テンバガーの見つけ方、ピーター・リンチが教える10倍株の発掘法がすごい
執筆者:川原裕也
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テンバガーとは、株式投資の用語で「株価が10倍以上に上昇すること」です。
株式投資では、上手くいっても2倍、3倍のリターンがせいぜいですが、中には株価が10倍や20倍に上昇する銘柄も存在します。
株価の上昇スピードもまちまちで、10年程度で10倍に成長する株もあれば、1~2年程度で急激な上昇を見せ、テンバガー銘柄になる株もあります。
この記事では、成長株投資で特に有名な「ピーター・リンチ」の投資手法を参考に、テンバガー銘柄の条件を整理してみたいと思います。
目次
テンバガー(10倍株)の条件
ピーター・リンチは米国の投資家です。伝説的な「マゼランファンド」のファンドマネージャーを務めた人物です。
特に「成長株投資」に強みをもっており、株価が大きく値上がりする銘柄を多数発掘してきた人物です。
ピーター・リンチの著書「ピーター・リンチの株で勝つ – アマの知恵でプロを出し抜け」には、テンバガーの見つけ方が細かく書かれています。
この記事ではその中でも、私が特に重要だと思ったポイントをまとめます。
身近なところにヒントがある
私たち投資家が忘れがちで、かつピーター・リンチがおすすめする「最高の方法」に「身近なところでヒントを見つける」という考え方があります。
私たちはつい、ROEが高いとか、PERが低いといった理由で、スクリーニングの絞り込み条件にヒットした銘柄を買ってしまいます。
また、「Twitterで誰々がおすすめしていた」とか「株式市場で人気化している」などの理由で、銘柄選びをしてしまう人も多いと思います。
しかしピーター・リンチは、テンバガーを見つけるには「自分の日常生活からヒントを見つける」ことの大切さを語っています。
身近なヒントとは、例えば以下のようなものです。
「最近、近所にレストランチェーンの◯◯が出店し、とても流行っている」
「スポーツが好きなので、新しいスポーツシューズを買いに行ったところ、◯◯のメーカーの靴はコストパフォーマンスがとても良く、走りやすかった」
「自分の働いている業界の取引先である◯◯は、誠実な社員が多く、今回の新製品も素晴らしかった」
「勤務先にやってくるお客さんが最近、◯◯についてよく話をしている」
このように、自分の仕事や日常生活でアンテナを張り巡らせ、「流行(ブーム)」や「まだ知られていない隠れた良さ」を見つけることが「身近なヒント」です。
兜町で日々売買をしているプロ投資家は、新聞やマーケットニュース、株価の動きなど「株式市場の周りで情報を集めている」人が多いです。
しかし、商品やサービスのヒットが利益を生み、利益の急増が株価上昇につながるわけですから、私たちは自分たちの得意分野や生活範囲で「流行り」を見つけるべきなのです。
以下、ピーター・リンチの言葉です。
少し意識的に自分の仕事や近所の商店街などで起こっていることを見るだけで、ウォール街が気がつくよりずっと以前に、すごい銘柄を見つけることができる。
自分の働いている業界の変化や、消費者としての情報を意識的に利用すれば、一〇倍になる株を見つけられるだろう。
大切なことは、ウォール街が知る前に、消費の最前線にいるあなたが知るチャンスのほうが高いという点である。
一般投資家のなかには、町に行ってドーナツを食べることが株式の基礎的調査の第一歩になる、と気づいていない人が多く見られる。
出典:ピーター・リンチの株で勝つ[新版] アマの知恵でプロを出し抜け
ウォール街には古代ギリシャ人のように考える面がある。古代ギリシャ人は何日も何日も座ったままで馬には歯が何本あるかなどと議論を戦わせていた。
彼らは馬を見ないで、座って考えているだけで答えが見つかると思っていた。
投資家のなかにも、会社そのものを調べないでも、座って議論していると金融の女神がどの株が上がるか答えを教えてくれるように思っている人がたくさんいる。
出典:ピーター・リンチの株で勝つ[新版] アマの知恵でプロを出し抜け
※ウォール街とは、日本で言う「兜町(金融街)」のことです。金融街には多くのアナリストやファンドマネージャーなどの「プロ」が集まっています。
「百聞は一見にしかず」ということで、投資銘柄で気になった商品・サービスがあれば、実際に見に行ってみたり、試してみたりすることが大切です。
