ロボアドバイザーや投資信託は暴落時に売るべきか?耐えるべきか?買い増すべきか

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株価急落

ロボアドバイザーを活用して資産運用をはじめる人が増えています。

一説によると、ロボアドバイザーを始める多くの人が投資未経験者なのだとか。

もちろん、投資経験者の方でロボアドを利用している方も多いと思いますが、未経験者の方に投資をはじめるきっかけを提供しているのは良いことです。

おそらく、ほとんどの方が、将来の資産形成を見据えた長期運用を考えてロボアドバイザーまたは投資信託を買っていると思います。

しかし、長期投資をしていると必ず「株式市場の暴落」を経験するはずです。

この記事では、もし株式市場が暴落した場合に、保有しているロボアドバイザーや投資信託を売るべきかどうか、私なりの意見をまとめてみたいと思います。

株価暴落時に考えられる3つの行動

3つの選択

ロボアドバイザーによる事前診断でもよく聞かれる質問ですが、株価暴落時に私たちがとれる選択は、以下の3つです。

  • 保有資産を売却して撤退する
  • 耐える(放置する)
  • 暴落をチャンスと見て買い増す

株式市場が暴落を引き起こしたときは、人の性格によっても取りうる行動は大きく異なります。

自分だったらどの行動をとるか考えてみてください。不測の事態に備えてシミュレーションをしておくだけでも、とても役に立つはずです。

暴落時に保有資産を売ってはいけない

ファンドマネージャー

あくまでも私自身の意見となります。投資は自己責任であることを忘れないでください。

その上で私なりの意見を述べるとすれば、暴落時に保有資産を売るべきではありません

私がこのように考える理由や、暴落時の対処方法(とるべき行動)をまとめてみます。

株価が暴落すると売りたくなってしまうもの

逃げる

「株式市場が暴落しても、保有資産は売らない、むしろチャンスだから買い増すべきだ」

このように言うのは簡単です。しかし、実際にその行動を取るのは非常に難しいという事実があります。

なぜなら、株式市場は人の想定をはるかに超えて下がることが少なくないからです。

例えば、株価が下がりはじめ、自分自身は「株価指数はマイナス10%程度で下げ止まる」と思っていても、実際はその2倍も3倍も下げることは少なくありません。

自分の想定を超える下げ、想定を超える損失の拡大が生じた時、人は恐怖を覚えます。

また、株式市場が暴落すると、周りの多くの人が売り始め「売りが売りを呼ぶ状態」になりますから、下げは日々加速していきます。

  • 1.他の多くの人が売っている(資産を保有しているのは自分だけ)
  • 2.すでに自分の想定を超えた下げになっている(予想外の事態)
  • 3.これはただごとではない(今までの暴落とは違う)

このように考え、最終的に多くの人々と同じ行動をとってしまうのが、人間の常なのです。

こうした行動をとってしまうのは、自分だけではなく、人間の習性によるものです。

このようなときに、本能(習性)の先にある理性を保つためには、人の持つ性質をあらかじめ認識しておくことが大切なのです。

売って買い直すと複利効果が半減する

複利効果

株式市場が暴落したときに、保有している投資信託やロボアドバイザーを売却したとします。

売却時の価格によって、「利益確定」もしくは「損切り」になります。

運良く「利益確定」の状態で逃げることができても、それは決して喜ばしいことではありません。

なぜなら、暴落が落ち着いた後に再び買い直そうと思っても、売却時よりも有利な価格で買うことは難しいからです。

「安くなったところで買い直せばいい」

これも多くの人が言いますが、一方で多くの偉大な投資家が、この難しさについて語っています。

また、一度利益確定をしてしまうと、利益に対して税金がかかります。

納めた税金は再投資に回せないため、利益確定をした時点で、実質的な投資余力は減ってしまいます。つまり、資産運用で大切な「複利効果」が半減してしまうのです。

このようなデメリットを考えると、「ひとまず売却して買い直す」という判断は難しい選択肢であると言えます。

ロボアドバイザーも投資信託も下がるのが普通

AI(人工知能)

