円安・円高をわかりやすく説明する記事、どっちか迷うことがなくなります

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円安と円高

円高・円安の違いがわからない、もしくは瞬時に判断できないという意見をよく聞きます。

しかし、基本を理解することで、今「円高」なのか「円安」なのか瞬間的に答えられるようになります

今回は、円高・円安の説明と、迷うことのない覚え方をわかりやすく説明します。

円高と円安の覚え方

円高・円安の覚え方

円高・円安の意味を理解する前に、先に「覚え方」を学びます。(意味から入ると頭がこんがらがるケースが多いので)

まずは基本となるマジックワードから。

それは「円と外貨は表裏一体になっている」ということです。

外国為替を語る上では、通貨Aと通貨Bという2つの通貨が常にセットになっており、両者は表裏一体の関係になっているのです。

つまり、「米ドル/円(USD/JPY)」について語る場合は、為替変動の状況によって「円高ドル安」または「円安ドル高」になるということです。

イギリスの通貨である「英ポンド/円(GBP/JPY)」について語るなら「円高ポンド安」、「円安ポンド高」になります。

外国為替はいつも、2つの通貨がセットになっています。

そして、通貨A(円)と通貨B(外貨)は表裏一体の関係にあります。

言い換えると「米ドル/円(USD/JPY)」について語る場合、「円高・ドル高」や「円安・ドル安」とは言わないということです。

これが、円安・円高を覚える上での1つめの大きなポイントです。

通貨ペアの英語表記を覚える

外国為替の英語表記

外国為替は必ず、2つの通貨がセットになっており、これを「通貨ペア」と呼びます。

世界には、ありとあらゆる通貨ペアが存在し、それぞれに「為替レート(通貨Aと通貨Bの交換レート)」が存在します。

通貨ペアには世界で共通に使われている「英語表記」があります。主要な通貨だけでも良いので、覚えておくと後々役立ちます。(今は覚えなくてもOKです)

主要通貨の英語表記
  • 米ドル/円:USD/JPY
  • 英ポンド/円:GBP/JPY
  • 豪ドル/円:AUD/JPY
  • ニュージーランドドル/円:NZD/JPY
  • 南アフリカランド/円:ZAR/JPY
  • トルコリラ/円:TRY/JPY
  • 香港ドル/円:HKD/JPY
  • 中国元/円:CNY/JPY

※参考までに、USDは「ユナイテッド・ステイツ・ダラー」の略で、JPYは「ジャパニーズ・エン」の略です。

ここで、とある法則に気づいた方もいるかもしれません。

英語表記において日本円は、ほぼ必ず後ろに記載されるということです。言い換えると「外貨/日本円」という形で表記されています。英語だと「◯◯/JPY」という形で表記されています。

実は、ほぼ100%の通貨ペアが「◯◯/JPY」という表記で構成されています。(JPYが後にくるという法則が重要です)

「米ドル/円」のことを「円/米ドル」と言わないのと同様に、「USD/JPY」のことを「JPY/USD」と表記することは原則としてありません

英語表記で日本の円通貨は、原則として必ず後に来るという法則があります。

「円/ドル」や「JPY/USD」という表記は原則として存在しないということを頭に入れておきましょう。

ここまでのポイントをおさらいします。

  • 円と外貨は表裏一体。円高なら米ドル安、円安なら米ドル高。常にセット
  • 円通貨は後にくるため、必ず「米ドル/円・USD/JPY」のように表記する

チャートで円高・円安を判断する

円高と円安チャート

円高と円安の説明で多くの人の頭をこんがらがらせる原因は、

  • 円高なのにチャートが下がる
  • 円安なのにチャートが上がる

という現象が起こるからです。

上記のチャートは米ドル/円(USD/JPY)の日足チャートです。米ドルと円の為替レート(交換レート)が刻一刻と変化している様子を、チャートに記録しているものです。

図を見るとわかりますが、

黄色(値上がり)が円安
米ドル/円の為替レートが111円から114円になると円安
緑色(値下がり)が円高
米ドル/円の為替レートが114円から112円になると円高

という法則になっています。

海外サイトのチャートなど、まれに逆になっているものもあります。

が、ほとんどは円安が値上がり、円高が値下がりの形で表記されています。

「徐々に複雑になってきた」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、最初に述べた「米ドル/円(USD/JPY)」のチャートであるということを思い出すと、頭がクリアになります。

つまり、「米ドル(USD) – ドル高・ドル安」をベースにチャートの動きを見るのです。(USD/JPYのチャートなので、左側の外貨を主軸に考えるのがポイントです)

