ANAマイル投資は本当にお得?トラノコでポイント運用する前に読みたい記事

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ANAマイル投資

ポイント投資が普及するにしたがい、あらゆるポイントが資産運用の対象になります。

ANAが展開する「ANAマイレージクラブ(通称:ANAマイル)」は国内ではじめて、「マイル投資サービス」をはじめました。

タッグを組んだのは、お釣り投資で有名な「トラノコ」です。

トラノコを運営するTORANOTEC株式会社は、セブン銀行をはじめ多くのベンチャーキャピタルから出資を受けている、期待の企業です。

ANAマイル投資サービスを活用することで、保有しているANAマイルをトラノコポイント交換し、運用に回すことが可能です。

この記事では、ANAマイル投資やトラノコのメリット・デメリットを中立的に評価します。

ワンクリックでマイルを運用に回す

スマホを見る女性

マイル投資サービスを始めるには、まずトラノコが提供するアプリと、ANAマイルを連携します。

トラノコのアプリにANAマイレージクラブの番号を入力するだけなので、連携はとても簡単です。

一度連携すれば、その後はポイント移行がすぐに行なえます。

連携が完了すると、ワンクリック(ワンタップ)で、ANAマイルをトラノコポイント(運用ポイント)に移動させることが可能です。

1ヶ月あたり1,000マイルの移行が上限

現時点では、毎月1,000マイルしかトラノコに移行できません。

この条件は今後改善していくとのことですので、将来的には、より多くのマイルをトラノコポイントに移行できるようになると思われます。

移行したポイントはマイルに戻せない

上昇

一般的な「ポイント投資」は、ポイントを直接運用して増やすサービスを提供しています。

しかし、ANAのマイル投資サービス(トラノコでは「マイルで投資」と呼んでいる)は、一度移行したマイルは、再びマイルには戻せません

運用の流れとしては以下のようになります。

  1. ANAマイルをトラノコポイントに交換
  2. トラノコで資産運用する
  3. トラノコから現金として出金する

「マイルを増やす」タイプのポイント投資ではなく、トラノコポイント(運用ポイント)への移行サービスであるという点は覚えておきたいところ。

ANAマイルとトラノコポイントの移行レート

注意

ANAとトラノコが提供する「マイルで投資」では、「1,000マイル → 500トラノコポイント」が移行レートです。

1トラノコポイントは1円相当の価値がありますので、実質的には「1,000マイル → 500円」で運用できると考えて問題ありません。

しかし私は、この移行レートを見て「顧客にとってメリットが感じられないサービスだ」と思いました。

なぜかというと、一般的に1マイルの価値は3円相当と考えられるからです。

ANAマイルの価値を最も高められるのは、ANA航空券との交換で使った場合です。

航空券の内容によっては1マイル=2円になることもありますが、通常は3円程度になります。

また、ビジネスクラス・ファーストクラスの座席とマイルを交換する場合は、1マイルあたり6円や9円の価値になることもあります。

一方で、保有しているANAマイルを「マイル投資サービス」に使ってしまうと、1マイルあたり0.5円の価値にしかなりません。

いくら運用で増やせると言っても、そもそも交換した時点で1マイルの価値が大きく毀損しているのです。

  • マイルを交換できるほど持っていない
  • 使いみちがなくて失効しそう

このような人にとっては、ANAマイル運用は利用メリットがあると言えるでしょう。

ANAマイルには、航空券以外にもさまざまな交換先があります。

例えば、楽天ポイントやナナコ、Vポイントなどと交換することも可能ですが、いずれも1万マイルからの交換受付なのでハードルが高いです。

この点、「トラノコのマイルで投資」なら、1,000マイルから運用ポイントに移行できるので活用メリットがあります。

とは言え、下記のように整理してみるとお得とは言い難いです。

交換先ごとのANAマイルの価値
1マイル = 3円相当
ANA航空券との交換。場合によっては2円になることや、1マイルあたり6円、9円になることも。
1マイル = 1円相当
楽天ポイント、Vポイント、nanacoなどの他社ポイントとの交換。ただし最低1万マイルから受付。
1マイル = 0.5円相当
トラノコポイント。交換レートは低いが、1,000マイルから交換できるのが利点。

ANAのマイル投資サービス(トラノコのマイルで投資)は、よほど使いみちがないマイルの消費先としてはおすすめ

ただし、交換レートは低いので、できることなら他のポイントや商品と交換する方がお得。

トラノコファンドを分析

トラノコ

トラノコでは、3つのファンドを選ぶだけの簡単手順で資産運用をはじめられます。

安定重視の「小トラ」
米国の債券を中心に、さまざまな資産にバランスよく投資。米ドル建て資産に50%~100%の範囲で為替ヘッジをかける。
バランス重視の「中トラ」
米国の債券を中心に、さまざまな資産にバランスよく投資。小トラよりはリスクが高い。米ドル建て資産に50%~100%の範囲で為替ヘッジをかける。
リターン重視の「大トラ」
米国の株式を中心に、さまざまな資産にバランスよく投資。米ドル建て資産に0%~100%の範囲で為替ヘッジをかける。

いずれも、バンガードやiSHARES、SPDRといった低コストなETFで運用を行う「ファンド・オブ・ファンズ」です。

ETFのコストはほとんど気になりませんが、左記に加えてトラノコファンドの信託報酬(コスト)が二重に発生します。

※信託報酬(コスト)はすべて、基準価格(投資信託の株価)に反映されています。

また、投資対象は米国が中心となっており、小トラ・中トラ・大トラのいずれも、米ドル建て資産に対して為替ヘッジをかけます。(大トラは為替ヘッジの割合が低い)

