米ドル建てMMFは利回りが変わリます。過去に購入した利回りの低いMMFは預け替えが必要ですか?
執筆者:川原裕也
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1億人の投資術の読者の方からご質問をいただきました。
【質問】
米ドル建てMMFは、利回りが変わるのですが、過去に0.4%利回りで購入したMMFは、現在の1.2%利回りが適用されるのでしょうか?
証券会社の定期預金のようなものだとしたら、預け替えをしたほうがいいのか知りたいです。よろしくお願いします。
外貨建てMMFは変動金利です
外貨建てMMFは、満期のない変動金利の預金に似ています。
よって、いつでも自由に引き出しが可能で、利回りもその時の状況に応じて変動します。
過去に低利回りで米ドル建てMMFを購入している方でも、そのまま保有しているだけで、上昇した利回りの恩恵を受ける事ができます。
一般的に、債券利回りが上がると債券価格は下がります。(つまり過去に保有している人は含み損を抱えることになります)
しかし、外貨建てMMFは「価格が変動しない」ため、保有者にとって利回りの上昇はメリットです。
質問者さんは利回りが年率0.4%の時に米ドル建てMMFを購入されたようですが、直近の利回りは年率1.4%程度まで上昇しています。 ※記事更新時点(2019年10月28日)の情報です
現在はそのまま年率1.4%の利回りで運用できているので預け替えは不要です。
ただし、1つアドバイスできることもあります。
米ドル建てMMFの比較は、過去に「外貨建てMMF(米ドル建てMMF)の手数料や利回りを4社比較」という記事で書いています。
この記事では、ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンドの利回りが最も高い(リスクも高い)と解説しました。
記事更新時点(2019年10月28日)では、ブラックロックの米ドル建てMMFは年率1.436%となっており、他の米ドルMMFよりも若干高いです。
ブラックロックの米ドル建てMMFは現在、SBI証券しか取り扱っていません。
現在保有中の米ドル建てMMFの解約や、証券会社への資金移動の手続きは面倒ですが、トータルで考えてメリットを感じられるのであれば、より高利回りな外貨建てMMFに預け替えをするのは悪くないと思います。
なぜなら、米ドル建てMMFは価格変動がないため、売却に際して手数料などがかからないからです。
もっとも、証券会社の変更を伴う資金移動の場合、米ドルを円に戻す作業が発生する可能性もあります。この場合、為替手数料が発生しますので、この点は注意してください。
米ドル建てMMFを新規買付する場合は、その時もっとも利回りの高い米ドル建てMMFを選ぶのがおすすめです。
あわせて読みたい:
外貨建てMMF(米ドル建てMMF)の手数料や利回りを4社比較
なぜ米ドル建てMMFの利回りが上がっているのか?
最近、米ドル建てMMFの利回りが上昇しています。
これは、金融緩和によって低金利で推移していたアメリカの政策金利が、FRB(アメリカの中央銀行制度)によって少しずつ引き上げられていることで起こります。
政策金利は、企業向けや個人向けなどの借入利率に影響を与えます。
リーマンショックで不況に陥ったアメリカは、政策金利を引き下げ、企業・個人がお金を借りやすくしていました。
お金が借りやすくなれば、企業の事業展開や消費者の生活支援にもなりますし、消費喚起にもつながるからです。
ようやく景気が正常サイクルに戻ってきたことで、緩和縮小の動きが出はじめています。
政策金利は一度上がると連続的に上がるのが普通(下がる時も同様)なので、2017年に入ってからアメリカの政策金利は段階的に引き上げられています。
政策金利が上がると、債券の利率が上がるため、米ドル建てMMFの利回りも上昇します。
政策金利の上昇に遅れて利回りが上がる
米ドル建てMMFの残存期間(ポートフォリオ全体の加重平均)は「60日以内」とされていることがほとんどです。
これは、遅くとも60日以内には現在保有中の(古い利回りの)債券がすべて満期を迎え、新しい利回りの債券に入れ替わることを意味しています。
つまり、政策金利の引き上げによって米ドルの金利が上昇しても、すぐに米ドル建てMMFの利回りが上がるわけではありません。
