GDPギャップ(需給ギャップ)を3分で学ぶ記事、データはどこで入手すればよい?
執筆者:川原裕也
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GDPギャップ(別名:需給ギャップ)は、経済の需要と供給の差を表す指標です。
需要と供給の関係はインフレ(物価上昇)やデフレ(物価下落)に関わります。
需要つまり「欲しいと思う人」に対して供給つまり「提供する人」が少なければ値段は高騰しますし、その逆になると供給過剰となって値段は下がります。
GDPギャップは経済全体において、「欲しいと思っている人」と「提供する人」がどの程度の割合で存在するのかを知るための数値です。
総需要にはGDP(国内総生産)を用い、供給力には潜在GDP(労働力や設備投資などからの推定)を使います。
GDPギャップの計算方法
GDPギャップ = (実際のGDP - 潜在GDP) ÷ 潜在GDP
潜在GDPは「経済の過去のトレンドからみて平均的な水準で生産要素を投入した時に実現可能なGDP」と定義。
出典:内閣府
推定された数値を元に計算する指標なので、中長期での推移(変化)に着目することが大切です。
GDPギャップ(需給ギャップ)のデータを入手するには
GDPギャップは日本銀行・内閣府がそれぞれ公表しています。
日本銀行・内閣府ともに年4回公表していますが、それぞれの機関が独自に算出するため、日銀と内閣府の算出結果は異なります。
日本銀行が推計する需給ギャップは、内閣府や他の国際機関の推計手法とは異なり、GDPを経由した推計を行っていない。
そのため、あくまで要素投入量の需給動向を示すことから、その動向には全要素生産性(TFP)の影響が含まれていない(つまり、日本銀行の需給ギャップでは、全要素生産性(TFP)ギャップを推計誤差として考慮しないこととされている。)。
過去のデータは下記のページで入手可能です。
日銀・内閣府ともにエクセルデータがダウンロードできる他、日銀ではGDPギャップの過去の推移をグラフにしたPDF(図表)も取得できます。
▼記事執筆時点(2019年8月)における最新の需給ギャップの推移
GDPギャップ(需給ギャップ)はプラスになったりマイナスになったりしています。
プラスで推移している場合は、需要が供給量を上回っている状態です。
つまり、景気が良くなっていたり、景気が過熱していると見ることができ、インフレ気味で推移していると考えられます。
逆に、GDPギャップがマイナスで推移している場合は、不景気やデフレ気味で推移していると見ることができます。
上記のグラフを参考に過去の推移を見てみると、バブル崩壊の1990年あたりはGDPギャップが大きく上昇し、景気が過熱していたことがわかります。
一方でリーマンショックで世界経済が不況に陥った2009年ごろは、GDPギャップは大きなマイナスになっていました。
GDPギャップはトレンドを見ることが大切
内閣府も日銀も「GDPギャップ及び潜在成長率については、前提となるデータや推計方法によって結果が大きく異なるため、相当の幅をもってみる必要がある。」と述べています。
GDPギャップの算出にあたっては、潜在成長率(潜在GDP)という推定値を用いることがその理由です。
参考までに日銀が発表したGDPギャップと内閣府が発表したGDPギャップを比較してみました。
両者を比較してみると、大きい時で3%以上の差がありました。
とはいえ、日銀発表のGDPギャップ、内閣府発表のGDPギャップともにトレンドは概ね一致しています。
この結果からもわかるように、GDPギャップは短期間で見るのではなく、前期比であったり、中長期のトレンドで見る必要があります。
インフレギャップとデフレギャップ
GDPギャップがプラスの状態を「インフレギャップ」、マイナスの状態を「デフレギャップ」と呼びます。
先ほど述べたとおり、インフレギャップは好景気・景気の過熱・インフレ気味であることを示し、デフレギャップでは不況・デフレ気味であることを表します。
これも繰り返しとなりますが、プラスかマイナスかに加えて、前期比に対してプラスになったかマイナスになったかを確認することも大切なポイントです。
次の記事:GDPとは何かをわかりやすく解説 世界のGDPの調べ方とGNPとの違い
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