すると、先ほど複雑に思えた内容がスッキリと頭で理解できます。

黄色(値上がり)
米ドル/円の為替レートが111円から114円になること
→ドル高

緑色(値下がり)
米ドル/円の為替レートが114円から112円になること
→ドル安

通貨ペアの表裏一体の関係から「ドル高 = 円安」、「ドル安 = 円高」となります。

ニュースなどでキャスターが「円高ドル安」「円安ドル高」のように、円を主軸にして発言するため、これが私たちの頭を悩ませる原因になっています。

日本では「円高ドル安」「円安ドル高」というのが一般的ですが、これは日本独自の言い回しです。

為替チャートを見る時は、外貨を主軸にして考えることが大切です。

円安は良いのか?円高は悪いのか?

輸入と輸出

需要と供給の法則によって、買い需要が多い(積極的に買われる)商品は、価格が上がり、高くなります。

逆に、株式の銘柄などもそうですが、需要がなく売られる銘柄は価格が下がり、安くなります。

「円安ドル高(チャートは右肩上がり)」の状態は、円を米ドルに交換する人が増えている、つまり米ドルを買って円を売っている人が多い状態です。

つまり、円の価値が安くなり、ドルの価値が高くなるため、円安ドル高と呼びます。

本来、円の価値が安くなる「円安ドル高」は私たち日本人にとって喜ぶべきことではありません。

円の価値が安くなると、これまで100円で1ドル札を入手できていたものが、110円出さなければ1ドル札を入手できなくなるからです。

しかし、日本には輸出産業が多いため、多くの日本企業が外貨での取引を行っています。

例えば、製造した家電製品を100ドルで外国に販売した場合、1ドル=100円だと1万円の儲けですが、円安になって1ドル=110円だと11,000円の儲けとなります。

よって、輸出産業にとって円安は増収増益につながり、輸出産業の多い私たちの国にとって、円安は歓迎される事が多い(ただし円の価値は下がっている)ということが起こります。

逆に、円高は株安などを引き起こすことが多いのですが、「円が買われてドルが売られている状態」なので、日本の通貨の価値は上がっています。

また、円高は輸入産業によってプラス材料となります。円の価値が高いために、少ない支払いで多くの商品を買い付けることができるからです。

同じ理由で、海外旅行も円高の時がお得です。

円高・円安の双方にメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません

最も大切なのは「為替レートが安定していること」です。

急激な円高は良いとは言えませんし、急激な円安もまた、歓迎されるものではありません。いずれの場合も、為替介入や金融緩和・金融引き締めなどが行われます。

中央銀行による介入と金利操作

日本銀行

繰り返しとなりますが、為替レートは「安定していることが最も望ましい」とされています。

円高になりすぎても、円安になりすぎても、不都合が生じます。

よって、為替レートが極端に動いた場合、各国の中央銀行が様々な対策を打ち出します。

日本の中央銀行は「日本銀行(日銀)」、米国の中央銀行は「FRB」です。

中央銀行の仕事については、マネタリーベースとマネーストックの記事で詳しく解説しています。

為替の安定操作として代表的な方法は、

  1. 為替介入
  2. 政策金利の引き上げ・引き下げ

の2つです。

為替介入

為替介入

為替介入というよりも、黒田日銀総裁の名前にちなんだ「黒田バズーカ」という呼び方の方が有名かもしれません。正式名称は「外国為替平衡操作(がいこくかわせへいこうそうさ)」と言います。

