楽天証券・楽天銀行マネーブリッジのメリット・デメリットと設定方法
執筆者:川原裕也
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※2022年4月1日:更新
マネーブリッジの優遇金利が改定されました。2022年4月1日以降は、預金額のうち300万円を超える部分については、優遇金利が下がります。預金額300万円以下の部分については従来どおり変更ありません。
楽天証券と楽天銀行を連携すると「マネーブリッジ」という優遇サービスが利用できます。
これが非常に強力なサービスで、私も普段から積極的に活用しています。
マネーブリッジを使うことで、楽天銀行の普通預金金利を年0.10%にアップすることが可能です。
現在の低金利の状況では、年0.10%を上回る普通預金金利・定期預金金利を提供している銀行はほとんどありません。
マネーブリッジは、楽天銀行と楽天証券の資金移動をスムーズにします。これにより、楽天証券の待機資金を高利回りで運用できるという利点もあります。
この記事では、マネーブリッジのメリット・デメリットと設定方法をわかりやすく解説します。
なお、マネーブリッジの利用は無料です。
目次
マネーブリッジ3つのメリット
繰り返しますが、マネーブリッジは楽天証券・楽天銀行の連携サービスです。
両者を連携することで、様々な恩恵を受けられます。
普通預金金利の優遇
現在、普通預金金利はほとんどゼロに近い状態で、利息は期待できません。
しかし、マネーブリッジによって証券口座と連携すると、楽天銀行の普通預金金利が優遇されます。
現時点での優遇金利は「年0.10%」です。これはマネーブリッジが始まって以来、長きに渡って継続されている利率です。
定期預金には「満期」があり、途中で解約すると「中途解約利率」というペナルティが課せられます。
しかし、マネーブリッジの優遇金利は「普通預金扱い」なので、満期がなく、いつでも自由に出金することが可能です。
日常生活で利用するお金を楽天銀行に預けておくだけで、自動的に高金利で運用できるのは、マネーブリッジ(普通預金金利の優遇)の大きなメリットです。
マネーブリッジでは、一度設定しておけば、定期預金のような申込み手続きは不要です。
大切なことなのでもう一度言いますが、マネーブリッジは「普通預金扱い」のサービスです。
国内銀行の普通預金には、預金保険制度(ペイオフ)があるため、万が一楽天銀行が破綻しても、最大1,000万円までは国が補償してくれます。
特別な手続き不要で高金利での運用ができ、定期預金のように出金のペナルティもない、そして1,000万円まではペイオフによる元本保証も付いているのが、マネーブリッジの良いところです。
もちろん、楽天銀行は多くの人が利用する「国内トップクラスのネット銀行」ですから、破綻の危険性は極めて低いです。
預金利率が「年0.10%」というと、「大したことがない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、仮に1,000万円を3年間預けた場合、3万円の利息が得られる計算になります。(複利効果が働くため)
手続方法も簡単です。一度設定してしまえば、あとは楽天銀行の口座にお金を入れておくだけでマネーブリッジによる運用が実現できます。(詳しくは後ほど解説)
利息の利払日は年2回
マネーブリッジの利払日は毎年、
- 3月末
- 9月末
の年2回です。
半年複利で運用されますが、利息の計算自体は日割りで行われるため、証券口座の待機資金を一時的に預けるといった、短期間の預金でも損することはありません。
日割り計算した上で、6ヶ月間の預金利息が3月末と9月末にまとめて楽天銀行の口座に支払われる仕組みです。
楽天証券からの当日出金
マネーブリッジに登録することで、楽天証券からの当日出金が可能となります。
証券口座からの出金は、通常3営業日かかります。
しかし、マネーブリッジには「らくらく入出金」という「楽天証券・楽天銀行の資金移動をリアルタイムで行う仕組み」が導入されています。
楽天証券の口座から楽天銀行の口座への振替、またその逆も含め、手数料無料で24時間リアルタイムで資金移動することが可能です。
例えば、楽天証券に預けている資金を「らくらく入出金」で楽天銀行にリアルタイム出金し、楽天銀行の資金をATMからその日のうちに現金出金できます。
また、楽天銀行の資金はすぐに、楽天証券の口座に戻せます。(これは以前からある、リアルタイム入金の機能に似ていますが、らくらく入出金の方がより手軽に入金手続きが行えます)
楽天証券の待機資金を高金利で運用する
