手数料高めのマネックス証券を選ぶメリットについてまとめてみる
執筆者:川原裕也
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マネックス証券はセミナーや投資情報が充実しているのがメリットで、長期投資をメインとした投資家からの支持が厚いネット証券です。
商品ラインナップも充実しており、投資信託や米国株の銘柄数も業界トップクラスの品揃えです。
一方で、一日定額の取引手数料が高めであることから、デイトレーダーのようなアクティブな投資家にとっては評判がいいとは言えません。
トレーディング向けの証券会社というよりは、じっくりと企業分析をしながら長期投資をしていく方向けの証券会社だと思います。
目次
マネックス証券の特徴まとめ
マネックス証券のメリットやサービス内容についてまとめます。
無料のオンラインセミナーや独占販売の投資信託は人気が高く、投資情報を得るために口座を持っておいても損はありません。
また、IPOの取り扱い数も意外と多いのがマネックス証券の特徴です。
ロボアドバイザーのON COMPASS
最近は、資産運用をすべてロボットにお任せする「ロボアドバイザー」が人気です。
資産運用の経験や知識を持たない方でも、ロボットの質問に答え、資産運用の目標を設定するだけで、ロボットが最適な資産運用の方針を提案してくれます。
最適な資産運用の方法は、金融工学に基いて算出できるため、人間の提案でもロボットの提案でも、結果は同じです。
結果が同じなら複雑な金融工学によるポートフォリオの提案は、プログラムによって自動化してしまった方が、より低コストなサービスを提供できるのではないか。これが、ロボアドバイザーのコンセプトです。
マネックス証券は、セゾンカードで有名な「クレディセゾン」と、低コストETFの運営で世界的にも名高い「バンガード投信」とタッグを組み、「ON COMPASS」というロボアドバイザーを提供しています。(MSV = マネックス・セゾン・バンガードの略称)
マネックス証券で取り扱うON COMPASSは通称「マネラップ」と呼ばれ、10万円から低コストのロボアドバイザーによる資産運用がスタートできます。
私もON COMPASSでの資産運用を実践しているのですが、低コストなバンガードETFを中心としたポートフォリオになっていて、本気度の高いサービスだと感じています。
株式売買手数料は判断が難しい
マネックス証券の株式売買手数料は、高いとも安いとも言い難いです。
というのも、1注文の約定金額が10万円以下など、比較的小さめの取引においては競争力があるのですが、約定代金が増えると他社と比較にならないくらい手数料が高くなる特徴があるからです。
手数料コースは2種類あり、取引毎手数料コースでは約定代金5万円超10万円以下なら99円(税込)の手数料となります。これは、ネット証券同士で比較してもトップクラスの安さです。
しかし、約定代金が50万円を超えてくると、成行と指値によって手数料率が変化するなど、計算がややこしくなってきます。また、他の証券会社と比較しても安いとは言えなくなってきます。
さらに、デイトレーダー向けの一日定額手数料コースは高いです。一日に何度も取引をするデイトレーダーでマネックス証券をメインに利用している人は珍しいと思います。
これらの手数料体系は信用取引においても同じです。
なお、マネックス証券は信用取引口座の新規開設から1ヶ月間は取引手数料が実質無料(手数料相当額を最大10万円までキャッシュバック)となるのでおすすめです。
ミニ株に相当するワン株(単元未満株)は、約定代金の0.5%(最低手数料48円)で取引できます。任天堂のような株価が高い銘柄でも、1株単位で買うことができるので、初めて株式投資をする方にもワン株はおすすめです。
マネックス証券はネット証券の中でもIPO(新規公開株式)の取扱が多めです。私の知る限り、SBI証券に次いでIPOの数は多く、私自身マネックス証券で何度かIPO銘柄をゲットしたことがあります。
IPO銘柄は上場と同時に2倍以上の値上がりとなることも珍しくないので、良い銘柄があれば積極的に抽選に応募したいところです。
連続売買やツイン指値などの多彩な注文方法
サラリーマンの方など、マーケットがオープンしている日中の時間帯に株式取引ができない方は多いです。
そうした方の悩みを解消してくれるのが、マネックス証券の多彩な注文方法です。マネックス証券には、連続売買やツイン指値といった数多くの注文方法が用意されており、相場を監視していなくても条件に合わせて半自動で売買をすることができます。
連続注文
あらかじめ設定した注文が約定したら、自動的に次の注文を出す方法です。例えば保有株A社の株式が売れたら、自動的にB社の買い注文を出す。と言った使い方ができます。
リバース注文
買い注文が約定したら自動的に売り注文を設定できる注文方法です。株式市場を監視していなくても、買い注文と利益確定の売り指値が自動的に行えます。
ツイン指値
