ウェルスナビ for SBI証券は何が違うの?富裕層の資産運用がより身近に
執筆者:川原裕也 更新:
富裕層の資産運用を、ロボアドバイザーの力で一般の投資家にも提供する「ウェルスナビ」はネット証券業界大手のSBI証券と提携しています。
大手証券会社のファンドラップは、自社系列の運用会社の投資信託でポートフォリオを構成するため、投資家にとって高コストになってしまうことが多いです。
しかし、ウェルスナビが投資対象とするのは海外に上場するETF(上場投資信託)なので、ウェルスナビとは一切関係がなく中立的な立場で運営することができます。
詳細は後述しますが、ウェルスナビは金融工学を使った「最小のリスクと最大のリターン」を実現する「世界の富裕層が使うアルゴリズム」で効率的な資産運用をおこないます。
私自身もウェルスナビを使って投資をしていますが、ポートフォリオを見ると低コストの海外ETF(上場投資信託)で構成されており、非常に優秀だと感じました。
なぜ私がウェルスナビに注目しているかというと、金融大手SBIホールディングスの北尾社長が「金の卵」と絶賛していたからです。
■SBI北尾氏が見つけた「金の卵」
SBIホールディングスは国産ロボアドバイザー技術を持つウェルスナビに出資した。「北米を含めて数々のロボアドバイザーを手掛けるスタートアップを精査してきたが、最も卓越した技術を持つ企業を日本で見つけられた」(北尾社長)。
2016/11/2 日本経済新聞
このように語った北尾社長率いるSBIホールディングスが、ウェルスナビと提携して誕生したのが「ウェルスナビ for SBI証券」です。
目次
SBI証券との提携は異例の事態
ウェルスナビ for SBI証券の誕生によって、SBI証券の会員画面から直接ロボアドバイザー(ウェルスナビ)にログインできるようになりました。
このような方法を「ダイレクトログイン」といいます。SBI証券を使っている人なら知っているかもしれませんが、SBI証券のサイトから直接、住信SBIネット銀行にログインできるのと同じような感覚です。
実はSBI証券がウェルスナビのような他社サービスをダイレクトログインできるようにするというのは異例の事態です。
過去を振り返っても、SBI証券がこうした他社の金融サービスを結び付けるのは珍しく、SBI証券から見て相当思い切った提携だなと感じました。
ウェルスナビが金融のプロに認められる理由
SBI証券が本気で提携したロボアドバイザーのウェルスナビは何がすごいのか。
最近、ロボアドバイザーが増えていますが、その中でもウェルスナビのような完全自動売買型のロボアドバイザーはほんの一部に限定されます。
前述しましたが、ウェルスナビは投資対象を海外ETFに限定しており、中立的な立場で運営することができます。
低コストの海外ETFで世界分散投資
海外には、信託報酬が低い良質なETFがたくさん上場しています。
しかし、海外ETFは外国株と同じ扱いなので、証券口座から米ドルへの両替をしたり自分で米国市場を見ながら買付を行わなくてはなりません。
また、国内に比べて情報も不足しがちなので、海外ETFがどれだけ良質と言っても初心者にとっては敷居が高いと思います。
ウェルスナビでは、まず最初に簡単な質問にいくつか答えるだけで、ロボットが最適な資産運用の方針を提案してくれます。
そして、その運用方針に従って自動的に海外ETFの買付をし、バランスの取れたポートフォリオを構築してくれます。すべてロボットが自動的におこなってくれるので、私たちはただウェルスナビにお任せしておくだけで構いません。
海外ETFに分散投資をすることで、世界経済の成長や、世界企業が生み出す利益を投資リターンに反映することができます。
世界の富裕層が使うアルゴリズム
ウェルスナビのポートフォリオは、1990年にノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏の「現代ポートフォリオ理論」に基いて構築します。
◆現代ポートフォリオ理論とは?
