さわかみ投信の評判と運用成績からわかる本当の実力!TOPIXを上回るリターン
執筆者:川原裕也
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さわかみ投信は、「さわかみファンド」という投資信託を運用する資産運用会社です。
投資信託での資産運用経験がある方なら、一度は「さわかみファンド」の名前を聞いたことがあると思います。
さわかみファンドは、1999年に設定されました。独立系の資産運用会社の投資信託としては国内屈指の規模を誇っており、記事更新時点(2019年11月)で純資産は3,000億円を超えています。
資産運用会社と言えば、
- 野村アセットマネジメント
- 三井住友DSアセットマネジメント
- 大和アセットマネジメント
のような大手証券会社グループの資産運用会社がほとんどです。
そのような中、「さわかみ投信(さわかみファンドを運営)」、「レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信を運営)」、「コモンズ投信(コモンズ30ファンドを運営)」などの一部の資産運用会社のことを「独立系運用会社」と呼んでいます。(独立系資産運用会社は直販を行っていることが特徴)
さわかみ投信は、国内の独立系資産運用会社の中では老舗であり、これが巨大な純資産を誇る理由でもあります。
目次
国内株式に幅広く投資
さわかみ投信が運用する「さわかみファンド」の特徴をまとめます。
長期投資が基本
さわかみファンドは、「バイ&ホールド」という長期投資戦略を基本としています。
「Buy & Hold(バイ・アンド・ホールド)」戦略とは、原則として一度購入した株式は値上がりしても売らずに長期的に保有し続けるという戦略です。
長期投資で成功したウォーレン・バフェットなども、基本的にバイ・アンド・ホールド戦略を行っています。(バフェットは持ち株を売ることもありますが)
さわかみファンドの投資対象は、「国内外の株式等を中心に、投資対象の割合等には特に制限を設けず、積極的かつ長期スタンスの運用を行います。」とあります。
つまり、海外資産への投資や株式以外の資産への投資をする可能性もあるということです。しかし、これまでのさわかみファンドの運用では、そのほとんどが国内株式に投資されているため、実質的には日本株式に投資する投資信託だと考えて問題はないと思います。
分配金は出さない
毎年8月(年1回)を決算期としていますが、さわかみファンドでは原則として分配金は受け取れません。
これは、資産運用の複利効果を最大化するための措置であり、多くの独立系資産運用会社に共通する方針です。
分配金を出すと、その分税金がかかってしまうため、資産が外部に流出します。(取得した平均基準価格を下回る場合は「元金払戻金(特別分配金)」となり、非課税)
一方で、分配金を出さない場合は運用期間中は税金がかかりません。
分配金を出すことによるリターンの低下については、「60歳以下の投資家に毎月分配型ファンドをおすすめしない理由」で紹介しています。
さわかみファンドは分配金は出さず、その分値上がり益(基準価格の上昇)によって投資家利益を最大化する方針です。
割安銘柄に投資するバリュー戦略
さわかみファンドの投資方針は「バリュー投資(割安な銘柄を探して投資する戦略)」です。
基本は長期的に継続保有し続ける「バイ・アンド・ホールド」ですが、割安で購入した後に株価が上昇し、さわかみ投信が考える適切な企業価値になった段階で利益確定を行うとしています。
この手法はまさに、その昔ウォーレン・バフェットが実践していた手法と同じです。
長期保有のバリュー投資戦略によって具体的にどのような銘柄を保有しているのかというと、
- 日本電産
- ブリジストン
- 花王
- ダイキン工業
- テルモ
などが組入比率の上位銘柄となっています。(2019年11月時点)
いずれも、東証一部上場の大型株ですね。公式サイトではポートフォリオの上位20位までが公開されています。
公開されているポートフォリオからも、さわかみファンドは大型株中心の運用をしていることがわかります。
