老後のお金の不安を払拭する、iDeCo(イデコ)の節税額がどれくらいか試算してみた
執筆者:川原裕也
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個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」でどれくらい節税できる?
当サイトでも何度か取り上げているiDeCo(個人型確定拠出年金)は、これから資産運用をはじめる方に、私が最もおすすめする制度です。
最近は、つみたてNISAやロボアドバイザーなど、様々なサービス・制度が登場しています。しかし私は、まず最初にやるべきはiDeCoであると考えています。
iDeCoで資産運用をスタートし、それでも投資できるお金が余ったら、つみたてNISAなどの他のサービスに振り分ければよいのです。
iDeCoの重要性を3分で理解する
なぜ、私をはじめ多くの投資家、そして経済評論家がiDeCoをイチオシするのか。その背景と理由をわかりやすくまとめます。
1.政府は、老後のお金は自分でなんとかしてくださいという方針を打ち出しつつある
私たちの国は、手厚い社会保障制度が特徴です。私たちは毎月の給料から国民年金保険料・厚生年金保険料を負担しています。
しかし社会保障制度は、今の若い世代が、今の老後世代の生活資金(年金)を負担するという仕組みで成り立っています。私たちが定年退職する頃には、そのときの若い世代が私たちの生活を支えてくれるということです。
しかし困ったことに、日本は少子高齢化(老人が多く、若い世代が少ない)が進んでいます。将来、私たちが老人になったときには、若い世代の人数が少ないため、十分な年金をもらえない(そのときの若い世代が私たちの老後生活を支えられない)可能性が高いのです。
よって、政府は「将来の年金は自分でなんとかしてください」と言わんばかりに、iDeCoという制度を私たちにとって利用しやすくリニューアルしました。
これまでは「国民年金+厚生年金」の2つで年金生活ができました。一生懸命働いて、定年退職した後は、年金だけで安心して暮らせる。という社会だったのです。
しかしそうした時代は少子高齢化とともに終わりを告げ、これからは「国民年金+厚生年金+じぶん年金(iDeCo)」の3本柱で将来の年金について考える必要があります。
2.老後の生活に2,000万円が不足すると金融庁が提言
金融庁が公式に発表した報告書の内容は、私たちに大きな衝撃を与えました。
この報告書は、年金(国民年金・厚生年金)だけでは老後の生活は困難であり、老後の生活には2,000万円が不足すると言うもの。(老後2,000万円問題)
「老後2,000万円問題」という言葉が独り歩きし「老後には2,000万円が必要」と勘違いしている人も多いのですが、そうではなく「今の年金制度だけでは、老後の生活に2,000万円が不足する」ということです。
つまり、不足分の2,000万円は自力で、自分が老人になるまでに築き上げなければならないということです。
老後に2,000万円が不足する。というのはあくまでも試算です。しかし、その出典元が金融庁であるということには大きな説得力があります。
3.じぶん年金であるiDeCoは政府から優遇されている
老後のために、自力で2,000万円の資産を築くには、自分自身で貯金をしたり、資産運用をする他ありません。
しかし、私たちが少しでも自力で資産を形成しやすくするために、政府は後押しをしてくれています。(なぜなら、老後のお金は年金だけでなく、自分でなんとかしてくださいというのが、政府のスタンスとなりつつあるため)
「政府の後押し」の1つがiDeCoです。
iDeCoは国民年金・厚生年金に次ぐ「第3の年金」です。自分自身で掛金を積み立て、自分自身で運用先を選定し、自分自身で将来の年金を築きます。
原則として20歳以上であれば誰でも加入できます。
iDeCoでは、運用した資産の売却益が非課税であったり、毎月の掛金が全額所得控除になる(税金の節税)といった優遇制度(政府の後押し)があります。
将来の年金を築くための制度ですので、運用期間は長い方で40年以上になりますが、その間に得られる節税メリットは100万円を大きく上回るケースも多いです。
政府に頼ることなく、将来の年金は自分でつくる。
そのために、優遇された制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用しない手はない。
iDeCoで運用するとトータルで100万円以上の節税になることも多い。
国民年金+厚生年金に加えて、iDeCo(じぶん年金)で2,000万円を築くことができれば、経済的に困窮することなく、安心して老後の生活を営むことができる。
iDeCoの節税額を試算してみた
では、iDeCoで実際にどれくらい節税できるのか。
今回は、楽天証券のiDeCoのシミュレーションを使って試算しました。
- 現在の年齢:30歳
- 年収:300万円
- 職業:サラリーマン(第2号被保険者・企業年金なし)
- 毎月の積立額:23,000円
- 運用利率:3%
※60歳まで運用すると仮定。つまり30歳なら運用年数は30年間となります。
※年収155万円以上なら、所得税・住民税の節税額は同じです。
上記の条件で試算すると、節税額は
- 所得税・住民税の節税額:124万円
- 運用益の節税額:102万円
- トータルの節税額:226万円
という結果になりました。30年間の運用でトータル200万円以上も節税できる見込みです。
内訳を簡単に説明しておきます。
月々の掛金は全額所得控除となるため、所得税・住民税の節税が期待できます。
