稼いでもお金が貯まらない理由。人はなぜ窮困し、なぜ破産するのか

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なぜ?稼ぎが増えても破産?

今日の「貯金部」では、2つの「なぜ?」について考えてみます。

  • なぜ、稼いでも稼いでもお金が貯まらないのか?
  • なぜ、あんなに稼いでいた人が破綻するのか?

大きな成功をつかんでも、最終的に破綻してしまう人は少なくありません。

「大きな成功」とは、例えばビジネスや投資で大きな利益を手にしたというのもそうでしょうし、転職をきっかけに給料が大きく上がったとか、会社から臨時ボーナスが出たということもそうでしょう。

手元に入るお金が増えると生活は豊かになるはず。それなのになぜ、お金は貯まらず、最終的に窮困し、破綻する人まで出てしまうのか。

2つの「なぜ?」についてしっかり理解しておかなければ、せっかく富を手にしても、泡のように消えてしまいかねません。

この記事は、真の成功を求める人、そしてその成功を持続させたいと考える人にとって、読んで損のない記事だと思います。少し長いですが、最後までお付き合いください。

生活水準を向上させるな

なぜ、ベース給料が上がってもお金が貯まらないのか。

なぜビジネスで成功しても最終的にお金がなくなり、窮困してしまうのか。

その理由をシンプルに言えば「どこかで使っているから」に他なりません。

人におごりすぎるとか、夜のお店で散財するという使い方はさておき、人は稼ぎが増えるとその分、使うお金を増やし、生活水準を向上させようとします

人が使うお金を増やし、生活水準を向上させるというのは当たり前のことなのかもしれません。

しかし、稼ぎが10万円増えたからと言って、生活の支出を10万円増やしてしまえば、お金が貯まらないのは当然です。

別の記事で、パーキンソンの法則について書いたことがあります。(この記事には多くのコメントや意見を頂きました)

パーキンソンの法則には「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものがあります。つまり、稼いだ分だけ使ってしまうのは人間としてごく自然のことなのです。

例えば、今より30万円も稼ぎが増えれば、支出を30万円増やすなんて考えられない。そう思うかもしれません。

しかし現実に、稼ぎが増えても生活水準を向上させず、今の生活を維持し続けるのはとても大変なことです。

それはなぜか。理由については後ほど詳しく取り上げます。

人間が最も恐れるものは「退化」である

私は、人間が最も恐れるものは「退化すること」であると考えています。

「退化」の中には「老化」も含まれます。

歳を重ねるにつれて体力が衰えるからこそ、それを恐れてスポーツジムに通ったり、サプリメントを飲み始めたりする。

肌ツヤが失われるのが怖いからこそ、女性は美しさを保つために、化粧品やアンチエイジングにお金をかける。

事実、美容や健康、サプリメント業界には大きなお金が流れており、その業界で成功を治めた経営者は、長者番付などにも載るほど稼いでいます。

人が最も恐れる「退化すること」の言い方を変えると「人生が逆回転したときが一番つらい」ということです。

ビジネスが上手くいかなくなったり、リストラや会社の業績不振によって給料が減る。

その結果、今の生活が失われるかもしれないと感じたとき、人は恐怖を抱きます。

このようなときには心に余裕がなくなります。

心に余裕がなくなると「スキ」ができて騙されてしまったり、普段なら絶対しないような行動に出てしまう人も少なくありません。

退化すると固定費を維持できなくなり破綻する

稼ぎが増えると、人は「それが永遠に続くと思う」ようになります。

稼ぎが30万円から60万円に増えれば、この先ずっと60万円の給料が続くと思ってしまうのが人間なのです。

株式市場などで発生する「バブル」も「それが永遠に続く」と多くの人が思うことが原因で生まれます。

しかし世の中には永遠に続くものなど、ほとんどありませんから、永遠に続くことが前提で持ち上げられた株価は、いずれ「バブル崩壊」という形で暴落するのです。

バブルの場合は、高値を掴んだ人が損失を被ることになりますが、私たちの生活においてはどうでしょうか。

稼ぎが増えると、その生活に見合う水準まで支出を増やします。

しかし、その稼ぎが失われてしまうと、生活水準を維持することができません。

収入が減れば、それに合わせて生活水準も落とせば良いのですが、私たちの多くはそれができません。

なぜかというと、私たちはこのとき「3つの問題」に直面しているからです。

  1. 退化することに恐怖を覚える
  2. 固定費の削減が難しい
  3. 対外的に失敗したと思われたくない

1つめは、前述のとおり「生活水準が下がってしまうことによる恐怖」です。

一度、(家賃の高い)駅チカの家に住むと、家賃が安いからといって駅から遠い家に住むことを受け入れがたくなります。

一度、コンビニの便利さを知ってしまうと、たとえ価格が安いからといって、わざわざ足を伸ばしてスーパーマーケットまで買い物に行こうとは思えません。

考えてみると「以前は当たり前のようにそうしていたのに、豊かになった今では、受け入れがたい」ということに思い当たる節はないでしょうか?