「自分の目で見る、自分で試す」ことの重要性は、数多くの偉大な投資家が共通して勧めている方法です。
消費者向けのビジネス
「身近なヒント」に通じるものがありますが、テンバガー銘柄になりやすいのは「消費者向けのビジネス」です。
ピーター・リンチはテンバガーの条件として以下のようなものをあげています。
- 身近な会社(消費者向けのビジネス)
- 誰もが知っている、わかりやすい
- 株の専門家しか買わないような株は10倍にはならない
私が特に印象に残っている10倍株(をさらに上回る上昇を記録した)銘柄といえば、
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント(パズドラ)
- ミクシィ(モンスト)
- ZOZO(ゾゾタウン)
などです。
これらの銘柄はいずれも、誰もが知っていてわかりやすいですよね。
パズドラやモンストは、ゲームをしない人でも「スマホのパズルゲーム」だと知っています。また、ゾゾタウンを利用したことがない人でも「服の通販サイト」だと知っているでしょう。
なぜ消費者向けのビジネスが10倍株になりやすいのか、その理由を私なりに考えた結果が以下です。
- 消費者向けビジネスがよい理由
- 流行り(ブーム)が巻き起こるスピードが速い。LINEやインスタのように、火がつくとあっという間に市場に浸透する。
- B to B(法人向けビジネス)が良くない理由
- 数多くのコンペや稟議を通さなければならないので動きが鈍い。企業の業績や市場環境で売上が上下しやすい。
- 株の専門家しか買わない銘柄が良くない理由
- 株価が10倍に値上がりするには「ブーム」として多くの人がその株を買わなければならないので、個人投資家でも理解できる銘柄でなければならない。
成長株に投資する
成長株に投資することは、テンバガーを掴む上で当たり前のことと言えそうです。
どれだけ業績が良く安定していても、そこに成長がなければ株価は上昇しません。成長期待や利益の向上が株価を押し上げるのです。
テンバガーを狙うなら、利益が急激に伸びていくような「成長株」に狙いを定めましょう。
と、言うのは簡単ですが、もちろんこの手の株はたいてい割高ですので、「割安な成長株」を見つけることが重要です。
割安な成長株とは、「これまで成長がなく割安だったが、そこに変化の兆しが出てきた銘柄」だったり「好業績株が一時的な業績悪化で大きく叩き売られている」といった状態です。
こうした銘柄を見つけるのは大変な作業ですが、将来の利益成長に懸けるという点では共通しています。
やはり、今まさに成長している株や、成長期待が大きすぎる株というのは、すでに大勢がそれに気づいているので、割高になっていることが多いです。
「成長株」の定義について、注意すべきポイントが2つあります。
ピーター・リンチは「低成長株には投資しない」と言っています。
しかしこれは「低成長業界ではなく、個別株の話」です。つまり、低成長産業に属していても、その中にキラリと光る成長株が存在するということです。
また、「成長」とは売上や時価総額、マーケットシェアの拡大、株価の上昇ではなく、あくまでも「利益成長」のことを示しています。
実際問題として「(航空会社や半導体会社のように)誰も儲からない成長産業」というのは存在します。
市場成長率は高くても、そこに多くの人が参入するため、利益の奪い合い、削り合いが激化。結果として「市場は成長するが皆が赤字になっている」という業界があります。
あくまでも私の意見ですが、最近のわかりやすいところだと「人工知能(AI)」がそうではないかと思います。
人工知能の業界は今後、爆発的な市場成長率を記録すると思いますが、すでに多くのプレイヤーが参入しているため、利幅は小さなものになってしまうのではないかと考えています。(実際どうなるかわかりませんが)
こうした業界で恩恵を受けるのは「消費者」です。
家電量販店やネット証券業界、航空業界は、市場成長率が高い業界でした。しかし、激しい競争で利幅を削りあった結果、私たち消費者が最大の恩恵を受ける状態になっています。
また、ピーター・リンチが警鐘を鳴らす株として「明日の不可能を可能にする会社は魅力的に見えるが、たいてい実現しない。」というものがあります。
いわゆる「夢を売る銘柄」です。
こうした銘柄は一見凄そうに見えますし、多くの投資家を引きつけるだけの魅力と説得力を兼ね備えています。