直販でしか購入できない
さわかみファンドは、証券会社では購入できません。
さわかみ投信に口座開設して購入する、いわゆる「直販」という投資信託の販売スタイルです。
さわかみ投信にお金を預けて大丈夫?と思う方もいるかもしれませんが、預けたお金・資産は大手信託銀行である「野村信託銀行」によって分別管理されるため安心です。
同じく独立系資産運用会社のレオス・キャピタルワークスが運営する「ひふみ投信」は、直販に加えて証券会社での販売も開始しましたが、さわかみファンドは一貫して直販にこだわっているようです。
以前は、唯一「ひろぎんウツミ屋証券」での販売もあったのですが、現在はひろぎんウツミ屋証券での販売は終了しており、直販のみの取り扱いとなっています。
個人型確定拠出年金(iDeCo)でも選択可能
さわかみファンドは、個人型確定拠出年金(iDeCo)でも選択できます。
しかし、さわかみ投信のiDeCoで選択できるのは、
- さわかみファンド(積極的な運用)
- DCダイワ物価連動国債ファンド(安定的な運用)
- スルガ銀行定期預金(元本確保型商品)
の3つだけなので、長期の資産運用を考えた時の金融機関としてはあまりおすすめできません。
どうしても、個人型確定拠出年金でさわかみファンドを選びたいという方は、さわかみ投信でiDeCoの口座を作る他ありません。
しかし、iDeCoに関しては数十年に渡る長期運用ということもありますので、投資信託のラインナップが豊富な金融機関を選ぶ方が良いと私は考えます。
あわせて読みたい:
個人型確定拠出年金(iDeCo)はどこがお得なのか比較してみた
さわかみファンドの手数料
さわかみファンドの手数料は以下の通りです。
- 購入時手数料:0円(ノーロード)
- 信託報酬:年率1.1%(税込)
- 信託財産留保額:なし
独立系の資産運用会社らしい報酬体系です。
独立系の資産運用会社は、アクティブファンド(プロが銘柄を徹底的に分析して投資する運用スタイル)でありながらコストが総じて低いのが特徴です。
さわかみファンドも、その他の独立系資産運用会社のファンドと比較すると見劣りするものの、大手資産運用会社のアクティブファンドと比べると低コストでの運用を実現しています。
ファンド名 | 運用会社 | 買付手数料 | 信託報酬 | 解約手数料 | 純資産 |
---|---|---|---|---|---|
さわかみファンド | さわかみ投信 | 0円 | 1.1% | 0円 | 3,142億円 |
ひふみ投信 | レオス | 0円 | 1.078% | 0円 | 7,534億円 |
結い2101 | 鎌倉投信 | 0円 | 1.1% | 0円 | 406億円 |
コモンズ30ファンド | コモンズ投信 | 0円 | 1.078% | 0円 | 180億円 |
※信託報酬は税込です
※2019年11月15日時点
※ひふみ投信の純資産はひふみプラス、ひふみ年金との合算
さわかみファンドの運用成績と評判
さわかみファンドの運用成績と評判をまとめます。
実はさわかみファンドは口コミでは良い評判を得ていません。。。というのも、さわかみファンドのリターンが良いとは言えない状況だからです。
どれだけ理念がしっかりしているファンドでも、やはりお金を出す投資家としては、しっかりとしたリターンをあげてもらうことがとても重要です。
しかし、さわかみファンドはそれを実現できていないという事実があります。
一方で、資産運用会社には手数料として毎年確実に発生する「信託報酬」が存在し、それが彼らの運用経費・給料になっています。
記事執筆時点の2017年7月時点でのさわかみファンドの純資産が3,000億円、信託報酬が1%(税抜)ですから、私たち投資家がまったく儲からなくても、さわかみ投信は信託報酬によって毎年30億円の手数料収入を確実に得ているわけです。
さわかみファンドに対する批判の声が少なくないのはこうした理由もあると思います。
TOPIXと同等の運用実績が続く
資産運用の世界は、単純に「儲かった・損した」という話だけではありません。