2つめは、固定費の削減が難しいということです。

人は住宅や自動車など「固定費」のかかるものに支出をします。

しかしこうした固定費は、稼ぎが減ったからといって、簡単に減らせるものではありません。

例えば、給料が大きく上がったときに、住宅ローンを組んで良いマンションを購入したとします。

しかしその3年後、務めていた会社が倒産し、不景気の影響もあって給料の安い企業にしか転職できなかった。

この場合、住宅ローンや管理費が生活を圧迫します。転職後の(下がった)給料からすると、身の丈に合わないわけですから、今すぐにでもマンションを売った方がよいわけです。

しかし、数年前に購入した自宅をそう簡単に手放すわけにもいきませんし、1つめの理由「生活水準が下がることによる恐怖」もあり、マンションのローンや管理費といった固定費を削減するのは難しいのが現実です。

3つめは、自分の生活が苦しくなったことを対外的に知られるのが嫌だという心理です。

人間には大小差があれど「見栄を張りたい」という心理があります。

最初から安くて地味な服装で生活している人にとっては問題ありませんが、高価で小綺麗な服装で生活していた人にとって、全身を安くて地味な服装に変えるのはとてもつらいものです。

自分自身がそれを受け入れたくないというのもありますが、それ以上に近所の人に「あ、あの人生活が苦しいんだな。」と思われたくないからです。

高級車に乗れば、周りの人たちは「あの人は高級車に乗っている人」というレッテルをあなたに貼ります。

そのような中で、生活が苦しくなり「高級車から安い車に乗り換えた」ということになれば、周りから「あ、あの人生活が苦しいんだな。」と思われてしまうわけです。

実際には、周りの人はそんなことを気にしていません。(気にしたとしても、他人のことは3ヶ月もすれば忘れるのが人というものです)

「周りからそう思われてしまうのではないか?」と思ってしまう自分自身の心理が、生活水準を下げることを困難にするのです。

こうした問題はすべて、貯金部の過去記事で取り上げた「ラチェット効果」によるものです。

昔読んだ「プロフェッショナルミリオネア」という書籍に以下のような記述がありました。

私の元顧客に、Mさんという経営者がいる。Mさんは人材派遣ビジネスで成功し、創業四年で年商一〇〇億円、年収二億七〇〇〇万円を稼ぐまでになった。

ところが、そこで魔がさした。本業以外でミャンマーに進出するというギャンブルのような事業をはじめてしまったのだ。結局、信頼していた部下の裏切りも重なって、本業もろとも会社を破綻させてしまった。

だが、Mさんほどの能力があれば、その気になれば再起も可能だ。原点に立ち戻って、また人材派遣ビジネスをはじめればいいのだ。私はそう見ていた。しかしMさんはそうしなかった。  

それどころか、高級ブランドの服を身につけて、私のところに借金をしにきた。一度覚えた贅沢な暮らしを捨て切れないのだ。

出典:書籍「プロフェッショナルミリオネア

自分の過去の経験を振り返ってみてください。

お金に関することでなくても、このような「逆回転する人生を受け入れることができず、それを維持しようとして失敗を招いた」経験があるかもしれません。

そのような経験が思い浮かばない人は「人間にはこうした特性があるのだ」と覚えておいてください。

人は稼ぎが増えると生活水準を引き上げる傾向にある。

さらにその生活が永遠に続くと考える。

しかし、永遠にその生活が維持できるかどうかはわからない。

生活水準の維持が困難になったとき、さまざまな理由によって、人はその生活を手放すことができず、維持しようとする。(ラチェット効果)

これまでの生活が逆回転しようとしているのに、その生活を維持しようとすると、加速度的にお金が失われ、破綻を招く。

破綻しない生活を実現するには?

