【イークラウドで節税】株式型クラウドファンディングでエンジェル税制を受ける
執筆者:川原裕也
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株式投資型クラウドファンディングの仕組みが登場したことで、個人投資家が未上場ベンチャー企業に投資できる機会が生まれました。
「イークラウド」は株式投資型クラウドファンディングサービスを手掛ける会社です。
運営会社のイークラウド株式会社もまた、ベンチャー企業です。
しかし、証券業界大手の「大和証券グループ」と連携しており、信頼性においては問題ありません。
設立時点での出資比率は、 XTech(クロステック)が58%、大和証券グループの子会社であるFintertechが42%となっています。
XTech(クロステック)は、著名ベンチャーキャピタリストの西條晋一氏が率いる会社です。実質的には、XTechがイークラウドの母体ということになります。
また、イークラウドをはじめとする株式投資型クラウドファンディングは「エンジェル税制」の対象です。
エンジェル税制によって、一定の節税効果が期待できますので、その内容についても掘り下げます。
個人投資家が未上場ベンチャーに投資し、巨額のリターンも狙える株式投資型クラウドファンディングについて、詳しく解説します。
目次
IPO前の企業に投資して大きなリターンを狙う
イークラウドで募集される投資案件は「未上場のベンチャー企業」ばかりです。
株式投資型クラウドファンディングでは、
- 企業側は年間1億円未満の資金調達
- 個人投資家は1社あたり年間50万円以下の投資
に限定されています。このルールは、イークラウドに限らず、すべての株式投資型クラウドファンディングで共通です。
投資家から出資を受けたベンチャー企業は、得た資金を元にして事業拡大に努めます。
最終的に、IPO(東証への新規上場)したり、大手企業からの買収が行われることで、私たち投資家は出資した資金を回収し、リターンを得る仕組みです。
もちろん、未上場ベンチャーには途中で事業がうまく行かずに倒産してしまったり、期待していたような業績向上が見込めないリスクもあります。(むしろ、うまく行かないことの方が多いです)
しかし、無事にIPOや大手企業による買収が実現した際には、投資額の何十倍ものリターンが得られる可能性も秘めています。
未上場ベンチャーへの投資は、通常プロの投資家集団である「VC(ベンチャーキャピタル)」が行いますが、株式投資型クラウドファンディングの仕組みが整ったことで、個人投資家にも投資のチャンスが生まれました。
損失は出資額に限定
繰り返しますが、未上場ベンチャーへの投資は「事業が失敗して出資額がゼロになる可能性」の方が高いと考えてください。(ただし後述するエンジェル税制により損失は節税につなげられます)
それくらいハイリスク・ハイリターンなサービスです。
しかし、私たち投資家の損失は「出資額に限定」されています。
ルール上、個人投資家は1社あたり年間50万円以下の投資に限定されているものの、左記の金額はあくまでも最大金額です。
50万円を1社に投資しなくてはならないわけではなく、5社に10万円ずつ投資するという形をとっても構いません。
そして、もし投資先の会社が倒産しても、出資額が10万円であれば、その損失額は最大10万円で済みます。
このように、投下する資金を調整することで、最大損失額をコントロールできますし、もちろん「1円も出資しない(見送り)」という判断もできます。
エンジェル税制による節税効果も
個人投資家が未上場ベンチャーに投資をすると、「エンジェル税制」という税制優遇が受けられます。
イークラウドを通じて出資したお金についても、条件を満たせばエンジェル税制の対象となります。
税制優遇が受けられるのは、
- 投資した年
- 投資して保有していた株を売却し損失が生じた年
の2つです。
投資した年に受けられるエンジェル税制
「設立5年未満の企業」に投資した場合、「優遇措置A」が受けられます。
優遇措置Aの内容は以下の通りです。
- (対象企業への投資額 - 2,000円)をその年の総所得金額から控除
- 控除対象となる投資額の上限は、総所得金額 ✕ 40%と1,000万円のいずれか低い方
※令和3年から、控除対象限度額が800万円になる予定
わかりやすく言うと、年収数百万円の一般的なサラリーマンが、イークラウドに50万円を投資した場合、48万8,000円を総所得から控除できます。
つまり、48万8,000円が実質的に「経費扱い」となり、節税効果が得られるということです。
ちなみに、優遇措置Aの要件を満たしている場合、「優遇措置A」と後述する「優遇措置B」のどちらか一方を選択することが可能です。
「設立10年未満の企業」に投資した場合、「優遇措置B」の対象となります。
優遇措置Bの内容は以下の通りです。
- その年の投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除
- 控除対象となる投資額の上限なし
わかりやすく説明すると、投資額の全額を上場株式などの利益と相殺できるということです。
例えば、上場株式への投資で50万円の利益が出ていた場合、通常なら20.315%に相当する101,575円が税金として差し引かれます。
しかし、イークラウドで50万円を投資すると、(株式投資型クラウドファンディングで損失が出ていなくても)上場株式で得た投資利益50万円と相殺でき、確定申告上の利益は0円になります。
