S&P500に3倍のレバレッジを掛けるETF「SPXL」と空売りができる「SPXS」
執筆者:川原裕也
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「米国の株価指数 S&P500 が大暴落しそう。」
そのような時に、海外ETFを活用することで「空売り」をすることが可能です。
海外ETFには様々な商品があり、中にはS&P500にレバレッジをかけて値動きを大きくしたものや、逆の値動きをして事実上の「空売り」ができるETFもあります。
今回は、米国が大きく値上がりすると思える時に強みを発揮する「SPXL」と、米国株式が暴落すると思われる時に狙える「SPXS」を取り上げます。
また、あわせて米国国債や不動産に3倍のレバレッジをかけて投資したり、空売りをするETFも紹介します。
なお、この記事で取り上げるすべてのETFは、国内のネット証券で購入することが可能です。
目次
SPXS:S&P500の大暴落に賭ける
テッカーコード「SPXS」は、「Direxion デイリー S&P 500 ベア3倍 ETF」という名前の海外ETFです。
S&P500の1日の値動きの3倍の「逆」の動きを目指すETFとなっています。
S&P500が値下がりするとSPXSは大きく値上がりし、S&P500が値上がりするとSPXSは大きく値下がりします。
事実上S&P500に対して「レバレッジ3倍の空売り」ができます。
ちなみに、米国の金融街「ウォールストリート」では、熊(ベア)が上から下に腕を振りかざすことにちなんで、空売りを「ベア」と言います。
一方、水牛(ブル)が下から上に角を突き上げることにちなんで、買い手のことを「ブル」と表現します。
下記は直近10年間(2008年11月~2018年11月)のSPXSのチャートです。
この10年、S&P500は右肩上がりの状態でしたので、指数と逆の値動きをするインバースETF「SPXS」は散々な結果になっています。
10年前、8,662ドルだったSPXSは現在、27.44ドルまで下落しており、その騰落率はマイナス99.6%です。
SPXL:S&P500にレバレッジを掛けて投資
テッカーコード「SPXL」は、「Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF」という名前の海外ETFです。
SPXLは一般的なレバレッジETFと同じです。
値動きはS&P500と同じです。株価指数が値上がりすると、SPXLも値上がりします。
レバレッジをかけているため、その値上がり幅は通常の3倍となります。(きっちり3倍にはなりません、詳しくは後述します)
2008年11月から2018年11月までの過去10年間の値動きは以下の通りです。
この10年はリーマンショックからの立ち直りでS&P500は大きく上昇し、レバレッジをかけた「SPXL」は10倍以上の値上がりになっています。
3.12ドルから39.08ドル、騰落率はプラス1,152%です。
SPXSとSPXLに投資する上での注意点
レバレッジ・インバースETFに投資する際は、値動きの大きさ以外にも注意すべきポイントが2つあります。
2つのポイントを抑えておくことで、より適切な取引ができるようになるはずです。
値動きの大きさは1日単位で完結する
Direxionのその他のブルベア3倍ETFにも共通することですが、この手のETFは単純に3倍のレバレッジをかけて運用するものではありません。
少し難しいかもしれませんが、下記の2行の引用文を読んでください。
当ETFは、日次ベースの投資目標を追求するため、1営業日を超える取引期間においては、対象インデックスに連動した値動きが期待できるものではありません。
当ETFは、全ての投資家に適した金融商品ではなく、レバレッジのリスクを理解し、投資資金を積極的に運用する投資家にのみ活用されるべきものです。
SPXSやSPXLは、1日の値動きに対してS&P500の3倍の動きをするように設計しています。
もちろん長期保有も可能ですが、長期的にS&P500に対して3倍の値上がり・値下がりが期待できるものではないということです。
上記の引用文のとおり、目論見書にも「投資資金を積極的に運用する投資家にのみ活用されるべきもの(つまり短期投資向けであり、長期投資には向かない)」と書かれています。
この部分はレバレッジドETFやインバースETFを理解する上で重要なポイントとなります。しっかりと頭に入れた上で投資をするようにしてください。
経費控除前で3倍の値動き
SPXS・SPXLともにS&P500に3倍のレバレッジを掛け、1日の値動きが3倍大きくなります。
しかし、ここで言う「3倍」は経費控除前の値動きです。
SPXS・SPXLはそれぞれ、投資信託の信託報酬に相当する「運用報酬(経費率)」が年率0.95%かかります。
通常のS&P500 ETFである「バンガード S&P500 ETF(VOO)」の経費率が年率0.05%であることを考えると、SPXLは年率0.9%もコストが高いです。(実に19倍の差です)
この「年率0.95%の経費」は言い換えると「レバレッジを掛けるための借入コスト」と言えます。
つまり、SPXS・SPXLで得た利益は、3倍よりも若干マイナスとなり、逆に損失は3倍よりも若干大きくなります。
単純にレバレッジ3倍の取引ができるわけではなく、若干不利な取引をしているということも忘れてはならないポイントです。
米国国債にレバレッジをかけ、空売りするETF
SPXL・SPXSを組成しているのは、Direxion Investmentsという、ETFに強みを持つ資産運用会社です。
Direxionは他にも、米国国債に3倍のレバレッジを掛けたものや、3倍のレバレッジを掛けて空売りをしたETFも展開しています。
安全資産と言われる米国国債にレバレッジを掛けることで、分配金も3倍になると思いきや、Yahoo!ファイナンス(US)を見る限り、そうでもないようです。
繰り返しとりなりますが、レバレッジETFは値動きが3倍になりますが、その分経費率が上がる(実質的な借入コスト)ので注意が必要です。
単純に値動きが3倍になるだけでなく、経費率の上昇分だけ、若干不利な状況での勝負となります。
現在、楽天証券で取り扱っているDirexionのレバレッジ・インバースETFは以下の通りです。
ティッカー | 銘柄名 | 経費率 |
---|---|---|
TMF | 20年超米国債 ブル3倍 ETF | 0.95% |
TMV | 20年超米国債 ベア3倍 ETF | 0.95% |
DRN | 米国リート ブル3倍 ETF | 0.95% |
DRV | 米国リート ベア3倍 ETF | 0.95% |
FAS | 米国金融株 ブル3倍 ETF | 0.95% |
FAZ | 米国金融株 ベア3倍 ETF | 0.95% |
TNA | 米国小型株 ブル3倍 ETF | 0.95% |
TZA | 米国小型株 ベア3倍 ETF | 0.95% |
EDC | 新興国株 ブル3倍 ETF | 0.95% |
EDZ | 新興国株 ベア3倍 ETF | 0.95% |
「ブル」は「買い」を意味し、「ベア」は「空売り」を意味します。
DRNやDRVといった米国リートのブルベアETFに投資すると、アメリカの不動産に対してレバレッジをかけて投資したり、空売りをすることができます。
レバレッジETFはリスクが大きいため、くれぐれも銘柄選びは慎重に行い、投資判断を下してください。
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