上記で述べてきたとおり、何も考えていなければ、人間の性質上、破綻は必然に起こりえます

稼ぎが増えても破綻しない生活を実現するためには、

  1. 保守的に生活を向上させる
  2. 貯金する
  3. 他人を気にしない

という3つのポイントを意識しておくことが重要です。

保守的に生活を向上させる

最近、私が強く思うのは「いかなるときも保守的であれ」という考え方です。

保守的であるというのは「守りに入る」という意味ではなく「余裕を持て」ということです。

「いかなるときも保守的であれ」とは言い換えると「何事も余裕を持って取り組め」ということです。

多くの人は、限界ギリギリまでやろうとします

稼ぎが増えれば、限界ギリギリまで支出を増やします。

投資におけるレバレッジでも、限界ギリギリまで使おうとします。

電車に乗るときは駆け込み乗車、始業開始ギリギリの時間に出社します。

仕事は就業時間ギリギリまで、提出物は締め切りの期限ギリギリまで。

その結果、余裕がなくなって正しい判断もできなくなりますし、物事が逆回転したときに(予想外のトラブルが起こったときに)、すぐに破綻してしまうのです。

あらゆることに「限界ギリギリ」で取り組んでしまうのは、前述した「パーキンソンの法則」によるものなのかもしれません。

何事にも余裕を持って保守的に、特に支出に対しては、今の稼ぎがこの先ずっと続くとは考えずに、慎重に慎重に増やすこと。

これは、貯金部の1回目の記事で取り上げた安田善次郎の考え方にも通じます。

貯金する

稼ぎが30万円から60万円になっても、生活水準を上げないか、上げたとしてもごくわずかにとどめておく。

こうしておくことで余剰資金が生まれます。

余ったお金を貯金に回すことで、蓄えを築くことができます。(本当はまず貯金をして、余ったお金で生活するのがおすすめです)

稼ぎが増えても保守的な生活をしていれば、物事が逆回転したときでも、その影響は小さく抑えられます。

加えて、一定の貯蓄があれば、生活が逆回転して苦しい時期においても「貯金がクッションの役割を果たしてくれる」のです。

貯金という名のクッションがなければ、金銭的に苦しくなったとき、財産を切り売りしたり、ローン等でお金を借りなければなりません。

予想外のトラブルというのはいつだって起こりうるものです。それがいつ起こるかわからないからこそ「予想外のトラブル」なのです。

予想外のトラブルに対しても、余裕を持って、しかも生活の質をすぐに落とすことなく問題に対処できるのは、一定の蓄えを築いている人だけです。

大昔からこの原則は変わっていません。

米をきちんと備蓄していた人は、米の不作などで飢饉(ききん)が起きても耐えることができました。

他人を気にしない

人は集団で生活する生き物です。

他の人のまねをしたがる性質が「トレンド(ファッショントレンドやブームなど)」を生み出し、周りの人と同じであることに安心感を抱きます。

しかし、人の横を見て生活するのは破綻予備軍であるというのも事実です。

繰り返しとなりますが、「人間の性質上、破綻は必然に起こる」ものですから、多くの人と同じように考え、生活していると、成功の先に待っているのは「破綻」かもしれないのです。

先日、目にしたニュースにこのようなことが書いてありました。

最近は「パワーカップル」という夫婦共働きの世帯が、背伸びした金額の住宅ローンを組み、高級マンションを購入している。

しかし、もともと無理なローンを組んでいる状況下で、「収入の低下」、「離婚」といったトラブルや、「子どもの塾代」、「私立の学費」など、想定外の支出が増えてローンが返済できなくなる。

百歩譲って、背伸びをして良いマンションを購入し、夫婦で頑張って住宅ローンを返済する。というところまでは良いとしましょう。

しかし良いマンションに住めば、そこには一定の収入を持つ世帯が集まっています。

当然、同じマンションやご近所に住む人たちは、購入する家電や設備、日常生活における雑貨や食材、そして海外旅行に至るまで「良いもの」を選ぶ人たちばかりです。

さらに周りの子どもたちは塾に通い、私学に通うのが当たり前という風潮です。

周りがそのような生活をしているのを見て、自分だけそのような生活をしないわけにはいかない。(それがたとえ「背伸びしたローンを抱えている状態」であっても)

多くの人がこのように考えてしまいます。

人の横を見て生活するのは破綻予備軍である。

周りの人がどのような生活をしていようとも、「自分は自分、自分たちの家庭は自分たちの家庭のやり方で生活する。」ということを忘れないでほしいです。

なぜなら、周りの人たちも限界ギリギリの生活をしながら、必死で余裕のあるふりをしているだけなのかもしれないのですから。

そして「周りを気にせず、自分は自分、自分たちの家庭は自分たちの家庭のやり方で生活する。」ことは、人間の性質上とても困難な道であることも覚えておいてください。

しかしその先に「安定的で余裕のある、持続可能な生活(多くの人が真に理想とするであろう生活)」があるのです。

SNSを見ていても、人は「誰それが何々をした。芸能人の誰それが炎上した。」などと、他人のことを話題にするのが大好きであることがわかります。

しかし、他人を見て羨ましがったり、他人を批判したり、他人に文句を言っても、それは自分にとって、プラスになることはありません。

他人がなにをしたとか、他人がどう発言したか。といった「日々流れては消えていくワイドショーのような話題」は無視し、自分に集中する。

他人を見るのではなく、自分を見ることが、生活の経済的な面においても、精神的な面においても豊かになる秘訣だと私は思います。

成功できるかどうか、成功を持続できるかどうかは「自分軸を持てるかどうか」にかかっているのです。

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執筆者の詳細プロフィール
右も左もわからない状態で株式投資をはじめ、10年以上が経ちました。その間に、引きこもりになったり、会社を設立したり、いろいろなことがありました。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「今日の経営」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

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