3種類のトラノコファンドは、運用中にスイッチング(切り替え)することが可能です。

為替ヘッジをかけると、為替変動リスクを回避または低減できます。

しかしその分、ヘッジコストがかかるため、場合によっては運用益を目減りさせる要因になります。

トラノコファンドの信託報酬(コスト)

手数料

トラノコファンドは一般的な投資信託と同じです。運用期間中に継続して信託報酬(コスト)が発生します。

私たち投資家が負担するコストは以下の通りです。

  • 購入時手数料:0円
  • 信託財産留保額:0円
  • 信託報酬:年率0.3%
  • その他費用:年率0.1%
  • ETFの信託報酬:年率0.1%前後
  • 合計:年率0.5%前後

※税抜きです

コストは小トラ・中トラ・大トラすべて共通です。

トラノコファンドを「完全におまかせできるロボアドバイザー」だと割り切れば、このコストには納得できるかもしれません。

しかし、通常の投資信託として見るのであれば、この信託報酬は高めと言わざるを得ず、ANAマイルをわざわざトラノコポイントに換えて運用するメリットは小さいと感じます。

あくまでも私の個人的な意見ですが、やはりトラノコを使った「マイル投資サービス」は、使いみちがなく失効してしまうマイルの消化先としての使い方が一番だと思います。

また、トラノコの利用にはこれに加えて「手数料」が別途かかります。

トラノコファンドの目論見書を確認する

トラノコの利用手数料は月300円

小さい金額

トラノコでは、サービスの利用手数料として毎月300円がかかります。(当初3ヶ月間は無料

この手数料は運用金額に関係なく「固定」です。よって、運用残高が大きくなるほど、経費率は下がります。

▼毎月300円(年間3,600円)の手数料が運用資産に占める経費率

  • 運用資産1万円:年率36%
  • 運用資産10万円:年率3.6%
  • 運用資産100万円:年率0.36%
  • 運用資産1,000万円:年率0.036%

運用資産が1,000万円規模になれば、ほぼ無視できるコストですが、資産100万円でも運用残高に占めるコストの割合は大きめです。

仮にトラノコで100万円を運用していた場合、

  • ファンドの運用コスト:年率0.5%程度
  • トラノコ手数料のコスト:年率0.36%程度
  • 合計:0.86%程度

となってしまいます。これは決して低コストとはいえません。

私が特に疑問に感じるのは、使いみちのないANAマイル1,000マイルを500円分のトラノコポイントに移行しても、3ヶ月の手数料無料期間が終わったら、2ヶ月で(資産がすべて手数料に吸われてしまい)残高がゼロになるという事実です。

仮に、1万マイルを5,000円分のトラノコポイントに移行しても、1年で3,600円の手数料がかかるわけですから、2年と持たずにゼロになってしまいます。

「使いみちのないマイルを運用に回せる」というメリットがある一方で、現実は運用に回してもすぐに手数料の徴収で消えてしまうことになるのではないでしょうか

また、トラノコで運用中のファンドを解約し、出金する場合は、1件につき300円の出金手数料が必要です。

ただし、通常3ヶ月の手数料無料期間は、以下の銀行から口座開設することで延長可能です。

トラノコの提携銀行
みずほ銀行
トラノコ手数料が6ヶ月間無料。5回目の投資額締め日までにみずほ銀行の投資信託口座を開設すると、合計1年間トラノコ手数料が無料。
ドコモ口座
2,000円プレゼント。
中国銀行
トラノコ手数料が1年間無料

もっとも、1年間手数料が無料になっても、2年目からフルで手数料は徴収されるのですが。。。

救済措置としての毎月ポイントプレゼント

ポイント投資

ここまで分析してみると、どう考えても顧客に有利とは言えない内容です。

しかし、トラノコには救済措置として「毎月ポイントプレゼント」というサービスがあります。

これは、トラノコで12回の投資実行を行うと、毎月ポイントが付与されるという仕組み。

下記、いずれかのサービスを選択します。

nanaco
毎月20ポイント、口座開設で3,500ポイント
ANA
毎月5マイル、口座開設で700ポイント
dポイント
毎月15ポイント、口座開設で3,000ポイント
ニチガス
毎月のガス料金100円引き

上記を比較すると、nanacoを選ぶのが一番メリットが大きいですね。

結論:おすすめできるサービスではない

1億人の投資術 管理人の評価

ANAのマイル投資サービスについて様々な角度から分析してきました。

結論としては、おすすめできるサービスではないです。

その理由は3つあります。

  1. マイルから運用ポイントへの交換レートが低すぎる
  2. 投資ファンドの信託報酬がやや高め
  3. 毎月300円の手数料がかかる

結果的に、少額のマイルを運用ポイントに移行しても、手数料の徴収で1年も経たないうちにマイル移行分の価値は消滅してしまいます。

また、1万マイルなどのまとまったANAマイルを保有しているのであれば、航空券や楽天ポイント、nanacoなどに交換した方が「交換率は圧倒的に良い」です。

使いみちとしてあまり良いものはありませんが、ANAマイルには1マイルから交換できる使い方もあります。

「おつりで投資」で様々な企業と連携している「トラノコ」ですが、私たち投資家にとってのメリットを考えると「本当に顧客本位のサービスなのか?」疑問に感じます。

この手のサービスを利用する人の多くは、少額投資で資産運用する方でしょうから、少なくとも毎月300円の手数料は無料化すべきでしょう。

月額300円の手数料さえなくなれば、トラノコの利用メリットは大きく上がるのに、もったいないなというのが私の意見です。

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執筆者の詳細プロフィール
右も左もわからない状態で株式投資をはじめ、10年以上が経ちました。その間に、引きこもりになったり、会社を設立したり、いろいろなことがありました。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「今日の経営」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

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