「らくらく入出金」を使い、楽天証券の待機資金を楽天銀行に移動させておくことで、マネーブリッジによる優遇金利で運用できます。
※楽天証券の証券口座に預けたままだと、利息は一切付きません(MRFが廃止されたため)
資産は楽天銀行の口座に置いておき、株式を購入するときだけ、必要な金額のみを証券口座に移動させて使うという方法がおすすめです。
資産運用では、株式を「攻撃の資産」とし、債券を「防御の資産」とする考え方が一般的です。
現在の「10年もの日本国債利回り(長期国債利回り)」は0.10%程度ですので、待機資金を楽天銀行に預け優遇金利で運用することで、「安全な債券で運用している状態に近い環境」を作ることができます。
国内では、債券の売り買いを頻繁に行うことは難しいですが、「普通預金金利の優遇」という債券利回り相当の安全な資産に資金を退避できるのが、マネーブリッジのメリットです。
自動入出金(スイープ)を設定することで、楽天証券の待機資金を自動的に楽天銀行に移動することもできます。(逆の設定も可能です)
また、楽天証券に最低◯◯万円を残し、残りを銀行に移動させるという設定も可能です。
証券口座に残す最低金額を指定しておくことで、ムダなく優遇金利で運用ができるようになります。
追証になりにくい
3つめのメリットは、信用取引口座を利用している人向けの話となります。
マネーブリッジは、楽天証券で資産運用を行っていない人でも、口座を作るだけで利用できる制度です。
もし、資産運用に興味がない方であれば、この部分は読み飛ばしてもらって構いません。
マネーブリッジには「投資あんしんサービス」という機能があります。
これは、信用取引において
- 追証の発生
- 不足金(預り金不足)の発生
が起こった際、自動的に楽天銀行の預金を楽天証券口座に充当し、追証や不足金を解消してくれるサービスです。
追証や不足金が発生すると、期日までに自分自身で証券口座への入金を行う必要があります。
しかし、入金期日はとても短いため、旅行中や出張中に追証が発生すると、対応が難しいことも考えられます。
「投資あんしんサービス」を設定しておくことで、こうした不測の自体にも自動的に対応することができ、言い換えると「追証になりにくい(手動での入金手続きの回数が減る)」状態を作れます。
隠れたデメリットもあります
楽天証券・楽天銀行のマネーブリッジに、これといった大きなデメリットはありません。
投資に興味がない方は、口座を作るだけでマネーブリッジを利用できるので、ローリスク・ローリターンな運用を目指す方にもおすすめです。
しかし、マネーブリッジの隠れたデメリットもわずかながら存在すると私は考えています。
私は以前、楽天はなぜこのような素晴らしいサービスを提供するのだろうか?
楽天証券や楽天銀行にとってメリットはあるのか?と疑問に思いました。
考えた結果、私たちにとってのデメリットというよりも、楽天側にとってのメリットが見えてきました。
楽天証券・楽天銀行にとってマネーブリッジを提供するメリットは大きく3つあります。
- 相乗効果による口座数の向上
- 顧客の囲い込み
- 追証・不足金の回収率の向上
相乗効果による口座数の向上
マネーブリッジを利用するには、楽天銀行・楽天証券の両方の口座開設が必要です。
正直言うと、株式投資や資産運用に興味がなくても、マネーブリッジを利用するために楽天証券の口座を作っている人も多いと思います。
しかし、楽天証券・楽天銀行の口座開設はどちらも「完全無料」ですので、口座開設手続きの手間を除けば、私たちにとってデメリットではありません。
一方、楽天証券や楽天銀行からすると、1人の顧客が2つの口座を作ってくれることで、効率よく口座数を増やせるという利点があります。
また、今は資産運用に興味がなくても、将来的に運用を始めたいと思う方もいるかもしれません。
そのような時に、すでに楽天証券の口座開設済みで、すぐに始められる状態にあれば、楽天証券を使ってもらえる可能性は高くなるはずです。
楽天証券や楽天銀行にとって、より多くの顧客に口座を持ってもらうことは、私たちが考える以上に大きなメリットになっているのです。
顧客の囲い込み
前述しましたが、「らくらく入出金」を使うことで、楽天証券の待機資金を楽天銀行に移動させ、優遇金利で運用することができます。
また、楽天銀行に対しては証券口座からの当日出金ができるようになります。
こうしたメリットを享受するために、これまで楽天証券の出金先を他社の銀行に設定していた人も、楽天銀行に切り替える利点が生まれます。
他社銀行から楽天証券へ入金した場合も、楽天証券から他社銀行へ出金する場合も、手数料は楽天証券が負担してくれます。