「もし実現すれば世界が変わる」ほどすごい会社なのですが、そうした「夢」はたいてい実現しないものです。
夢を買うという意味では面白いと思いますが、あえてこうした銘柄に懸けなくても10倍株は十分狙えるということです。
つるはしを売るビジネス
逆に、市場成長率の高い業界で有望なのは「つるはしを売るビジネス」を展開する会社です。
市場成長率が高く競争が激しい業界では、利益の削り合いが起こり、結果として誰も儲からない状況が起こりうることは先ほど説明しました。
しかしそのような激しい競争を繰り広げるプレイヤーに「武器となるつるはし」を売る会社があったとしたら、まさに「濡れ手で粟」の状態です。
ピーター・リンチは、「つるはしを売るビジネス」の代表例としてマイクロソフトをあげています。
コンピュータという箱をつくるメーカーは(デル、ヒューレット・パッカード、コンパック、IBMなどなど)激烈な販売競争を行なっていた。
この終わりのない競争は彼らの収益に痛手となったが、マイクロソフトには全く影響がなかった。ビル・ゲイツの会社は箱のビジネスではなくその箱を動かす〝ガソリン〟を売っていたからである。
出典:ピーター・リンチの株で勝つ[新版] アマの知恵でプロを出し抜け
また、これは私の意見ですが「技術を開発する側ではなく、それを使う側」にチャンスがあると考えています。
アップルやマイクロソフトといった偉大な企業は、コンピューターの基礎となる技術を生み出したわけではありません。
彼らは皆、基礎となる技術を応用して、売れる製品を作ったことで成功しています。悪い言い方をすれば「パクって利用するのがうまい」のです。
言い換えると、最近の新技術として「人工知能」や「ブロックチェーン」などがあります。
しかし、こうした新技術を生み出す会社よりも、これらをうまく利用してコストダウンするとか、技術を応用して新しい商品・サービスを作る会社の方が上手くいくケースが多いのです。
小さな銘柄に投資する
テンバガー達成の見込みがある「小さな銘柄」の定義は、時価総額の小さな銘柄です。(企業規模が小さい株)
小さな株に投資する利点は、ファンドが投資できない場合があるからです。
ファンド(プロの投資家)には、様々な制限やルールがあります。また、運用資金が大きいために、小さな銘柄に投資をしても全体のリターンの引き上げに貢献しないことも多いです。
こうした理由から、ファンドが投資対象とするのは「時価総額◯◯億円以上」というハードルを設けているケースが少なくありません。
また、「疑義注記」などが出ており、倒産リスクのある株もルール上、ファンドは投資しにくいでしょう。
しかし、私たち個人投資家にはそのようなルールはありません。時価総額がどれだけ小さくても、疑義注記が付いていても、自分が問題ないと判断した銘柄であれば、投資することができます。
結果的にこうした銘柄の株価が上昇して時価総額が拡大することで、ファンドの投資対象になり、これが株価のさらなる上昇要因になります。
また、業績好調で東証一部に採用されると、TOPIX(東証株価指数)に連動するインデックスファンドが強制的に買わざるを得ない状況になります。
小さな銘柄に投資することで、ファンドよりも優位な立場で先回り買いができるメリットがあります。
逆に、大きな銘柄がテンバガーにならない理由もあります。
例えば、NTTドコモ(記事執筆時点で時価総額10兆円)の株価が10倍になる可能性は極めて低いです。
なぜなら、NTTドコモの株価が今の10倍になるということは、簡単に言うと時価総額が100兆円になるということであり、別の見方で言うと利益が今の10倍になるということです。
また別の見方をして、利益を10倍にする方法を簡単に考えると、単純に携帯電話の契約回線数を10倍にする必要があると考えることができます。
NTTドコモの事業データを見てみると、2018年3月期時点でマーケットシェアは45.3%、回線契約数はLTEとFOMAを合わせて7,637万契約になっています。
これはあくまでも回線契約数ですが、仮に回線契約数を10倍の7.6億契約にしなければならないと考えた場合、日本人1人あたり6台の携帯電話を持たせるか、中国やインドで圧倒的なシェアを取るしかなさそうです。
