、リバランス積立の機能は無料で利用可能です。
積立投資は100円から
100円から投資信託の積立購入ができます。
積立のペースも毎月・毎週・毎日から選択できるので、コツコツと資産運用を始められるのがメリットです。
投信工房ではロボアドバイザーが様々な情報を配信してくれるので、お子さまの投資教育にも使えるのではないかと思いました。
こちらの積立シミュレーターで運用リターンを試算できます。毎月100円を積み立てる場合は積立金額を「0.05」としてください。
積立シミュレーター
毎月の積立額万円
利回り(年率)%
積立期間年
ヶ月間
計算結果(グラフ)
計算結果(表)
投信工房のまとめ
松井証券の投信工房は、低コストな「本物志向の投資信託」が選べるサービスです。
すべてノーロード投信(購入手数料無料)であり、信託報酬等のコストが低く投資信託をロボットが厳選して選びます。
そして、投資家それぞれの資産設計に合わせて最適なポートフォリオ(投資信託の組み合わせ)を提案してくれます。
ポートフォリオの構築は、ロボットが提案してくれるため、提案にかかる費用(運用報酬)は0円です。
ロボアドバイザーの提案は、現代ポートフォリオ理論に基き、中立的かつ合理的に行われます。(現代ポートフォリオ理論は富裕層や世界の機関投資家が使う代表的な運用手法)
投資家はロボアドバイザーの言うことに従うこともできますし、自分で裁量を加えたポートフォリオを作ることも可能です。
運用方針の見直しはいつでも行うことができます。そして、ポートフォリオの資産構成が崩れてきた時は、一括でリバランスを実施することができます。
また、毎月・毎週・毎日の積立投資が100円から可能で、バランス良く積立ができる「リバランス積立(特許出願中)」も無料で利用できるので、投資初心者でも利用しやすい設計になっています。
松井証券は、投資信託としては後発ですが、かなり研究し尽くされたサービスになっていますね。
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