酒田五法の見方 1兆円を稼いだ普遍的なチャート分析のパターン
執筆者:川原裕也
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日本で生まれた実用度の高いテクニカル分析手法で、すぐにトレードに取り込めます。
株式投資やFXでは様々なテクニカル指標を使いながらチャート分析をおこないます。
特に株式投資ではその基礎としてローソク足チャートを活用することが多いです。
今回紹介する酒田五法(さかたごほう)は数日間のローソク足の動きによってその後の相場展開を予想するという手法で、本間宗久という日本人が生み出しました。
本間宗久は江戸時代の相場師です。つまり、酒田五法は江戸時代から脈々と受け継がれてきたチャート分析であり、今なお機能している普遍性のあるものです。
ちなみに、本間宗久は酒田罫線法(酒田五法)を使って1兆円を稼ぎ大成功を納めたのだとか。
私も、チャートを見た時に酒田五法をヒントとして、その後の相場展開を考えることが少なくありません。
ローソク足の見方が理解できていることが条件となりますが、身につけておいて損のない投資手法の一つです。
一度覚えれば使い方は難しくないので、今日のトレードからすぐに活かせます。
酒田五法は下記の5つからなります。
- 三山(さんざん)
- 三川(さんせん)
- 三空(さんくう)
- 三兵(さんぺい)
- 三法(さんぽう)
三山(さんざん)
三山(さんざん)は上昇相場の天井を表すサインです。別名「トリプルトップ」と呼ばれています。
相場は一本調子で上がっていくわけではなく、上昇しては一時的に売られて押し目を作り、そこからまた上昇に転じて高値を超えていく「波」のような形になることはグランビルの法則でも述べました。
しかし、高値抵抗線の売り圧力が強い場合、上記の図のような動きになります。
1.高値をつけてから一旦下落し押し目となる
↓
2.再び高値にチャレンジするが超えられずに押し戻される(ダブルトップ)
↓
3.さらにもう一度、高値にチャレンジするが超えられず押し戻される(トリプルトップ)
つまり、三山とはチャートの形が3つの山になった状態です。
この状態になると株価は高値を目指す圧力を失い、上昇トレンドから下落トレンドへ転じる可能性が高いということです。
ダブルトップの状態になった時点で上昇トレンドが終わることも多いのですが、3度目のチャレンジでも高値を超えることができなければ、高い確率で相場は終わるだろう。
これが三山の考え方です。
三尊(さんぞん)
三山と同じ考え方で、三尊天井(さんぞんてんじょう)というものもあります。
三尊も基本的には三山と同じです。
ただ、こちらは海外でも知られているチャート分析であり、人間の頭と肩のように見えることから「ヘッドアンドショルダー」と呼ばれています。
三山も三尊も、3つの山を築いたら一旦は売っておけという点で同じです。
三川(さんせん)
三川(さんせん)は、三山の逆バージョンで買いシグナルとなります。
いわゆる「トリプルボトム」というもので、底割れがおこらずに3つの谷を作ったら、その後株価は反転するという考え方です。
下がり続けている株価もいつかは底入れし反転します。
株価の下落が続くと、割安感が出てきたり、大量に出ていた売り物が売り尽くされるため、徐々に買い圧力も大きくなってきます。
しかし、売り圧力がなくなったからといってすぐ反転とはならず、大抵は株価が下げ止まり、そこから底値圏で揉み合いが始まります。
ダブルトップと同じで、ダブルボトムも買いサインの1つです。ダブルボトムからさらにもう一度谷を作って、トリプルボトムになればより高い確率で株価が上昇に転ずるというわけです。
三尊と同じく、三川は「逆三尊」とも呼ばれています。
- 三山 ≒ 三尊
- 三川 ≒ 逆三尊
三川明けの明星・三川宵の明星
三山・三川ともに「3つの山(もしくは谷)」を表す酒田五法だと解説しました。
しかし、三川にはもう一つの使い方があります。それは「3本のローソク足によってシグナルを読む」方法です。
3本のローソク足で売買シグナルを判断する方法を「三川明けの明星(買シグナル)」、「三川宵の明星(売りシグナル)」といいます。
三川明けの明星
下落トレンドからの反転を示す「三川」のパターン。
「大きく下落 → 下落幅が縮まる → 大きく上昇する」
このパターンを三川明けの明星と呼び、トレンドの転換による買いシグナルと判断する。
三川宵の明星
上昇トレンドからの反落を示す「三川」のパターン。
「大きく上昇 → 上昇が鈍化 → 大きく下落する」
このパターンを三川宵の明星といい、上昇トレンドの終了による売りシグナルと判断する。
三空(さんくう)
三空(さんくう)は上がりすぎを示すサインです。
日本の株式市場は「板寄せ方式」を採用しているため、前日終値と当日始値の間に差が生じる場合があります。
