GDPとは何かをわかりやすく解説 世界のGDPの調べ方とGNPとの違い
執筆者:川原裕也
※記事内に広告を含む場合があります
当サイトは更新を終了しました。
長きにわたり当サイトを愛読、応援くださった方々には誠に感謝しております。
※この記事の内容は執筆時点のものです。サービス内容・料金など、現時点の最新情報とは異なる場合がございます。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
この記事では、GDP(国内総生産)について、できる限りわかりやすく説明したいと思います。
また、名目GDPと実質GDPの違い、そしてGNP(国民総生産)との違いも解説します。
GDPとは何か?
GDP(Gross Domestic Product)とは「国内総生産」の略称で、その国が生み出した付加価値の総額のことです。
製造した製品、受けたサービス、支払った商品など、「金額」が発生するあらゆることが「付加価値」の対象になります。
付加価値とは、製品やサービスが生み出した金額(産出額)から、それらを生み出すために他の生産者から購入した金額(中間投入額)を引いたものです。
中古物件や中古品のように、新しく製造されたものではない製品は、GDPの計算対象外です。(中古物件をリフォームした場合は、リフォーム部分がGDPにカウントされる)
その他、完成した製品に使われた「原材料」の取引も、計算対象外となっています。(上記で示した中間投入額に位置づけられるため)
また、「国内」の総生産なので、国内企業の海外取引はカウントされません。
トヨタ自動車など、海外を相手にビジネスを展開している企業は多いのですが、GDPの計算対象となるのは国内取引に限定されています。
GDPには、1年間の国内総生産を表す「年次GDP」と、四半期(3ヶ月)単位で計算される「四半期GDP」があります。
GDPはその国の経済規模を表す指標として使われることが多く、中でもGDPの前年対比(伸び率)は「経済成長率」として利用されています。
ちなみに、GDP成長率(経済成長率)は、先進国の場合では3%未満で推移することが多いです。
これは、先進国になるほど経済が成熟し、伸びしろが小さくなってくことが原因です。
日本のGDPは内閣府が公表を行っており、年次・四半期ごとのGDPを開示しています。
GDPでは測れないもの
GDPは「金額」が発生するあらゆることを計算対象とした指標です。
しかし、世の中には「金額(市場価格)」が発生しない商品やサービスも存在します。
例えば、「家事・育児」などがそれに該当します。
一説によると、「専業主婦が行う家事は、年収1,000万円の価値がある」などと言われていますが、実際に対価が発生することはありません。
また、両親が育児・子育てに時間を割いても、1円の対価も得られません。
このような、無償の奉仕活動をはじめとする「金額が発生しない商品やサービス」はGDPにはカウントされません。
名目GDPと実質GDPの違い
GDPをわかりにくくしているのが、「名目」と「実質」の2種類のGDPの存在です。
名目GDPと実質GDPの違いをひとことで表すと「物価上昇(インフレ)を考慮するか、しないか」の違いです。
- 名目GDP
- 物価上昇(インフレ)の影響を考慮しない、数字そのままのGDP
- 実質GDP
- 物価上昇(インフレ)の影響を考慮した上で算出したGDP。より実態的な付加価値を表すことができる
物価が上昇すると、製品やサービスの価格も上昇します。(物価上昇のことをインフレと言います)
実質的には付加価値が増えていないにもかかわらず、インフレによって全体的な製品・サービスの価格が上がっただけで、GDPが上がったように見えてしまうのは問題です。
そこで、インフレによる影響を考慮した上での「本当のGDP成長」を算出したものが「実質GDP」となります。
実質GDP = 名目GDP - 物価変動の影響
一般的には、名目GDPよりも実質GDPの方が重視される傾向にあります。(成長率を語る時には実質GDPを使い、規模の大きさを示す時は名目GDPを使うことが多い)
GDPとインフレの関係は「日本のインフレ率の推移から考える、資産を守る方法」という記事で解説しています。あわせてご覧ください。
GDPとGNPの違い
GDP(国内総生産)と似た指標に、GNP(国民総生産)があります。
以前は経済規模を表す指標としてGNPが重視されていましたが、現在はGDPの方が重要視されています。
GNP(国民総生産)は、名前の通り「(外国に住んでいる日本人も含めた)国民」の付加価値の合計です。
逆に言うと、日本国内に住んでいる外国人や外資系企業が生み出した付加価値は、GNPの計算対象外です。
冒頭で、GDPは「国内企業の外国取引を含まない」と書きましたが、GNPはその逆ということです。
GDPとGNPの違いをまとめると以下のようになります。
GDP 国内総生産 |
GNP 国民総生産 |
|
---|---|---|
日本人(日本企業) 日本での取引 |
含む | 含む |
日本人(日本企業) 海外取引 |
含まない | 含む |
外国人(外国企業) 日本での取引 |
含む | 含まない |
外国人(外国企業) 海外取引 |
含まない | 含まない |
1分46秒でわかる IMFがGDPの説明動画を制作
IMF(国際通貨基金)が、GDPを1分46秒で解説する動画を作っています。
この動画は英語なのですが、字幕付きなので英語が苦手な人でも楽しめます。
少しテンポが早いと感じるかもしれませんが、1回目で理解できなくても3回観れば、GDPの概要がわかるはずです。
この動画で語られている特に重要なポイントは「みんなの収入を足し算してもOK、アメリカ国民のみんなが1年間に稼いだお金を合計すると、それがアメリカのGDP」というところです。