株式投資の場合、ベンチマークとなるTOPIX(東証株価指数)をどれだけ上回ったか?がその投資信託会社の実力に相当します。
TOPIXと同等もしくはそれ以下のリターンしか出せていないということは、たとえ値上がりしていたとしても、その投資信託会社にお金を託す意味がないことを意味します。
では、さわかみファンドはどうかというと。。。
過去10年のリターンをTOPIXと比較すると、20%程度の超過リターンを出せています。(2017年7月時点のデータ)
(青:さわかみファンド 赤:TOPIX)
しかし、(リーマンショックの影響があったとはいえ)10年間の年率リターンは1.57%となっています。
年率1.57%と言うと、債券投資やJ-REITなどのリターンを下回ります。
下記は、さわかみファンド(青)、TOPIX(緑)、ソフトバンク株(赤)の過去10年のリターン比較です。
ソフトバンク株は上記のリターンに加えて配当金も出していますから、過去10年を比較するとソフトバンク1社に投資していた方が圧倒的なリターンを得られたことになります。
続いて、他の独立系資産運用会社と比較してみます。
独立系資産運用会社は、まだ設定後10年が経過していないものが多いので、過去5年のパフォーマンスで比較しました。
- 青:さわかみファンド
- 赤:ひふみ投信
- 緑:結い2101
- 黄:コモンズ30ファンド
- 黒:TOPIX
TOPIXを大きく下回っている鎌倉投信の「結い2101」は残念な結果です。
一方で、個人投資家の人気が非常に高い「ひふみ投信」のリターンは圧倒的となっています。
さわかみファンドとコモンズ30ファンドはTOPIXとほぼ同等の結果になっていますね。
この差は、資産運用会社の実力とも言えますが、純粋に「ひふみ投信は中小型株を主な投資対象としている」ためリターンが取りやすいという背景もあります。
一方で、さわかみファンドの場合ポートフォリオを見てもわかるように大型株が主体なので、TOPIXを大幅に上回る結果を残すのは構造的に難しいのでしょう。
また、個人的にはさわかみ投信の創業者である澤上篤人氏の「創業の想い」に書かれているメッセージも気になりました。
そして重要なのが、顧客資金の質です。皆さまの大切な財産を大きく育てるべく、長期運用の航海にご一緒いただくのが「さわかみファンド」丸です。日々の出来事に一喜一憂したり、目先の成績にこだわる方は、船の進行を妨げるだけでなく、他の乗客にも迷惑となります。
出典:さわかみ投信 創業の想い
言いたいことはわかるのですが、短期で売り買いをする顧客は来ないでくれと取れるような内容が盛り込まれています。
また、長期投資の重要性はわかるものの、投資家が満足のいくリターンが出せていない状態が長期的に続いているため「いつになったら結果を出してくれるんだ?」と思う投資家も少なからず存在するのではないかと思います。
TOPIXを大きく上回るのは難しい構造
独立系資産運用会社としては最も知名度が高く、純資産の多いさわかみファンド。
過去5年間・10年間で比較すると少なくともTOPIXはやや上回って推移しているミドルリスク・ミドルリターンな投資信託です。
運用方針が「長期投資のバイ・アンド・ホールド戦略」であり、大型株中心のポートフォリオとなっているため、TOPIXを大きく上回ることが難しい構造となっています。
おそらくこれからも、TOPIXをやや上回るリターンを出してくれると思うので、安定してTOPIX以上のリターンを取りたい場合には、選ぶ価値のあるファンドだと、個人的には考えます。
一方で、TOPIXを大きく超過するようなリターンは(投資方針や構造的に)期待しづらいです。
投資額を大きく増やしたい方は、高いリターンをあげている「ひふみ投信」であったり、ソフトバンクのような個別銘柄への投資を検討する方が良いと思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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