ウォーレン・バフェットが損切りをしないのは本当か?ダメ株保有は損の元
執筆者:川原裕也
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なぜ塩漬け株が増えてしまうのか?
長期投資で有名なウォーレン・バフェットは「損切りは必要ない」と言っています。株価が下がれば買い増しのチャンスであり、株価が50%下落してもパニックになるなと書籍でも言っています。
自分の所有している株式の価格が50%下落してもパニックに陥らないこと。
自分が持っている企業について自信があれば、株価が下がることは保有株式を買い増して利益を増やせるチャンスとして喜ぶべきことなのである。
参照:バフェット投資の真髄より
しかし、現実には損切りをせずに株価下落の泥沼に陥ってしまい、取り返しのつかない損を被っている人がたくさんいることも事実。
今回は、バフェットの言うとおり、本当に損切りをする必要がないのかどうか、私なりの考えをまとめてみたいと思います。
徹底的に調べつくす
バフェットは、投資対象となる企業のことについて徹底的に調べます。
業績やビジネスモデル、経営者の資質に至るまで、さまざまなルールに則ってその企業の株を買うべきかどうか考えます。(バフェットの投資基準はウォーレン・バフェットはなぜ日本株に投資しないのか?にて紹介)
そして、自分が絶対に優良企業だと自信を持って言えるだけの裏付けを取った上で投資を決めるので、株価が値下がりしても買い増しのチャンスだと思えるのです。
しかし、私たちはバフェットのようなプロフェッショナルではありません。ですので、もし見通しが誤っていると感じたら、潔く撤退することも大切だと思います。
事実、バフェットも一度買った株を手放すことがあります。
保有株を売却することもありうる
ウォーレン・バフェットは、原則として一度買った株式は一生保有すると言っています。
しかし、彼の率いるバークシャー・ハサウェイのポートフォリオを見ると、一度取得した株式を売却することも少なくありません。
例えば、中国の石油会社「ペトロチャイナ」や韓国の鉄鋼会社「ポスコ」、そしてリーマン・ショック時に格安で取得したゴールドマン・サックス株など。バフェットは過去に何度か株式の売却を行っています。
2018年3月 追記:IBM株から撤退
バークシャーハサウェイは2011年にIBM株に100億ドル(約1兆円)を投資しました。
これまでIT企業に投資を行わなかったバークシャーがIBMへの投資を決めたことは、投資業界でも大きな話題となりました。
また、この時にバフェットは「IBMの年次報告書を50年以上にわたって読み込んでいる」とまで言っています。
しかし、2018年2月14日の時点で、約7年間保有し続けたIBM株をほぼすべて売却したことを発表しました。
株価の推移を見る限り、ほぼ損益分岐点ぐらいの位置ですが、この決断は事実上、バフェットが投資判断を誤ったことを認めたと言えます。
バフェット自身も言っていますが、投資の神様ですら、間違ったと判断したら保有株を売却することはあるのです。
では、どのような時に株を売るのでしょうか。そのルールについて、バフェットが尊敬するフィリップ・フィッシャーが3つのルールを提言しています。
保有株式の売却ルール
1:自分が間違っていた、投資した企業が自分の基準を満たしていなかったと気づいたとき2:企業が基準を満たさなくなったとき、従来より能力の低い人々が経営を握った場合、成長した結果業種全体を上回る成長ができなくなった
3:よりすばらしい投資機会に出会い、まず何かを売らなければそれに投資できない場合
原則として一生保有するつもりで購入した株式も、上記のルール次第では売却することがあるということです。
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資産が何を生み出したかに着目する
過去記事の不動産投資をしないのがバフェット流!その理由について考えてみるに書きましたが、ウォーレン・バフェットの投資哲学は「株価を一切気にせずに、その資産が将来何を生み出すか(どれだけの利益を生み出すか)にのみ着目する」です。
将来的に購入した会社の業績が向上し、配当金が増えるのであれば、株価が適切であれば買うし、より安くなればラッキーだと思う。
購入してからさらに株価が下がっても、「会社の将来の業績(配当)」に着目しているので、買い増しのチャンスだと思えるわけです。
しかしこれは、逆に言うと「自分の投資基準を満たさなくなったら現在の株価がどうであれ売却する」ということになります。
たとえその時の株価がマイナス50%だろうが、プラス50%だろうが、現在の株価に関係なく、「保有株式の売却ルール」に従って売るのです。
- 企業の業績やビジネスモデル、経営方針に対して投資判断を下す。投資判断を下すのは自分自身である
- 株価を決定するのはマーケットであり、自分ではコントロールできない
これが、正しい考え方だと思います。
しかし、現実には「損をするのが怖い」という理由で、自分の見通しが誤っていたと気づいた時に、投資判断は売りだと思っているのに、株価が戻るまで待ってしまう人が多いのではないでしょうか?
企業の業績だけを見て、株価は一切見ることなく投資をすると、良い投資判断ができるかもしれません。
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おまけ:資産は時価で見たほうがいい
たまに、損切り(または利益確定)をするまで負けではないという投資家がいます。
しかし、下落した株価はいつ戻ってくるかわかりません。元の買値に戻るまで10年かかるかもしれませんし、株価が戻ることなく上場廃止となり回収不能になる恐れもあります。
そこで、私は資産の評価基準を「時価計上」にしています。
含み益も含み損も常にその時の「資産」として考えることで、現在自分が保有している資産の本当の価値がわかるようになります。
事実、国際会計基準は時価計上で行われるため、株価が上がれば資産も膨らみますし、逆に下がれば資産も目減りします。
損切りが苦手な人は、まず第一のステップとして自分の資産を常に時価で評価する癖を付けてみてはいかがでしょうか。
次の記事は「ウォーレン・バフェット推奨本!「投資で一番大切な20の教え」に隠されたヒント」です。
バフェットが「極めて稀に見る、実益のある本」と称する、投資の本質について書かれた良書から得られる学びを紹介します。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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