eMAXIS Neo(イーマクシス・ネオ)誕生、テーマ型ファンドを徹底評価
執筆者:川原裕也
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資産運用会社の三菱UFJ国際投信は、低コストなインデックスファンド「eMAXIS(イーマクシス)」シリーズを展開しています。
新しく誕生したeMAXIS Neo(イーマクシス・ネオ)は、個人投資家に人気の「テーマ型ファンド」を低コストで運用するシリーズです。
テーマ型ファンドは、AI(人工知能)やロボットといった、大きな成長が期待されている分野を取り扱います。
技術・テクノロジーの発展の恩恵を受けられるのが、eMAXIS Neoの特徴です。
今回は、eMAXIS Neoについて初心者にもわかりやすく解説します。
目次
eMAXIS Neoのラインナップと手数料
eMAXIS Neoのラインナップと信託報酬は以下の通りです。
信託報酬とは、投資信託の保有期間中に継続して発生する「コスト」です。
ファンド名 | 信託報酬 |
---|---|
eMAXIS Neo 遺伝子工学 | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo ロボット | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo 宇宙開発 | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo ドローン | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo ナノテクノロジー | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo バーチャルリアリティ | 0.72%以内 |
eMAXIS Neo 自動運転 | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo ウェアラブル | 0.792%以内 |
eMAXIS Neo フィンテック | 0.792%以内 |
※信託報酬は税込
eMAXIS Neoの商品はすべて、購入時手数料0円(ノーロード)で、信託財産留保額もありません。
それぞれ、ファンド名通りの関連銘柄に投資します。
例えば、「eMAXIS Neo 宇宙開発」なら、宇宙開発に関連する銘柄を投資対象にしている投資信託となります。
eMAXIS Neoが投資対象とするのは「世界の関連企業の株式」です。
よって、投資先は米国やその他の国々の株式であり、国内株式はほとんど組み入れられていません。
テーマ型ファンドを低コストで提供
eMAXIS Neoは、最近話題となっている「テーマ型ファンド」です。
テーマ型ファンドには私たちに大きな値上がりを期待させる一方で、信託報酬や購入時手数料が高いという問題がありました。
どれだけ成長率が高い市場に投資しても、相応の手数料がかかっていては、私たち投資家はリターンが得られません。(ただ、運用会社が儲かるだけです)
投資信託を用いた資産運用においては、いかにコストを抑えた運用をするかが大切です。
現在販売されているイーマクシスネオの信託報酬は一律で、0.792%以内(税込)となっています。
アクティブ運用を行うテーマ型ファンドの多くが、信託報酬を1.5%~2.0%程度に設定している状況を考えると、eMAXIS Neoは半分以下のコストでテーマ株に投資できる投資信託と言えます。
一般的なインデックスファンドに比べると、eMAXIS Neoの信託報酬はまだまだ高いです。
しかし、テーマ型ファンド同士で比較すると、その秀逸さは目を引くものがあります。
Kenshoインデックスに連動
eMAXIS Neoは、特定の指数に連動するインデックスファンド(パッシブファンド)です。
ベンチマーク(連動する指数)となるのは、Kenshoテクノロジーズ社が開発したKenshoニューエコノミー指数となります。
米国の企業であるKenshoテクノロジーズ社は、AI(人工知能)を用いた分析ツールなどを、金融機関向けに提供している会社です。
Kenshoニューエコノミー指数にはいくつかの種類があり、その中の1つである「Kensho Robotics Index(配当込み・円換算)」に連動するのが、「eMAXIS Neo ロボット」となります。
Kenshoニューエコノミー指数は、同社が企業業績やニュース情報といった膨大なデータをAIに学習させることで、AIが関連銘柄を選び出し、指数を構成しているという特徴があります。
「インデックス」と名前はついていますが、広く使われている指数ではなく、独自色の強い指数である点に注意です。
わかりやすく言うと、広く知られており、多くの投資家が採用している「TOPIX(東証株価指数)」や「日経平均株価」は信頼性の高いインデックスです。
特にTOPIXは、東証一部のすべての上場企業を算出対象にした平均指数なので、信頼性・透明性に申し分はありません。