株式市場が暴落すると、ロボアドバイザーも投資信託も、たいてい基準価格が大きく下がります。

最先端のAI(人工知能)を搭載しているロボアドバイザーでも、カリスマファンドマネージャーが運用する投資信託でも、株価暴落の影響を受けることは避けられません。

ロボアドバイザー・投資信託が株式市場に連動して暴落する理由は大きく2つあります。

1つは、「投資家の解約が殺到するため」です。

ロボアドバイザーや投資信託の運用者がどれだけ「売りたくない」と思っても、資金の出し手である投資家が現金化を求めれば、投げ売りせざるを得ないのです。

投資信託やロボアドバイザーは運用を「プロにお任せ」できる仕組みです。

しかし、投資家(資金の出し手)からお金が入ってこなければ、資産を買うことはできませんし、解約が殺到し、資産が流出すれば資産を売らざるを得ません。

プロにお任せしているとは言え、運用のプロが「100%自由に行動できる仕組みではない」ということを覚えておきましょう。

株式市場が大きく下げる時はたいてい、現金化を求める投資家によってファンドが投げ売りをさせられ、これが下げを加速させます。

理由の2つめは、安定した運用を実現するために、「株価指数に連動するポートフォリオが組まれているため」です。

どれだけ優秀なAI(人工知能)やカリスマファンドマネージャーが運用していても、彼らは万能ではありません。

そして、資産運用会社はとても大切な顧客資産を預かる立場にあります。

勝手な運用をして、顧客資産を毀損してしまわないように、ある程度は株価指数に連動するような資産構成を考えるのも、プロの仕事です。

このような「顧客資産を大切にするための安定運用」をする結果、株価指数が下げる場合には、少なからずその影響を受けてしまうのは避けられないことなのです。

以上の理由から、ロボアドバイザー・投資信託で長期投資をしている以上、暴落は定期的に訪れるものであると、認識しておくことが大切です。

暴落するほどリスクは下がる

リスク

資産運用の世界では、リスクに対する考え方は大きく2つ存在します。

  • ボラティリティの大きさがリスクである
  • 資産価値がゼロになることがリスクである

リスクを「ボラティリティ(値動きの大きさ)」だと解釈しているのは、ファイナンス理論がそのように考えているからです。

ファイナンス的に言えば、株価が「暴落」しようと「暴騰」しようと、変動幅が大きくなることがリスク(予測できない不確実性)であると考えます。

一方で、一部の投資家は「資産価値がゼロになることがリスクである」と考えています。

保有資産がゼロに近づいている(株価が下がっている)ことは、リスクが増大しているようにも見えますが、株価指数が0円になることは(資本主義が崩壊しない限り)ありません。

個別企業の株価に目を向けると、株価がゼロに近づくことは、倒産リスクが高まっている(株価が0円になる)ことを示す場合があります。

しかし、ロボアドバイザーや投資信託は多くの銘柄に分散投資を行っているため、その基準価額がどれだけ下がっても、0円になることはありません。

つまり、株価が下がるほど、新たな買い手にとって割安で資産を購入できるため、リスクは低下するという考えを持つことができます。

株式市場が暴落し、割安になれば「買い増す」という選択はとても合理的であり、偉大な投資家は常にこの選択によって大きな利益を手にしています

長期的な視点で運用していることを忘れない

老後の人生

「株価が下がれば、買い増しのチャンスである」

これは正しい考え方だと思います。しかし、ここにも多くの人がやってしまいがちな失敗が存在します。

元から短期売買を考えているのであれば、暴落時に売るという選択が正しい時もあります。

しかし、長期投資を考えているなら「暴落は短期的なものであり、自分は10年・20年・30年というスパンでの運用を考えているのだ」ということを忘れないことが大切です。

下記の画像は、ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」で示されているグラフです。
インフレ調整後リターンの平均リスク(年率)

長期的に見ると、株式は債券のリターンを上回ると言われます。これは、株式には「リスクプレミアム」が乗っているからです。

これが、株式という資産が「ハイリスク・ハイリターン」だと言われる理由なのですが、上記の画像が示すとおり、株式のリスクは長期保有になるほど下がることがわかっています。

保有期間が1年~10年の場合、株式よりも債券の方が低リスクです。しかし、保有期間が20年以上になると、株式は債券以下のリスクで債券以上のリターンを享受できる資産になります。

この図が示す事実と、将来の資産形成のための資産運用なのだという「長期的な視点」を忘れないで欲しいのです。

余力を切らさない

継続的な投資

株価が大きく下げると「買い増しのチャンス」だと思って、つい買いすぎてしまうのは、よくある失敗のひとつです。

先ほども述べましたが、株価が大暴落する時は「自分の想定をはるかに超えて下げるもの」です。

よって、自分が安いと思ったタイミングで買いすぎてしまうと、そこからさらに株価が安くなったときに、余力切れで買い増すことができません。

大きく下げても小さく下げても、余力を切らすことなく、着実に買い増しを進めていくことが、最終的に最も良い結果を生むと考えています。

プロ中のプロであればともかく、偉大な投資家の多くが一般投資家に対して「ドルコスト平均法」の重要性を説いています。

借金をして買わない

借金

人は、今が買いのチャンスであると認識すると、つい買いすぎてしまう生き物です。

バーゲンセールに不要なものまで買ってしまい、逆に出費が大きくなってしまったということはありませんか?

株価が暴落する前はもちろん、株価暴落後のチャンスのシーンであっても、無理な借金や信用取引をして買い増すのは危険です。

借入をしてレバレッジをかけた状態での取引は「暴落に耐える力」を奪うからです。

想像を超える株式市場の下げで生き残れるのは、胆力を持ち、暴落に耐えることができた人だけなのです。

価格を気にするな

育てる

価格が暴落しようが、暴騰しようが、積立をコツコツと継続的に続けていく。

株価が高いと感じる時も、安いと感じるときも、価格を気にせず買い続けることが、長期的には最もうまくいくと私は考えています。

多くの人が、資産運用を始める前はそのように考えていたはずです。

株価の暴落や暴騰といった価格変動によって、当初の投資方針を変更する方が異常な行動なのです。

株式市場の暴落によって、保有しているロボアドバイザーや投資信託の価格が下がったら、長期的な視点を忘れないということを思い出してみてください。

次の記事は、「プロスペクト理論とは?投資に活かす方法、あなたの知らない心理学の世界」です。

投資の心理学について解説した記事となります。あわせてご覧ください。

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この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
右も左もわからない状態で株式投資をはじめ、10年以上が経ちました。その間に、引きこもりになったり、会社を設立したり、いろいろなことがありました。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「今日の経営」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

ありがとうございます。

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