保有株に対して、利益確定したい株価と損切りの株価を同時に設定する注文方法です。100円で購入した株が、110円になったら利益確定、一方で90円になったら損切りと、2つの注文を同時に出すことができます。
逆指値
株価が設定した水準に達したら注文を発動します。株価が一定の高さになったら成行買いをする。保有株が一定の株価を下回ったら成行売りをするなど。
期間指定
最大30日間同じ注文を継続できます。仮に注文当日に約定しなくても、注文を再設定する必要がないので便利です。
3,000銘柄の米国株を取り扱う
あまり知られていませんが、マネックス証券は海外株式で競争力があります。
取り扱っているのは米国株と中国株の2種類のみとなりますが、中でも米国株の取扱銘柄数は随一となっており、約3,000銘柄の購入が可能です。
米国株の手数料は最低0ドル、最高でも20ドルとなっており、格安の手数料でマイクロソフトやアメリカンエキスプレスといった、名だたる企業の株式に投資できます。
また、マネックス証券が外国株に強い理由として、米国株のトレーディングツールがあることがあげられます。
マネックスグループの子会社となる米TradeStation社が提供する取引ツール「トレードステーション」は世界的にも高い評価を得ており、株価の値動きをリアルタイムで監視しながら米国株の取引ができます。
マネックス証券では、米国株・中国株ともに特定口座での取引ができるので、米国株の取引で利益が出ても、原則として確定申告は不要です。
多彩な取引ツールが無料で利用可能
マネックス証券は取引ツールの数が非常に多いことでも評判です。
新しく開発された新マネックストレーダーは、株式取引・先物オプション取引に特化したツールです。
FX取引のように買付・売却がスピーディーにできる「2WAY」注文ができるほか、株価やチャートが一定条件に達したらアラートで知らせてくれる機能もあります。
新しいマネックストレーダーはデイトレーダーにも人気で、「ツールはマネックス証券で」という流れも生まれつつあるようです。
また、現在のポートフォリオから最適な資産設計をアドバイスする「MONEX VISION β」を提供するなど、トレーディングツール意外のソフトウェアも提供しています。
マネックス証券が資産運用・資産設計を目的とした投資家から多くの支持を集めている理由は、こうした部分にも表れています。
前述しましたが、米国株向けの専用取引ツール「トレードステーション」を提供している点も評価できます。
iPhone、iPad向けのモバイルアプリも充実しており、外出先でもリアルタイムの株価をチェックしながらスピーディーに取引ができます。モバイルアプリの登録銘柄情報は、新マネックストレーダーと共有できるので、どこにいても保有株や気になる銘柄の監視ができるようになっています。
取引に応じてマネックスポイントが貯まる
マネックス証券は「マネックスポイント」というポイントプログラムを導入しています。
ポイントは主に投資信託の購入・保有で貯めることが可能です。
▶投資信託購入時
購入時手数料の1.5%をマネックスポイントで還元。(マネックスセゾンカード保有者は4.5%に還元率がアップ)
▶投資信託の保有時
その月の投資信託の平均保有残高に対して「1/12 × 0.08%」を付与。
投資信託を保有しているだけで毎月もらえます。実質的には投資信託の保有残高に対して年率0.08%分のポイントが獲得できる計算です。
貯めたポイントは、50ポイント = 50円相当の株式取引手数料として使えます。
また、WAONポイントやVポイント、nanacoポイントやJAL・ANAのマイルといった他社のポイントサービスと交換することも可能です。
ただし、マネックスポイントには有効期限があります。ポイントを獲得した日の翌々年度末(3月31日)が有効期限となるため注意が必要です。
つまり、最短でも1年、最長で2年でポイントが失効します。
1,000円からの金投資「マネックスゴールド」
インフレ対策の資産として「金」への投資が注目されています。
金は希少性が高く、リスク回避やインフレに強い資産として知られ、将来のリスクに備えて積立投資をする投資家も多いです。
マネックス証券では、「マネックス・ゴールド」と題して1,000円(または1g)からの金投資ができます。
1回だけの「スポット取引」と毎月自動継続で買付を行う「積立プラン」が用意されており、手数料はどちらも約定代金の2.5%です。(売却時は手数料無料)
約定代金の2.5%と聞くと手数料が高いイメージはありますが、三菱マテリアルや田中貴金属などと比較すると、マネックスゴールドの手数料は安めです。
また、金は100g単位で現物資産として引き出すことも可能です。マネックスゴールドで積み立てた金が100gを超えたら、自宅への配送で実物を眺めることもできます。
幅広いラインナップの投資信託
投資信託もノーロードファンドを中心に幅広く取り扱います。マネックス証券は投資信託の管理が行いやすいので、私も利用しています。
投資信託の中には、買付手数料無料のノーロードファンドと、買付手数料が必要なものがあります。