本来であれば投資利益に対して101,575円の税金が発生しますが、株式投資型クラウドファンディングへの出資額と相殺することで、その年の税金は発生せず、節税効果が得られます。
優遇措置Bの要件を満たす企業に投資した場合は、優遇措置Bのみが選択できます。(優遇措置Aは選べません)
損失が出たときにに受けられるエンジェル税制
エンジェル税制では「投資した年」だけでなく「損失が確定した年」にも節税メリットが受けられます。
こちらは、一般的な上場株式の損失繰越(譲渡損失の繰越控除)と同じ内容です。
イークラウドで投資した案件で損失が確定した場合、その年の他の株式譲渡益(上場株式の利益など)と相殺できます。
もしその年に損益通算(利益の相殺)ができなかかった場合は、翌年以降3年間、損失を繰り越せます。
わかりやすく言うと、イークラウドで50万円の損失が確定した年に、上場株式で50万円の利益が出ていれば、その損益を相殺し、確定申告によって利益ゼロと同じ扱いになるということです。(投資利益に対する税金は発生しない)
また、イークラウドで50万円の損失が確定した年に、上場株式で10万円の利益が出ていた場合、損益通算してもまだ40万円の損失が残ります。
この40万円の損失は翌年以降最大3年間まで繰り越すことができます。
つまり、翌年に上場株式で20万円の利益が出た場合、前年の差し引き40万円の損失と相殺し、この年も実質的に利益ゼロの扱いになります。それでもまだ差し引き20万円の損失が残っています。
さらに翌年に上場株式で15万円の利益が出た場合、前年の差し引き20万円の損失と相殺し、この年も実質的に利益ゼロの扱いになります。
このように、損失は翌年以降の利益とも相殺でき、最大3年間まで繰り越すことが可能です。
ちなみに株式投資型クラウドファンディングでは、投資先が倒産したり解散したりすることで、株式が無価値になった場合も「損失の確定」として扱われます。
配当は得られないが株主優待は期待できる
ベンチャー企業によっては、配当や株主優待を実施する可能性もあります。
しかし、未上場ベンチャーの大半が事業の成長に資金を必要としている段階ですから、配当や株主優待を出せるだけの資金的余裕はありません。
よって、イークラウドを通じて出資をしても、配当や株主優待が得られる可能性は低いです。
一度資金を投下したら、あとはその投資が失敗(倒産またはゾンビ状態になる)するか、EXITによる資金回収(IPOまたは大企業などに買収される)ができるかを待つのみです。
とはいえ、イークラウドの募集案件第1号「地元カンパニー」社においては、出資してくれた方への優待として「もっちりもちもち極太アスパラ」を進呈しています。
株式投資型クラウドファンディングは、個人投資家が利用するサービスであることからも、株主優待においては積極的に実施していく企業が多いのかもしれません。
実績が乏しくリスク・リターンが見合うかどうかは未知数
イークラウドに限らず、株式投資型クラウドファンディング全般に言えることですが、「まだまだ実績が乏しく、リスク・リターンが見合うかどうかは未知数」です。
株式投資型クラウドファンディングは間違いなく、ハイリスク・ハイリターンな投資です。
そのため、規制によって個人投資家の投資可能額が1社あたり年間50万円以下に限定されています。
ハイリスク・ハイリターンだということは、大きく損する可能性もあるが、逆に大きく儲かる可能性もあると考えるのが普通です。
しかし、未上場ベンチャーへの投資はまさに「海千山千」の世界であり、多くのVC(ベンチャーキャピタル)がシノギを削っている競争の激しい世界です。
仮にとてつもなく有望なベンチャー企業があれば、真っ先にVCが投資するでしょうから、株式投資型クラウドファンディングにそうした案件が回ってくることはまずないでしょう。
逆に、VCが投資しないような案件が株式投資型クラウドファンディングで募集され、その案件に投資した結果、驚くような成長を遂げた「当たり」の展開もあると思います。
しかし、倒産寸前の状態で個人投資家が出資し、その資金によって業績がV字回復し、驚くような成長を遂げたとしても、その後「追加出資」という形でVCが巨額の資金を出資してしまえば、私たち個人投資家の持株比率は大きく低下します。
結局、株式投資型クラウドファンディングは「VCや未上場ベンチャーのセーフティーネットを、個人投資家がリスクをとって敷いてあげる」ような結果にならないか?心配です。
まずは、株式投資型クラウドファンディングの成功事例がいくつか登場し、投資に値するだけの商品かどうかを見極めてから参加を決めても遅くはないと個人的には思います。
一方で、個人投資家が未上場ベンチャー(株式投資型クラウドファンディング)に投資する優位性としては、
- エンジェル税制による節税
- 株主優待による金銭以外のメリット
あると思います。
エンジェル税制は個人投資家だけが利用できる制度です。
投資リターンについては未知数であることから、「エンジェル税制」と「株主優待」という確実なメリットを主軸と考え、あとは厳格な目利きによって「リターン」を狙う。と考えるのが良いと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました
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