為替介入とは、日銀が円高を解消するために大量の米ドルを買うことです。言い換えると、円高ドル安の状態に対して、米ドルの買い支えを行うということです。

急激な円高が進んだ場合に、為替介入によるドル買いが行われることが多いです。

日銀がドル買い介入を行った場合、円を米ドルに交換し、最終的に米国国債の購入に充てられます

つまり、ドル買いの為替介入をすると、円高を防止する一方で、米国国債を買うことによって間接的に、米国政府に資金が流れるということです。

その昔、天才トレーダーのBNFさんが「サブプライムローン問題」を予言する発言をしていた時の内容を引用します。

【株板相場師列伝】神と呼ばれた男part4【呪復活】
61 :B・N・F◆mKx8G6UMYQ :04/01/31 22:38 ID:ONsb/PBy
1月の介入総額7兆って・・・・・マジでいい加減にしてもらいたい
為替介入によって円からドルに変えられそのドルでアメリカの債権を
買う事によって市場に出た金によりアメリカの株価や住宅価格が堅調になり
アメリカ人はそれを担保に借金をしてアメリカでの消費が伸びる
それにより日本企業の業績もよくなる。
よって日本の輸出産業も目先の業績にとらわれ介入を望む。こういうこ事なのだろうか?
しかし、この目先の景気にとらわれたかのような政策は将来的にスタグフを
招く可能性があるのではないか?なぜならこの介入によって市場に出た金は
一次産品にも流れる可能性があるからだ。今は住宅価格や株価が堅調なんで
アメリカの消費は順調だがこれは少しでも悪循環になれば
一気に不の連鎖に陥る可能性がある。この時このジャブジャブの金が
都合よく債権だけに流れればいいが一次産品に大量に流れたら大変だ。
ただでも消費が落ちれば企業の業績に響くのに原材料の調達コストがかさむと
その分を補うために企業はリストラや減給でしのごうとするのではないか?
それが消費悪化につながり更に企業業績を圧迫するのではないか?
そのことで更に株から一時産品に金が流れるという悪循環に陥る可能性がある。
一次産品にお金が流れれば原材料だけでなく食料品の価格も上がる
給料や仕事が減り食料品の価格が上がれば家計を圧迫しそれがまた
消費を落ち込ます事になるのではないか?特に日本は食糧自給率が低いから大変だ。
今の目先の業績にこだわったかのような政策が将来のスタグフを招かないか
懸念せざる得ない。企業は目先の業績にとらわれず1ドル=80円でもやっていける
体制を作り介入には批判的な立場を取ってもらいたいものだ
スタグフだけは絶対に阻止しなければいけない。よって私は今の介入額の多さには
批判的にならざる得ずスタグフにならない事を切に願うだけである。

サブプライムローン問題が取り上げられる3年ほど前に、極端なドル買い介入の問題点を指摘しています。

この発言をリーマンショック後に読み返して、BNFさんの凄さを改めて実感しました。

また、世界のお金の動きがどうなっているのかを追える力というのは、投資をしていく上でも大切なのだということを学びました。

逆に、為替が急激な円安に進みすぎた時は、保有している米国国債(外貨準備)を売却することで、「ドル売り・円買い」の為替介入を行います。

日銀によって大量の米ドルが売却されることで、円安を抑制し、為替レートを円高ドル安へと向かわせるきっかけになります。

また、「介入するかもしれない」と発言して市場に影響力を与え、実際に為替介入を行わないことを「口先介入」と言います。

なお、為替介入は事前予告なしに行われますが、過去の実施状況は財務省の「外国為替平衡操作の実施状況」で公開されています。

政策金利の引き上げ・引き下げ

下がる

一般的に、政策金利(正確には実質金利)が低い国の通貨から、高い国の通貨へとお金は流れます。(もちろん、相場が必ずそう動くとは限りません)

政策金利とは、わかりやすく言うと「元本保証である銀行預金の金利の基礎」になるものです。

例えば、日本の銀行に預けていても利息が付かないのは、日本の政策金利(無担保コール翌日物)が低いからです。

しかし、アメリカの政策金利は記事執筆時点で2.25%になっています。当然、同じ元本保証なら、アメリカの銀行に外貨預金をした方が得られる利息は大きいわけです。

こうした2国間の金利差によって円安が進みすぎた場合、円安を抑制したい日銀が政策金利を引き上げたり、ドル高を抑制したい米国財務省が金利を引き下げるという施策を実施することがあります。

最も、金利の引き上げ・引き下げは、米ドル以外の他国の通貨にも影響を及ぼすため、通常は為替介入による安定操作が行われることの方が多いです。

なお、金利の引き上げ・引き下げは為替レートの状況だけで判断されるものではありません

その他にも、様々な理由で金利の引き上げ・引き下げが行われます。

わかりやすい例では、トルコの金利引き上げなどがあります。

新興国であるトルコにとって、海外からの資金流入はとても重要です。

しかし、地政学リスクが問題視され、財政破綻の可能性が指摘されると、海外から流入した資金が一気に引き上げられはじめました。

トルコにとってこれは死活問題ですので、逃避したマネーを再び呼び戻すため、政策金利の引き上げを実施しました。

もちろん、金利の引き上げにはその他にも様々な要因が絡んでいるのですが、記事執筆時点でトルコの政策金利は24%に達しており「破綻の可能性があっても年利24%が得られるならトルコリラに投資しても良いかな」と考える投資家も出てきています。

このように、金利を引き上げることで海外からのマネーを呼び寄せる効果があります。

なお、現在の各国の政策金利は、外為どっとコムの政策金利一覧で確認できます。

次の記事は「百万円」や「千円」のような、決算書ならではの単位を読み解く方法について。

ちょっとしたテクニックですが、覚えておくと一生役立ちます。あわせてご覧ください。

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最後まで読んでいただきありがとうございました

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