しかし、マネックス証券の場合、買付手数料の1.5%(マネックスセゾンカード保有者は4.5%)が、マネックスポイントとして還元されるので、通常の手数料よりも安く投資信託を購入することができます。
マネックスポイントは1ポイント=5円相当の価値なので、投信の手数料は実質7.5%OFF(マネックスセゾンカード会員なら22.5%OFF)となります。
1,000通貨から取引できるFX PLUS
マネックス証券の「FX PLUS」は、1,000通貨から取引可能なFXサービスです。
証券口座からFX PLUS口座への資金移動は24時間いつでも可能で、FX取引はFX口座で行います。マネックス証券のFX PLUSでは13通貨ペアの取引ができます。
貸株サービスで金利収入が得られる
長期保有していて売却する予定がない銘柄は、貸株サービスを利用することで金利収入が得られます。
貸株サービスによって私たちの保有株は、マネックス証券を通じて、空売りをしている投資家に貸し出されます。
空売りは少なからず短期的な株価下落圧力にはなりますが、短期的な圧力は長期保有の投資家にとっては無視できるので、基本的に貸株サービスはメリットの方が大きいです。
一部の銘柄には「ボーナス金利」が設定されており、銀行の定期預金を大きく上回る利息を得ることができます。
貸株の注意点として、配当金や株主優待の権利を失うというデメリットがありますが、これについては「株主優待・配当金自動取得」を設定しておくことで防げます。
株主としての権利が発生するタイミングで自動的に貸株を中止し、権利日を通過してから再び貸株を再開してくれるので、金利収入を得ながら、配当金と株主優待はしっかり得られるというお得なサービスです。
ただし、マネックス証券の貸株サービスは信用取引口座を開設している方は利用できません。
マネックスポイントで実質コストを削減
マネックス証券の隠れたメリットに「マネックスポイント」の存在があります。
投資信託の購入は申込手数料の1.5%(マネックスセゾンカード保有者は4.5%)のポイント還元、投資信託保有時は平均残高の0.08% × 1/12がポイントとして付与されます。
また、株式取引の「一日定額コース」では日計り取引(デイトレード)に関しては手数料の片道分がポイント還元され、実質半額となります。
「取引毎手数料コース」では月間手数料が30万円を超えると、月間の株式売買手数料の半額をポイント還元してくれます。(株式取引で付与されたポイントの使いみちは手数料への充当に限定されます)
貯めたマネックスポイントは1ポイント=5円相当として、株式手数料に充当したり、電子マネーWAONやSuicaポイント、航空会社のマイルと交換することが可能です。
ポイント還元分を考慮すると、マネックス証券の手数料もそこまで高くはないかなという印象です。
マネックス証券の口コミ
マネックス証券を実際に使っている個人投資家の口コミをまとめました。
パソコンから見るんやったら断然マネックスのツールやけれども( ˘ω˘ )
マネックス証券手数料高いんやなぁ。今日一日で2500円超えてしまったし、メンドイけど他社への乗り換えも考えるかぁ。
— 珍 遊記 (@man_f_gatarou) 2016年8月1日
貸株サービスは、残念ながら取り扱っている証券会社は少ない状態で、マネックス証券がネット証券界で一番手になっています。貸株サービスは『投資家にとってすごくうれしいシステム』だと思っていますので、もちろん利用しています♪
— imilchil (@imilcil) 2016年7月31日
マネックス、手数料のつき方がよく分からん…なんで一回の約定にこんなにかかったんだろ…(~_~;)
— fujifuku (@fujifuku) 2016年7月28日
簡単に調べてみて、全然分からないけどなんとなくマネックス証券でネット口座を開設する事にしました。昨日申し込んだんだけどいつから出来るんだろう?
気まぐれでSBI証券開けたら米国株手数料が改定されてマネックスと同水準になってる!マネックスのメリットが薄くなったな。
マネックスの証券口座から銀行口座への出金って指示だけなら土日でもできたんだな。(超今更)
— 宮口コー (@KoMiyaguchi) 2016年7月29日
管理人のマネックス証券に対する意見
マネックス証券でIPOに当選した経験もあり、個人的にはIPO狙いの証券会社として使うのもありかなと思います。
その他、金の積立ができる「マネックスゴールド」や、口座開設者限定の無料オンラインセミナーの豊富さなど、使い所を絞って活用すると、メリットがたくさんあるネット証券です。
最近、SBI証券が米国株式の手数料引き下げに踏み切ったため、以前より優位性は薄れましたが、マネックス証券は米国株に強い証券会社としても評判です。
専用取引ツールの「トレードステーション」と格安手数料、そして取引可能な銘柄数が多いので、ちょっとマイナーな米国株も売買できたりします。
最後まで読んでいただきありがとうございました
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