前日終値よりも高く始まることを、ギャップアップといい、前日終値よりも安く始まることをギャップダウンといいます。
個人投資家のBNFさんは、ギャップアップとギャップダウンの特性に目をつけ、スイングトレードで巨万の富を築いたことで知られています。
例えば、株式市場が終わってから業績予想の上方修正が発表されると、次の日はギャップアップして高値でスタートすることが多いです。
ギャップアップ・ギャップダウンの際に生じるのが「窓」の存在です。「窓(酒田五法では空と呼ぶ)」は株式投資のチャート分析ではとても重要な要素なので必ず押さえておきたいポイントです。
酒田五法の「三空」は、チャートが3つの窓(空)を連続して付けたら相場転換のサインになるという考え方です。
言い方を変えると、3回連続でギャップアップしたら三空となり売りサインとなります。上昇時の三空は「三空踏み上げ」といいます。
逆に、3回連続でギャップダウンした場合も三空となり、こちらは買いサインとなります。下落時の三空は「三空叩き込み」といいます。
しかし、極端に強いトレンドの場合「四空・五空・六空」も平気で出てしまうのが現実の株式市場です。
三空踏み上げで一旦利益確定をするのであれば良いですが、三空叩き込みを買いサインだと信じ切って逆張りをすると、下げがとまらず底なし沼にはまってしまい、大ダメージを被ることもあります。
三空叩き込みで下げ止まらなければすぐに損切りをする心得は持っておくことをおすすめします。
陽線・陰線が混在しても注意
三空は陽線・陰線に限らず「ギャップアップが3回連続して起こること」を売買サインにしています。
上昇トレンドでギャップアップする時に、陰線が交じることもあれば、ギャップアップしながらローソク足に陽線が交じることもあります。
しかし、いずれの場合も3連続で窓を作っていることには限らないので、下落時に陽線が出たからといって安易な反転は期待しないほうが良いでしょう。
三兵(さんぺい)
三兵(さんぺい)は、陽線または陰線が3連続する形のことです。
陽線が3連続することを「赤三兵」と言い、陰線が3連続することを「黒三兵」または3羽のカラスに見えることから「三羽烏」と呼びます。
いずれも、力強い動きを表すローソク足の形で相場の転換点を示す事が多いです。
赤三兵(陽線の連続)
・底値圏で発生すると上昇転換の兆し(下落トレンドの終了)
・高値圏で出ると極めて強い上昇(ただし三空には注意)
黒三兵(陰線の連続)
・高値圏で発生すると下落転換の兆し(上昇トレンドの終了)
・底値圏で出ると極めて強い下落
例えば、高値圏で赤三兵が出れば極めて力強い上昇であると考えることができます。
しかし、ギャップアップを伴う連続陽線は、三空(行き過ぎによる売りシグナル)にもなりますので、吹き上がっているからと言って必ずしも買い参戦すべきタイミングではないということに注意が必要です。
三法(さんぽう)
三法(さんぽう)は「押し目」からの復帰を売買シグナルとする酒田五法の一つです。
ローソク足チャートでは、三兵のように連続陽線で上昇していくこともありますが、大抵は上がっては一時的な押し目を作り、もう一度上がって高値を更新しては押し目を作るという波を描きます。
上昇トレンドにおいて、大きな上昇の後、一時的な押し目・保ち合いが起こり、そこからもう一度上に抜けたら買シグナルとなります。
また、下落トレンドでは、大きく下落した後に一度は小さな反発や一時的な下げ止まりが起こりますが、その後また下落が始まり下抜けてしまったら売りシグナルです。
特に下落局面では、一時的な下げ止まりを底値だと勘違いしてしまって底なしの下落に巻き込まれるということが少なくありません。
投資初心者の方が間違って大損をする代表的なパターンの1つなので、こうした一時的な下げ止まりは「酒田五法の三法の可能性がある」ことを考えて、底値を割った時点で損切りをするべきです。
底値割れした瞬間に空売りを仕掛け、すぐに利益確定をする手法は専業のデイトレーダーの間でもよく使われています。
三法には売り買いが拮抗していて方向感が見えないという意味もあるようです。
ローソク足は奥が深い
酒田五法は、チャート分析の基礎となるローソク足の見方のひとつに過ぎません。
難しいテクニカル分析を学ぶことも大切だと思いますが、ローソク足は奥が深くシンプルだからこそ普遍的で応用も効きます。
酒田五法は株式投資だけでなく、FXやその他の取引でも使えます。
江戸時代に1兆円を稼いだ相場師の手法が今でも受け継がれているというのは興味深いですね。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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