少なくとも現時点では、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの3社をすべて合計した契約数でも、1.6億契約しかありません。(7.6億契約にはほど遠い数字です)
もちろん、企業価値を高める方法は他にもたくさんありますが、このように簡単に考えてみるだけでも、大企業の利益が今の10倍になるのは極めて難しい課題であることがわかります。
よって、テンバガーを狙っている投資家にとって、大企業の株は投資対象外になるのです。
誰も見ていない不人気株
ピーター・リンチがおすすめしている「テンバガー候補銘柄」に「誰もが見ていない不人気株」というものがあります。
- 面白みがなく、誰も買わないような株
- 機関投資家が株を保有していない
- 証券アナリストがフォローしていない
- 名前がイケていない
ちなみに、会社四季報で機関投資家の保有比率が閲覧できます。
逆に、注目度が高く大勢の投資家が見ている銘柄は、既に多くのアナリストが徹底的に分析しているため、適正株価になっている可能性が高いです。
これは先ほど述べた「小さな株を買う」というところに通じます。
例えばソフトバンクのような、誰がどう見ても有名な株は、何人もの証券アナリストが分析し、レポートを出しています。もちろん、個人投資家からの注目度も高く、多くの投資家がソフトバンクの動きに注目しています。
このような状況で株価が割安になっても、誰かがすぐに気づいて買いが入るので、結果的に「今の株価が妥当」な状態になっていることが多いです。
ソフトバンクがどれだけ優良企業であっても、すでに多くの投資家の目で監視されている状況で、さらに新しい買いが入り、株価が押し上げられ、株価が現在の10倍になる確率は低いでしょう。
2倍、3倍を狙うならまだしも、テンバガー候補を見つけるのであれば、こうした銘柄も対象外になります。
逆に、企業規模が小さな株や目立たない銘柄は、その株に注目しているアナリストや投資家が少なく、形成されている株価に「歪み」が生じている可能性があります。
こうした場所にこそチャンスがあり、「成長と割安」を兼ね備えた銘柄が眠っているのです。
適切な株価の買いタイミング
ピーター・リンチは、株式市場がいつ下げるかは予想できないと述べています。
過去を振り返ることで私が言おうとしている肝心なことは、大きな下げをタイミングよく売って逃れられればそれは素晴らしいことだが、誰もそれを予想はできない。
出典:ピーター・リンチの株で勝つ[新版] アマの知恵でプロを出し抜け
いつ株式市場が下がるのかは誰にもわからないのだから、それを恐れず、自分が良い株を見つけた時が買いのタイミングだと言っています。
これは、成長株投資で有名なフィリップ・フィッシャーの意見と同じです。良い株を見つけたら迷わず買うべきです。
ただしこれにも「良い株」の定義があります。
良い株とは「質が高く買値が安いと思える銘柄」のことです。高成長の素晴らしい銘柄を見つけたからと言って、決して価格を気にせず買えと言っているのではありません。
どれだけ良い株を買ったとしても「高値掴み」が報われることはありません。
また、ピーター・リンチが過去に大勝ちした代表銘柄は、結果が出るまでに3年~10年以上かかっているそうです。
株式市場がいつ下がるかがわからないのと同じで、株価がいつ上がるかもわかりません。良い株を見つけたら、それがテンバガー銘柄になるまで根気強つことも大切です。
管理人が考えるテンバガー銘柄の見つけ方
これまでは、ピーター・リンチの考えを中心に、テンバガーを見つけ出す方法について述べてきました。
最後に、私自身の個人的な考えとしてテンバガーの条件になりやすいものをまとめておきます。
お手本となっているのは、ファッション通販サイトのゾゾタウンを運営するZOZO(3092)です。
自己資本で成長している
過去に大きな成長を遂げた「偉大な企業」を見てみると、自己資本のみで成長できているケースが多いです。
先行投資がかさむ企業は、定期的に公募増資をしたり社債発行を連発して、フリーキャッシュフローが赤字になっています。
このような銘柄は大抵、「先行投資」を理由にしたり「将来の夢」を語って株式市場から資金調達をしているのですが、ピーター・リンチが「明日の不可能を可能にする会社は魅力的に見えるが、たいてい実現しない。」と言うように、株価が長期的に低迷していることが多いと感じます。
一方で、年々「営業キャッシュフロー」が拡大し、その範囲内で新規の投資をまかなえている企業というのは、効率よく成長していくことができます。