所得税・住民税の節税は確実に得られるメリットです。これだけで1年間で41,400円の節税となり、30年間の運用で124万円の節税効果が得られます。
一方、iDeCoでは運用益が非課税となるため、運用益の節税額も期待できます。
ただしこちらは、運用結果によって左右されるものです。資産運用がうまくいき、大きな利益を得るほど節税効果も大きくなります。
しかし逆に、運用に失敗して損失となってしまった場合には、節税効果は得られません。(利益が出ていないため)
今回のシミュレーションでは、年率3%というやや保守的なリターンで計算しました。
年率3%の運用でも、30年間、毎月23,000円を積み立てると、元金だけで828万円となります。これに年率3%の運用益である512万円が追加され、30年後には運用資産は1,340万円になっている計算です。
本来であれば512万円の投資利益に税金がかかるのですが、iDeCoの場合、運用益は非課税なので、税金は一切かかりません。
「老後の2,000万円不足」にはまだ足りませんが、iDeCoだけで1,340万円を築けるというのは大きいです。
ちなみに、年率リターンが5%で運用できれば、30年後の資産は1,914万円となり、ほぼ2,000万円が貯まります。(元金828万円、利益1,086万円)
あくまでも私の主観ですが、株式で運用する投資信託を中心に選んで長期運用すれば、年率5%のリターンは現実的に達成可能な水準だと思います。
なお、iDeCoの節税額は年齢が若ければより大きくなります。(今回は30歳から始める前提で計算しました)
つまり、1日でも早く始めたほうが節税効果は大きくなるということです。(それだけ長く運用できるため)
そしてもう一つ。
資産運用をしたことがない人にとっては、投資で損失を被ってしまうのが怖いという意識もあるかもしれません。
しかし上記で計算したように、所得税・住民税の節税効果だけで、30年間で124万円程度の節税メリットがあります。(上記の前提条件で運用した場合)
所得税・住民税の節税は、運用結果に関係なく確実に得られるiDeCoのメリットです。
仮に運用に失敗して100万円を損してしまったとしても、積立金額の全額所得控除(確実に得られる節税メリット)が大きいため、トータルで見るとまだプラスです。
また、個人的には推奨しませんがiDeCoには「元本確保型商品(定期預金など)」も用意されていますので、元本確保型商品で運用すれば、所得税・住民税の節税メリットだけを確実に受けることができます。
資産運用での損失が不安だという方は、元本確保型商品を選ぶというのも1つの方法です。
ちなみに、年齢ごとに所得税・住民税の節税額を計算してみました。はやく始めた方が運用期間が長くとれるため、節税額も大きくなります。
▼年齢別・所得税・住民税の節税額
- 20歳:165万円
- 25歳:144万円
- 30歳:124万円
- 35歳:103万円
- 40歳:82万円
- 45歳:62万円
- 50歳:41万円
※所得税・住民税の節税額(確実に得られる節税メリット)のみ。運用益の節税額は含んでいません
※掛金は毎月23,000円、年収は155万円以上、職業はサラリーマン(第2号被保険者・企業年金なし)で計算
※楽天証券のiDeCo 節税シミュレーションの結果に基づきます
まずはiDeCoにすべてのお金を入れる
最近話題の運用方法には、
- つみたてNISA
- ロボアドバイザー
といったものもあります。
しかし私は、運用可能なお金はまず、すべてiDeCoに入れるべきだと考えます。
iDeCoの毎月の積立可能額は5,000円~23,000円(自営業の場合は最大68,000円)です。自分で決めることができますが、可能な限り積立可能額は全額使いたいところ。
なぜなら、iDeCoはつみたてNISAやロボアドバイザーと比べて、圧倒的に節税効果が大きいからです。
iDeCoの積立可能額をすべて使い切った後に、まだ毎月投資できるお金に余裕があるなら、続いて、投資利益が20年間非課税となる「つみたてNISA」をおすすめします。
iDeCoとつみたてNISAだけで月々5万円程度の積立投資ができるので、一般的なサラリーマンであればこれだけでも十分だと思います。
ロボアドバイザーは特に節税効果があるわけではないので、お金を入れる優先順位は低いです。
一方、iDeCoは原則として60歳になるまで解約できません。(一度積み立てたお金を引き出せない)
なぜなら、iDeCoは老後に備えた「年金づくり」のための制度だからです。
途中で引き出す前提で運用を考えたい場合は、一部の投資資金をつみたてNISAなどに振り分けても良いと思います。
iDeCoとロボアドバイザーの組み合わせ
マネックス証券のiDeCoでは、無料のロボアドバイザーを用いて、iDeCoの商品の中から最適な構成を提案してくれます。
もちろん、自分自身で選んでもよいのですが、ロボットに最適な資産構成を決めてほしいという方には、マネックス証券のiDeCoがおすすめです。
マネックス証券や楽天証券のiDeCoはいずれも、選んで間違いのない、良い投資信託が揃っていますので、商品選びで失敗する心配もありません。
いろいろ資料請求してみて、自分にあった金融機関でiDeCoの申し込みをすることをおすすめします。
など、手数料の高さや取り扱い商品の内容から、大手銀行にiDeCoを申し込むのは、避けたほうが無難です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました
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