一方、もし「1億人の投資術 管理人のおすすめ銘柄指数」というものを作ったらどうでしょう。
これも立派なインデックス指数ですが、管理人の独自色が強く、かつ一般的に普及している指数ではないので、信頼性が高いとは言えません。
eMAXIS Neoが採用している「Kenshoニューエコノミー指数」はどちらかというと後者に近いと思いますので、インデックスと名のついたアクティブファンドと考えた方が良いと思います。
将来的に、この指数自体が「ひどい指数」になってしまう可能性も十分あると考えられます。
ただし、Kensho社は、米国の代表的な株価指数「S&P 500」を作っている、S&P社の100%子会社なので、将来的に広く使われる指数になる可能性も秘めています。
eMAXIS Neo(イーマクシス・ネオ)の評価
比較的低コストで、特定のテーマ株に投資できるという点では、選ぶ価値のある投資信託だと思います。
しかし、記事の中でも触れたとおり
- とは言えコストは低いとはいえない
- インデックス指数の信頼性に疑問がある
という2つの部分は個人的に気になります。
Kensho社は名門「S&P社」の100%子会社ですが、「Kensho社の作った新しいインデックス」はまだまだ広く知られているとは言えません。
また、特定のルールに則った平均指数ではなく、学習したAIが自動的に銘柄を選定した株価指数なので、アクティブ色が強いのではないかと思います。
テーマ型ファンドの注意点
また、あまり知られていない事実なのですが「産業が大きく成長したからと言って、株価が上がるわけではありません」。
これは多くの個人投資家が勘違いしている事実です。
eMAXIS Neoが展開するファンドはいずれも、ロボットやAI、宇宙開発といった、私たちをワクワクさせるような未来の技術ばかりです。
しかし、かつての航空産業がそうだったように、「航空産業の市場規模は拡大したが、航空会社は軒並み赤字続きで投資家に利益をもたらさなかった」という事例もあります。
成長産業はそれだけ競争が激しく、利益の削り合いが起こりますし、また中には競争に敗れて散っていく会社も数多くあります。
IT業界も大きく成長しましたが、その裏には競争に破れ破綻した企業がやまほどあります。インデックスに投資するということは、未来の成功企業にだけでなく、こうした未来の破綻企業にも分散投資することを意味しています。
宇宙開発やAIの市場規模がこれからますます拡大していくことは間違いありません。
しかし、それは多くの人が知っている事実であり、多くの投資家がその産業に投資したいと思っています。
つまり、期待が大きい産業はすでに割高になっている可能性があるということです。
また、成長産業に参入する企業が増えた結果、過当競争が起こり、利益をほとんど生み出さない可能性も十分考えられます。
このようなリスクを踏まえた上で、0.792%(税込)の信託報酬を払って投資する価値があるのかどうか。あとはそれぞれの投資判断に委ねたいと思います。
テーマ株に投資するその他の方法
テーマ株に投資する方法は、テーマ型ファンドを購入する以外にも数多くあります。
最近では、FOLIO(フォリオ)のように、テーマ単位で売買する「テーマ投資」も登場しています。
こうしたサービスを活用することで、テーマ型ファンドに近い取引を手軽に実現できます。FOLIOの場合、必要な手数料は株式取引手数料だけなので、保有期間中の信託報酬もかかりません。
テーマ投資のサービスの違いを整理すると、このようになります。
- FOLIO(フォリオ)
- テーマ単位で個別銘柄を売買。保有期間中のコスト不要。約10万円単位で投資可能。国内株のみ。
- テーマ型ファンド(eMAXIS Neoなど)
- 話題のテーマが投資対象。保有期間中に信託報酬がかかる。100円から自動積立可能。外国株も取り扱う。運用はお任せ。
- DMM株
- 個別銘柄の選定でテーマ検索ができる。銘柄名を知らなくても関連銘柄をすぐ見つけ出すことが可能。
- SBI証券
- 証券会社でも珍しい「米国株のテーマ検索」ができる。投資したいテーマに関連する米国株を簡単に見つけられる。
国内株式のテーマ投資なら、FOLIOを使ってテーマ単位で売買するか、DMM株のテーマ検索で関連銘柄を見つけて投資するのがおすすめです。
テーマ投資で世界の株式に投資をしたい場合は、eMAXIS Neoのようなファーマ型ファンドが良いと思います。(ただし、少しでもコストの低いものを選んでください)
また、米国株の個別銘柄でテーマに関連する企業を発見したい場合は、SBI証券が提供する「米国株テーマ検索」が使えます。
一部の証券会社では、投資信託を保有するだけで毎月継続的にポイントがもらえます。
受け取ったポイントは、実質的な運用コストの低減につながります。
同じ投資信託の商品を買うなら、ポイント還元が受けられる証券会社での購入がお得です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
こちらの記事にコメントが投稿されました
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