また、公募増資や社債発行といった複雑なファイナンスに頼らないことで、本業に集中することができます。
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無借金である
無借金ではないテンバガー銘柄もたくさんあると思いますが、私は「無借金銘柄」にチャンスが多いと考えています。(もしくは借金がごくわずか)
これは、「無借金の会社は財務が良いから」という理由ではありません。
無借金企業には債権者が存在しないというのが、私が無借金の会社が良いと考えている真の理由です。
銀行などから借金をし、「債権者」が存在することで、経営の自由度が奪われるという隠れたデメリットがあります。
例えば、銀行からの評価を上げるために、無理な売上を作りに行かなくてはならなかったり、追加の借入を求めて銀行の営業マンが来て判断を惑わせたり、革新的なチャレンジをしようと思っても、銀行から歯止めをかけるような意見が出たりします。
また、借金の中にはコベナンツ(財務制限条項)が入っていることもあります。財務制限条項への抵触を防ぐために、通常は取らないような誤った行動をとってしまうことも考えられます。
他にも、継続的に借入をしている会社は、時としてレバレッジをかけすぎてしまうことがあり、戦略が雑になったり、信用市場が逆回転したときに思わぬリスクを被ることも考えられます。
こうした理由から、経営の自由度を保ち、新たなチャレンジがしやすい企業の方が、利益成長の期待が持てるのではないかと思います。
気になる銘柄が無借金経営かどうかは、会社四季報の「有利子負債」の欄を見るとわかります。
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何らかの理由で競争を避けることができている
この記事でも何度か述べましたが、市場成長率の高い業界はどうしても、競合が多数参入してくるため、利益の削りあいが起こります。
このような状況で、技術的な優位性や独自のビジネスモデルを築き上げ、企業は利益率を保っていくわけですが、激しい戦いの中では利益率の維持はとても困難です。
しかし、何らかの理由で競争を避けることができている企業は、競合が追いつかないうちに圧倒的ナンバーワンをとることができます。
競争を避けられる理由の1つは、独自路線で新しい市場を開拓する企業です。
例えば、これまでダサかったメガネを「アイウェア」というスマートな存在に変えた「ジンズ(JINS)」や、レシピのオンライン化を図った「クックパッド」などです。
これらの企業が大きく成長する過程では、それほど大きな競合はいなかったように思います。競合が現れたときにはすでに圧倒的な地位を獲得していたため、その地位を奪われることもありませんでした。
ZOZOの場合は特殊です。
当時は「あらゆる商品が通販で買えるようになり、次はファッション通販が来る」と散々言われていました。
しかし、服の通販は「サイズの問題(または色味の問題)」などがあり、なかなか市場が立ち上がらなかったように思います。(当時の消費者は服を通販で買いたがらなかった)
一方、ZOZOがターゲットとしていたのは「服好きの人たち」だったので、たとえ通販でも、たとえ定価でも、欲しいものはなんとしても手に入れたいユーザーだったのです。
ZOZOが一定の結果を出し始めた時、Amazonや楽天もファッション通販ビジネスへの参入を試みましたが、彼らはより広い一般層向けに服の通販を訴求したため、上記の理由から当時は思うようにビジネスは立ち上がりませんでした。
そうこうしているうちに、ファッション通販の市場が立ち上がり、ZOZOは特に大きな競合と戦うことなく、現在の地位を手に入れることができたというわけです。
もちろん、ZOZOの企業努力も成功の理由だと思いますが、私自身はこのように分析しています。(あくまでも個人的な考えです)
この記事で取り上げた「ピーター・リンチの株で勝つ – アマの知恵でプロを出し抜け」は、管理人が厳選した「株式投資・資産運用におすすめの本10冊」でも選ばせていただきました。
初心者向けの本が中心ですが、良い本が揃っていると思いますので、興味のある方は合わせてご覧ください。
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