GDPの計算方法(捉え方)には3つの方法があり、これを三面等価の原理と言います。
どの計算方法でGDPを算出しても、理論上は一致するというのが、三面等価の原理の考え方です。
GDPが何なのか理解できたら、続いて日本を含む世界のGDPの調べ方を説明します。
日本・世界のGDPを調べる方法
すでに算出された日本のGDPを調べるには、先ほど紹介した内閣府の国民経済計算(GDP統計)を見るだけです。
より詳しい情報や関連する統計データを調べたい場合は、政府統計の総合窓口「e-Stat」を参照します。
世界のGDPを調べたい時は、IMFのサイトを確認します。英語ですが、英語が苦手な方でも簡単に使えるので安心してください。(日本語翻訳を使いながら進めてください)
▼世界のGDPの調べ方
1.World Economic Outlook Databasesにアクセス
2.最新版のデータをクリック(ここでは2022年版を参照)
3.By Countries (country-level data) – 国別(国別データ)をクリック
4.ここでは、Major advanced economies (G7)を選択
5.Continueボタンをクリック
6.調べたい指標を選択。ここでは、Gross domestic product, constant prices National currency(国内総生産、一定価格 ナショナル通貨)にチェックを入れる。
7.Continueボタンをクリックし、Prepare Reportをクリック
8.現地通貨ベースのGDP推移のデータが取得できました。
また、株式投資でも重要な指標として使われている、GDPの成長率はこちらのページで確認できます。
世界のGDPランキングは、世界経済のネタ帳さんがわかりやすくまとめてくれています。
2018年現在、日本のGDPは中国・米国に次いで3位です。
しかし、PwCの調査レポート「2050年の世界」によると、2030年にはインドに抜かれて4位に転落。
そして2050年には日本のGDPは世界7位まで転落する見通しです。
あわせて読みたい:
実質金利と名目金利の違いをわかりやすく解説、計算方法と過去の推移も確認
世界の経済成長を投資に活かす
将来のGDP予測値からも、日本のGDPの伸び率は世界各国と比較して劣っており、いずれ新興国に抜かれてしまう可能性が高いです。
しかし、資産運用においては、世界の株式を投資対象としたファンドを購入することで、世界の経済成長を取り込むことができます。
世界の経済成長を投資に活かすには、インデックスファンドでの運用がおすすめです。
インデックスファンドは、特定の国や世界の国々の(株価)指数に連動するように設計されており、幅広い銘柄に分散投資を行うタイプの投資信託のことです。
インデックスファンドの中でも、現在、個人投資家からの支持が特に厚いおすすめのファンドが、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズです。
eMAXIS Slimシリーズは、信託報酬(投資信託のコスト)が極めて低く設定されており、手数料を気にせず長期的な資産運用を行うことができます。
また、世界の先進国に投資するファンド、経済成長が著しい新興国に分散投資できるもの、そして全世界に分散投資できる商品などがあります。
eMAXIS Slimシリーズに関する詳しい情報は、次の記事をご覧ください。
最後にひとこと、一人の投資家として私なりの見解を述べておきます。
この記事では「日本のGDPはいずれ世界に抜かれてしまう可能性が高いので、成長著しい世界の先進国・新興国に投資しよう」というような形で結びました。
この視点は一般的にも言われている内容で、正しい一面もあります。
しかし、皆がそう思うということはすでに相応(場合によっては割高)な株価が形成されている可能性が高いのです。
日本はこれから人口も減り、GDPも世界に追い抜かれていくから期待できないというのが一般論であり、これも1つの考え方としては正しいです。
しかし、皆がそう思うからこそ「割安」になっている可能性がある。
大切なのは、「経済成長の高い国に投資する」ことが投資の成功に繋がるのではなく、「将来の経済成長と、現在の認識とのギャップ」こそが投資の成功につながるということです。
この視点を持つと「一般的には将来性がないと言われている日本」にも、まだまだ十分な投資価値はあると考えることができます。
将来の投資結果は誰にもわかりませんが、考え方として別の視点もあるのだということを、一人の投資家として述べさせていただきました。
あわせて読みたい:
すべてノーロード!日経平均株価に連動するおすすめ投資信託・ETFまとめ
あわせて読みたい:
国内株式インデックスファンド(TOPIX)の違いを比較、どの投資信託を選ぶべきか
こちらの記事も読まれています
最後まで読んでいただきありがとうございました
こちらの記事にコメントが投稿されました
-
P さんがコメントしました - 2023年12月18日
決算書の「百万円」や「千円」の単位を素早く読む方法 -
No Name さんがコメントしました - 2023年10月8日
プロスペクト理論とは?投資に活かす方法、あなたの知らない心理学の世界 -
DCF法くん さんがコメントしました - 2023年8月21日
DCF法の世界一わかりやすい解説、割引率の決め方やエクセルでの計算方法 -
No Name さんがコメントしました - 2023年8月19日
DCF法シミュレーター -
にゃん太郎は長生き さんがコメントしました - 2023年6月19日
証券マンがおすすめするファンドラップの評判を信じて買って良いのか
1件のコメント
やりますねぇ!