これは私たち顧客にとってありがたいことですが、楽天証券からすると「振込手数料の負担が重い」という事実があります。
しかし、顧客がグループ会社の楽天銀行から入金・出金してくれるようになると、これまで楽天証券が負担していた入出金時の振込手数料を大きく削減できるようになります。
利便性を提供することで、コストダウンを図り、グループ会社の金融機関をより多く利用してもらえるようにするという狙いが、楽天にはあるのです。
追証・不足金の回収率の向上
マネーブリッジを提供する楽天証券側のメリットとして、追証や不足金の回収率を高めるという効果もあります。(これは信用取引をしない人には無関係の話です)
信用取引は、場合によって巨額の損失が生じる可能性があります。
そして、中には信用取引で巨額の追証や不足金が発生した場合、期日までにその金額を入金できない顧客も多いのです。
かつて、東証マザーズ市場に「OHT(オー・エイチ・ティー)」という電気検査装置メーカーが上場していました。(現在は上場廃止)
当時、目立った動きのなかったOHT株でしたが、株価操縦によって株価が徐々に上昇、2007年には1株120万円をつけるまでに高騰しました。
しかし、ある日突然、株価が急落し、120万円だった株価は連続ストップ安によって逃げ場のないまま、20万円まで暴落。
これによって、OHT株を取引していた投資家は巨額の損失を出しました。
また、(後に逮捕された)株価操縦を仕掛けた人物が消息不明となったため、証券会社は信用取引によって顧客が出した巨額の損失を回収できない事態になったのです。
一部報道によると、この事件で、証券会社全体で130億円の未回収が発生、楽天証券も10億円程度の損失を出したと言われています。
しかし、証券口座と銀行口座をマネーブリッジによって結びつけておくことで、もし顧客が信用取引で失敗し、証券口座で不足金が生じても、楽天銀行の口座に資金があれば、そこからすぐに回収することができます。
顧客の信用取引で生じうる不測の自体に備えるため、金利を優遇して追証の回収率を高める施策を実施することは、楽天証券にとってのメリットになります。
こうした内容を踏まえて考えて見ると、マネーブリッジにデメリットはほとんどありません。
楽天銀行・楽天証券にとっても、私たち利用者にとってもメリットのあるサービスだと思います。
マネーブリッジの設定・解除方法
マネーブリッジの設定方法は簡単です。ただし、楽天銀行・楽天証券の両方の口座を開設することが条件です。(どちらも完全無料です)
- 楽天証券に口座開設
- 楽天銀行に口座開設
- 楽天銀行または楽天証券でマネーブリッジを設定
※①と②の順番は逆でも構いません
楽天証券・楽天銀行の両方の口座開設が完了したら、下記の手順に従ってマネーブリッジの設定をします。
設定は、楽天証券・楽天銀行どちらで行っても構いません。片方で設定すると自動的に連携が完了します。
また、一度設定したマネーブリッジを解除する場合も、同じページから手続きを行います。
楽天証券から設定(スマホ)
楽天証券にログインし、画面右上のメニュー一覧から「マネーブリッジ」を選択します。
マネーブリッジや自動入出金(スイープ)の設定はこの画面で行います。
楽天証券から設定(PC)
楽天証券でパソコンからマネーブリッジの設定するやり方は、最も簡単です。
楽天証券にログイン後、画面上部の「マネーブリッジ」ボタンをクリックし、設定画面に移動します。
楽天銀行から設定(スマホ)
楽天銀行のスマホアプリからマネーブリッジを設定する場合は、少しわかりにくいです。
楽天銀行のアプリにログインし、「サービス一覧」をタップします。
移動した画面でもう一度「サービス一覧」を選択。
「ためる・ふやす」欄の「マネーブリッジ」という項目をタップ。
最終的に、楽天銀行のモバイルサイトに移動し、マネーブリッジのページで設定・解除を行います。
楽天銀行から設定(PC)
楽天銀行にログイン後、「貯める・増やす」欄にある「投信証券」をクリック。移動先の「マネーブリッジ設定」をクリック。
マネーブリッジのページで設定・解除できます。
マネーブリッジは一度設定するだけで、次回以降は特別な手続きは不要です。
設定が完了したら、楽天銀行の普通預金金利の優遇が適用されます。優遇金利が適用されているかどうかを確認することも可能です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
こちらの記事にコメントが投稿されました
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