約60日をかけて少しずつ、現在の金利水準に適した利回りに順応していきます。
残存期間60日以内というのは、債券の中ではかなり短い期間なので、金利に対する米ドル建てMMFの感応度は、その他の債券ファンドと比較しても高いです。
今後、アメリカの政策金利が一段高になれば、米ドル建てMMFの利回りもジリジリと上がっていくでしょう。
米国債券の記事は下記で詳しく書いています。あわせてご覧ください。
あわせて読みたい:
米国債・債券ETF・外貨建てMMF・外貨定期預金のメリット・デメリットを比較
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プロスペクト理論とは?投資に活かす方法、あなたの知らない心理学の世界
2件のコメント
川原様
ほぼ毎日「一億人の投資術」を拝見させて頂いております。
昨年このサイトを発見してから、投資について真剣に考えるようになりました。この「一億人の投資術」に出会えて、本当に良かったと思っています。
一つ、質問したい事がございます。
現在、このサイトをきっかけに
(1)つみたてNISA
(2)ロボアドバイザー(ウェルスナビ、テオ)
に投資しております。
※投資期間は、1年半です。
※投資をしている目的としては、「老後資金をしっかり貯める」事です。
最近、「外貨建てMMF」の記事を読み返すうち、興味が出てきました。
外貨については、今現在持ち合わせてはいないのですが、積立をしながら少しでも利回りを狙っていけたらと考えています。
ただ、色々と投資に手を出すのはどうなのかとも考えております。上記2つ(つみたてNISAは上限いっぱいなので、実質はロボアド2つ)に金額を上乗せして投資額を増やすのがいいのか、外貨建てなどの自分でも分かりやすい投資を増やすべきなのか迷っております。
私事で大変申し訳ございませんが、助言を頂けたらと思います。
よろしくお願い致します。
>篠原 猛さん
コメントありがとうございます。
外貨建MMFとつみたてNISA、ロボアドバイザーはそれぞれ商品性が異なります。
つみたてNISAは基本的に株式です。外貨建てMMFは債券です。債券はどちらかというと「防御のための資産」に位置づけられます。
ロボアドバイザーは株式・債券・その他資産をバランスよく組み合わせてくれるサービスです。
外貨建てMMFは基本的に「安全な待機資金置き場」として利用することが多く、また「インフレ対応力のある現金」に近い商品です。
一定の利回りは得られますが、それはインフレ考慮後の資産価値(購買力)が増えているわけではありません。
よって、長期保有による「資産形成(資産を増やすこと)」を考えるのであれば、外貨建てMMFに長期間資金を預けておくことは合理的ではありません。
つみたてNISAもロボアドバイザーも、間接的に外貨建て資産に投資していますので、外貨を持っていないリスクを外貨建てMMFで解決するというのも合理的ではないように思います。
購買力を維持しながら現金(外貨)を持っておきたいということであれば、外貨建てMMFへの投資は賛成ですが、老後に向けて資産を増やしていくための投資を考えているのであれば、私ならロボアドバイザーへの追加投資を行います。
もちろん、つみたてNISA(株式)やロボアドバイザーは外貨建てMMFに比べて資産価値の変動が激しいため、一時的にはマイナスになることもありますし、マイナスの状況では現金化しにくいなどの問題もあります。
しかし、長期スパンで運用を考えるのであれば、やはりリスク資産である株式に投資した方が良いと思います。
いざという時に必要になるかもしれないお金は、円資産のまま現金でもっておき、(一時的なマイナスになる可能性のある株式の)運用中に、投資信託やロボアドバイザーを解約をしなくても良い状況を作っておくとより良いでしょう。
つみたてNISAの投資枠が一杯になっているということですが、同じく節税効果の高いiDeCo(個人型確定拠出年金)も良い商品だと思いますので、合わせて検討してみても良いと思います。
つみたてNISAとiDeCoだけで、非課税投資枠はかなり大きくなりますので。
※プライバシーに配慮し、コメントに記載のあったメールアドレスはこちらで削除させていただきました。ご了承くださいませ。