通常、投資では「リスク」と「リターン」は表裏一体の関係になっており、大きなリターンを得るためには相応のリスクを負う必要があります。
しかし、現代ポートフォリオ理論では「分散効果」と「相乗効果」を組み合わせることで「リターンはそのままに、リスクだけを下げる」ポイントを見つけ出すことができます。
「最小のリスクと最大のリターン」を実現するポイントは「効率的フロンティア」と呼ばれており、現代ポートフォリオ理論を使うことで、最もムダのないポートフォリオ(資産構成)を構築できます。
現代ポートフォリオ理論は、投資の「期待値」を最大化できる金融工学によって生まれた理論で、「世界の富裕層が利用する金融アルゴリズム」とされています。
このポートフォリオ理論を実践したからと言って、資産が100倍とか1,000倍になるわけではないのですが、資産運用の最適な形が実現できるという点では非常に価値がある運用方法です。
ウェルスナビは、
- 圧倒的に低コストな海外ETF
- ムダのない最強のポートフォリオ
- 中立的で透明性の高い運用
この3つを兼ね備えたロボアドバイザーだからこそ、SBI証券も注目したのかもしれません。
ちなみに、これらの運用を大手証券会社のファンドラップで行うと、コストが大きく跳ね上がります。
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資産配分の見直しを自動化
投資資産を保有していると、時間の経過とともにバランスが崩れてきます。
例えば、資産Aを100円で、資産Bを100円で購入し、トータル200円の資産を保有していたとします。投資割合は資産Aが50%、資産Bも50%です。
その後資産Aが値上がりして200円となり、一方で資産Bが値下がりして50円になったとします。
そうすると、投資割合は資産Aが全体の80%、資産Bは20%のポートフォリオになり、バランスが崩れてしまいます。
このようなバランスの崩れを調整するのが「リバランス」という作業です。
値上がりした資産を売却して利益確定し、その資金で値下がりして割安となった資産を買い増すことでポートフォリオを最適化します。
ウェルスナビでは、この「リバランス」の作業を完全自動で行います。
私たちは特に何も指示を出さなくても、ウェルスナビが自動的にリバランスの必要性を判断し、売買を実行し、そして現代ポートフォリオ理論に従って、「最小のリスクと最大のリターン」を実現する「効率的フロンティア」を維持してくれるのです。
節税機能でさらにムダを削減
ウェルスナビには、自動税金最適化(DeTAX)という独自の機能があります。
複数のETF(上場投資信託)を保有し、ポートフォリオを構築するとどうしても「含み損」になるETFも出てきます。
ウェルスナビでは、含み損のETFを自動的にいったん売却することで損失を確定させ、いわゆる「損出し」をおこないます。
投資利益の税金は、利益を確定させた時に初めて発生します。
「損出し」をすることで、確定済みの利益と相殺することができます。利益をあえて目減りさせることで、支払うべき税金を先送りし、手元の投資資金をより多く確保することが可能です。
この自動税金最適化(DeTAX)によって、投資効率を最大化できる仕組みを整えています。
こうしたきめ細かい運用は、本来であれば富裕層が利用するプライベートバンクなどを利用しなければおこなってもらえません。
手数料
ウェルスナビの手数料は、預かり資産の1%(現金部分を除く、年率・税込1.1%)。3000万円を超える部分は0.5%(現金部分を除く、年率・税込0.55%)です。
ウェルスナビが提供するサービスは、
- 最適なポートフォリオの構築
- 状況に応じたポートフォリオの修正
- 自動買付・売却
- 節税を実現するデタックス機能
の4つですが、さらに
- ETFの売買手数料
- 海外ETFを購入するための為替手数料
も含まれます。
このように考えると、ウェルスナビの手数料は非常に良心的であることがわかります。
ちなみに、楽天証券やSBI証券といったネット証券で海外ETFを購入するために「円から米ドルへの両替」をすると1米ドルあたり片道で25銭、往復で50銭かかります。(大手証券会社や銀行で両替すると50銭をはるかに超えてきます)
これは、1米ドル=100円で換算すると、為替手数料だけで取引額の0.5%に相当する額となります。
さらに、海外ETFの取引には売買手数料がかかります。
ウェルスナビが投資対象とする海外ETFは、国内ETFの信託報酬に比べて恐ろしいほど低いので、トータルコストでは他のファンドラップやロボアドバイザーを圧倒します。
とはいえ、資産運用において年率1%以上の運用コストというのは決して安くはありません。
正直に言えば、さらに低コストな投資信託を自分で選び、自分で買付をして運用したほうがコストは抑えられます。
しかし、世の中には「投資や資産運用に時間や労力をかけたくない。自分にとってもっと大切なことに時間を使いたい」という方も大勢います。
こうした人にとって、投資資産の選定から運用・保守までをすべて自動的に行なってくれるロボアドバイザーは、非常にメリットのある商品です。
SBI証券版のウェルスナビの違い
私が運用しているのは、ウェルスナビの直販口座です。
では、「ウェルスナビ for SBI証券」は直販口座と何が違うのかまとめたいと思います。
結論から言うと、直販口座とウェルスナビ for SBI証券の違いはほとんどありません。
あえて違いを述べると、ウェルスナビ for SBI証券には
- SBI証券の口座を持っている人なら最短即日でウェルスナビの口座開設が完了
- SBI証券からウェルスナビへダイレクトログインができる
という利点があるだけです。
以前は直販口座の最低投資額が100万円だったため、10万円からスタートできるウェルスナビ for SBI証券の方が敷居が低かったのですが、現在は直販口座も最低投資額を10万円に引き下げたため、両者の違いはなくなりました。

最後まで読んでいただきありがとうございました
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